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【重要】インスリン供給制限に伴う、犬および猫の糖尿病治療方針の変更について

本日は、現在ワンちゃん・ネコちゃんの「糖尿病」の治療をされている方、そして今後糖尿病と向き合う可能性があるすべての飼い主様へ、非常に厳しい現実をお伝えしなければなりません。

結論から申し上げますと、「人間の糖尿病治療に使われているインスリンを、動物の治療に流用する時代」が終わりを迎えようとしています。


先日、主要メーカーである日本イーライリリー株式会社より、ヒトへの供給を優先するため、動物への適応外使用目的での販売・購入を制限する通達が出されました。いずれ他社もこれに追随し、人用インスリンの動物への使用はできなくなる可能性が高いのが現状です。

今後の糖尿病治療への影響

これにより、動物病院での糖尿病治療は、今後以下のように変わります。

  • 状態が安定している子の治療(維持期)
    これまで人用インスリンで上手にコントロールできていた子は、今後は動物用インスリン等への切り替えを行っていきます。
    しかし、代替薬となるインスリンについても、現在プロジンクは業者での在庫がわずかな状態です。さらに、インスリン用の注射器である「ロードーズ」に関しても、すでに入荷制限および価格の高騰が起きている状況です。
    物流自体が極めて不安定になっており、「お金を払えばいつでも手に入る薬や医療器具」ではなくなりつつあるのが現状です。
    再調整の手間やコストはかかりますが、ご自宅でのメンテナンスが上手くいき、少ない治療介入でコントロールできる軽い糖尿病であれば、今後も維持していくことは可能です。
  • コントロールが難しい子・重症化した子の治療(ケトアシドーシス)
    皆様に最もお伝えしなければならない現実がこちらです。
    糖尿病のコントロールが上手くいかず、「糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)」という命に関わる状態に陥った場合、治療の命綱となるのが『即効型のレギュラーインスリン(ヒューマリンRなど)』です。
    しかし、今回の制限により、この薬は今後動物病院では手に入らなくなります。これはつまり、「今後ケトアシドーシスを発症した場合は、実質的に治療のすべがなく、諦めざるを得ない」ということを意味します。獣医師の技術や努力の問題ではなく、物理的に薬が存在しないため、救うことはできません。

当院の今後の診療方針について

このような厳しい状況を背景に、当院としての今後の糖尿病治療に対するスタンスも変えざるを得ません。

  • 少ない治療介入でコントロールでき、助けられる命はしっかり助けていく
  • ご自宅でのメンテナンスが難しく状態が頻繁に崩れてしまう子や、重症化してしまった子に対しては、これまでよりも「諦めるライン(医療の限界)」がかなり低くなっていく(手前に来てしまう)

冷酷に聞こえるかもしれませんが、医療資源(薬・器具)がない以上、これがこれからの獣医療のリアルな限界です。

現在治療中の患者様には順次ご相談を行いますが、この厳しい現状と、日々のメンテナンスの重要性をどうかご理解いただきますようお願いいたします。


English Summary

Due to restricted supplies of human insulin for veterinary use, treating diabetic dogs and cats will fundamentally change. Stable patients will transition to alternative insulins. However, current supplier stocks for ProZinc are critically low, and specific insulin syringes (Low-Dose syringes) are already facing strict supply limitations and price surges. Critically, rapid-acting insulin essential for treating Diabetic Ketoacidosis (DKA) will become unavailable, rendering severe DKA practically untreatable. Consequently, our clinic must lower the threshold for end-of-life care in severe or highly unstable cases due to this absolute lack of medical resources. We ask for your profound understanding.

中文摘要

由于用于兽医领域的人用胰岛素供应受限,犬猫糖尿病的治疗将发生根本性改变。病情稳定的患畜将转用其他替代胰岛素。然而,目前ProZinc的供应商库存已所剩无几,且胰岛素专用注射器(Low-Dose专用注射器)也已面临严格的进货限制和价格暴涨。更严重的是,治疗糖尿病酮症酸中毒(DKA)所必需的速效胰岛素将无法获得,这意味着严重的DKA病例将几乎无法治疗。因此,由于医疗资源的绝对匮乏,我院将不得不调整治疗方针,对于严重或极不稳定的病例,放弃治疗的界限将大幅提前。恳请各位深刻理解。