診察時間
午前9:00-12:00
午後15:00-19:00
手術時間12:00-15:00
水曜・土日午後休診
眼瞼内反症の整復術における実践的なオペレーションノートです。術式選択の判断基準から、繊細な眼科手技における器具の選択、具体的な切開・縫合の数値、そして予後を左右する合併症対策までを網羅しました。
執刀前の最終確認としてご活用ください。
1. タッキングスーチャー (Tacking Suture)
対象:若齢期(成長期)
成長に伴う改善が期待できる時期の一時的な矯正法です。角膜刺激を取り除き、疼痛による眼瞼痙攣の悪循環を断つことを目的とします。
2. Hotz-Celsus変法 (Modified Hotz-Celsus)
対象:骨格形成完了後の成犬・成猫、または永続的な内反
眼瞼皮膚を切除・縫合し、解剖学的に恒久的な矯正を行う根治術です。
眼科手術はマイクロサージェリーの領域です。肉眼では睫毛の向きや正確な切開ラインの判断が困難なため、適切な拡大視野と繊細な器具が成功の鍵となります。
全身麻酔では眼輪筋の緊張が消失し内反を過小評価するリスクがあるため、可能であれば覚醒時にマーキングを行うか、鎮静・局所麻酔下での実施も考慮します。
最も一般的かつ実践的な術式です。「眼瞼縁からの距離」と「切除幅」の決定が最大のポイントとなります。
麻酔導入前に「つねりテスト(Pinch test)」を行い、内反が改善し、かつ外反しすぎない幅を計測します(小型~中型犬で最大幅5mm程度が基準ですが、必ず個体を計測してください)。
イェーガー氏角板を眼瞼下に挿入し、カリーパーで計測したラインに沿って切開します。皮下組織を含めて皮膚を切除しますが、眼輪筋の過剰な損傷は避けます。
合併症対策の最重要ポイント
最も避けるべきは「過矯正による外反症」です。外反の修正(V-Y形成術など)は難易度が高くなります。「迷ったら少なめに切る」が原則ですが、再発を防ぐため術前の厳密な評価が全てとなります。
痙攣性内反(Spastic Entropion)の鑑別
角膜潰瘍やブドウ膜炎などの痛みにより眼球が陥入し、二次的に内反しているケースがあります。麻酔前に点眼麻酔を行い、痛みが取れた状態で内反が消失するか確認してください。消失する場合は基礎疾患の疼痛管理、あるいはタッキングが優先となります。
外眼角靭帯の弛緩
大型犬などで外眼角の支持性が弱い場合、単純なHotz-Celsusだけでは改善しないことがあります。瞼全体を外側に引いてテンションが弱いと感じる場合は、外眼角固定術(Lateral Canthoplasty)の併用を検討してください。
※本記事は獣医師向けの術式解説です。薬剤の用量等は各施設のプロトコルに従って最終確認を行ってください。