尿閉塞を起こした猫の症例報告
はじめに
猫の尿閉塞は緊急性が高く、迅速かつ的確な処置が求められる疾患です。今回当院で対応した猫の尿閉塞の症例を報告いたします。
症例概要
- 動物種:猫
- 性別・年齢:去勢済みオス、6歳
- 体重:7.1 kg
- 主訴:排尿困難、食欲不振、嘔吐
臨床検査結果(初診日2025/03/24)
- BUN:92.7 mg/dl(高値)
- CRE:5.75 mg/dl(高値)
- GLU:220 mg/dl(高値)
- WBC:29,400 /µL(高値)
- 尿色:赤色(血尿)、ストルバイト結晶確認
- 膀胱拡張(約5 cm)、左腎臓の腫大(約6 cm)

診断
初日の処置(2025/03/24)
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- 膀胱穿刺による緊急処置(膀胱破裂リスク考慮)

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会陰尿道瘻造瘻術(PU手術)実施
- 太い尿道を引っ張って出して尿道瘻を作成する手術
- 静脈内輸液(乳酸リンゲル液、ドパミン添加)
- 抗生剤投与(ビクタス、マロピタント)
術後翌日の経過(2025/03/25)
- BUN:45.1 mg/dl(改善)、CRE:1.38 mg/dl(正常)
- WBC:14,800 /µL(改善)
- 術後創部状態良好
治療費用
合計診療費用:316,144円(税込)
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- 初診時の検査・手術料・入院費など
- 術後の経過観察および投薬費用を含む
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継続治療と今後の管理
- PHコントロール処方食継続
- 皮下点滴療法(乳酸リンゲル液150 ml)継続
- 定期的なモニタリングと飼い主への指導
考察
本症例では、迅速な外科処置により腎機能障害の進行を阻止し、術後の経過も良好でした。再発防止のため、継続的な食事療法と定期検診が重要です。
結語
尿閉塞は早期発見と迅速な治療が非常に重要です。日常的な排尿状態の観察を飼い主様に推奨いたします。