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【症例紹介】高齢猫の後肢麻痺とその治療経過

症例報告:高齢猫・ミックス・去勢オス

  • 年齢: 13歳
  • 性別: 去勢オス
  • 種類: ミックス
  • 体重: 4.6kg

来院までの経緯

  • 2025年3月6日
    前日22時以降から後肢の麻痺が突然発症し、排尿・排便ができなくなったとのことで来院されました。

初診時の検査・処置(3月6日)

  • 🩸 血液検査: 異常なし
  • 🦴 レントゲン検査(胸部・脊椎): 骨折などの異常なし
  • 🩺 膀胱エコー検査: 重度の尿貯留を確認
  • 💉 処置: 導尿カテーテルによる尿の排出
  • 📅 今後の方針: 翌日、MRI検査と脳脊髄液(CSF)検査で脊椎疾患の鑑別を行う予定。自宅でもカテーテル導尿を継続。

検査結果と治療経過

  • 3月7日
    • MRI検査の結果:
    • L4〜L6の脊髄梗塞(左右対称)と診断。
    • 急性の血流障害によるもので、現時点ではリンパ腫の疑いは低いと判断。
    • CSF検査: 少量しか採取できず、異常細胞は認められませんでした。
    • 神経学的所見: 深部痛覚が低下しており、神経の損傷は強いと評価されました。
    • 治療開始: ステロイド(プレドニゾロン)を抗炎症量(1mg/kg)で投与開始。
  • 3月8日
    • 主訴: 便が4日間出ていないとのことで再来院。
    • レントゲン検査: 腸内に便の貯留を確認。
    • 処方:
      • 消化管運動促進薬(プロナミド)
      • 便軟化剤(ラクツロース)
    • 導尿カテーテル: 濁った尿を確認。
    • 指示: 翌日再来院の指示。
  • 3月9日
    • 主訴: 依然として便が出ないため来院。
    • 尿路感染症の確認:
      • 血液検査: 異常なし。
      • 尿検査: 細菌感染を確認し、尿の培養検査を提出。
      • エコー検査: 膀胱内の尿は濁っており、感染の可能性あり。
    • 処置:
      • 浣腸を実施。
      • 皮下点滴(150ml)を実施(尿が濃く、感染リスクが高いため)。
      • 自宅でも以下のケアを実施してもらうよう指示:
        • カテーテル導尿(1日2回)
        • 皮下点滴(1日150ml)
        • 浣腸(1日1回)
      • 抗生剤としてアモキクリアを処方(培養結果が出るまで継続)。
      • ステロイド治療の効果確認のため、5日後に再診予定。

今後の方針

  1. 感染管理: 培養検査の結果を待ち、細菌の種類に応じて適切な抗生剤に変更予定。
  2. 尿路ケア: 導尿と点滴を継続し、感染が悪化しないよう注意。
  3. 排便管理: 浣腸と薬の継続で、排便を促していく。
  4. 神経症状の経過観察: ステロイドの効果を確認し、神経の回復を促す。改善が見られない場合、さらなる排尿・排便ケアの指導を検討。

まとめ

今回の症例は、突然の脊髄梗塞により排尿・排便が困難となったケースです。
早期の診断と適切な治療により、感染管理と排泄ケアを進めています。
特に、高齢の猫ちゃんにおいては、急な神経症状に注意し、早めの受診が大切です。
今後も慎重に経過を観察し、最適な治療を進めてまいります。