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【YouTube】パテラ(脛骨粗面転移術併用)

愛犬の膝、大丈夫?獣医さんの資料で学ぶ「パテラ」のすべて

こんにちは!ワンちゃんとの毎日、楽しいですよね。
今回は、特に小型犬の飼い主さんが気になる「膝蓋骨脱臼(パテラ)」について、専門的な獣医療の資料を元に、診断から治療、お家でのケアまで詳しく解説していきます。
大切な家族であるワンちゃんの膝について、一緒に学んでいきましょう!

🐾 第1部:パテラってどんな病気?

膝蓋骨内方脱臼(MPL)、通称「パテラ」は、ワンちゃんの膝のお皿が内側にずれてしまう病気のことです。

4段階のグレード(重症度)

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    グレード1:最も軽い状態。指で押すと脱臼するけど、自然に戻ります。
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    グレード2:時々自然に脱臼し、足を曲げると戻ることがあります。「スキップ」のような歩き方が見られることも。
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    グレード3:常に脱臼していますが、手で戻すことができます。
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    グレード4:常に脱臼していて、手で戻すことができません。

診断について

正確な診断のため、レントゲンは必ず両足を撮影し、膝のお皿を正しい位置に戻した状態で撮ることがとても重要です。 他にも、若い子ならレッグ・ペルテス病など、シニアの子なら椎間板疾患など、他の病気との見極めも行われます。

🐾 第2部:どんな時に手術が必要になるの?

手術をするかどうかは、ワンちゃんの症状や年齢、グレードによって慎重に判断されます。

手術が推奨されるケース

  • 症状がある場合: スキップしたり、痛がったり、座り方がおかしかったりする場合です。
  • 若くて重度の場合: 5歳以下でグレード2以上なら、将来の悪化を防ぐために手術を考えることがあります。
  • 悪化している・併発している場合: 脱臼が進行していたり、前十字靭帯断裂を併発していたりする場合です。

手術をしない選択肢も

全く症状がないグレード1・2や、症状のない6歳以上のグレード3・4では、手術をしない「経過観察」が選ばれることもあります。

🐾 第3部:どんな手術をするの?

パテラの手術は、ワンちゃんの状態に合わせたオーダーメイド治療。いくつかの方法を組み合わせて行われます。

  1. 滑車溝形成術: 膝のお皿がはまる溝を深くして、外れにくくします。 再生しない軟骨を大切に残しながら行うのがポイントです。
  2. 脛骨粗面転位術(TTT): 膝の靭帯がついている骨の一部を正しい位置に移動させ、ピンで固定します。 これをしないと再脱臼のリスクが5倍も高まるという重要な手術です。
  3. 軟部組織の解放と縫縮: 硬くなった内側の筋肉を緩め、伸びてしまった外側の組織を縫い縮めて、膝全体のバランスを整えます。
  4. ラテラルスーチャー: 膝のねじれが原因の場合に、糸を使ってそのねじれを抑える方法です。

🐾 第4部:前十字靭帯断裂との関係

パテラは、膝のクッションの役割をする「前十字靭帯」が切れてしまう原因になることがあります。 膝がひどく痛んだり、関節液がたくさん溜まっていたりする場合、この靭帯の損傷も疑われます。

血液検査の炎症マーカー(CRP)は、免疫の病気では上がりますが、前十字靭帯断裂だけでは通常は上がりません。

🐾 第5部:手術後の過ごし方とお家でのケア

手術の成功は、お家に帰ってからのケアにかかっています。合併症は約20%の確率で起こると言われています。

お家でのケアのポイント

  • バンデージ(包帯): 術後3〜5日は包帯で脚を保護します。 獣医さんの指示に従って交換しましょう。
  • アイシング(冷却): 術後の数日間は、1回5〜10分、1日2回ほど冷やしてあげると、腫れや痛みが和らぎます。
  • リハビリ: 関節の曲げ伸ばし運動や、水中トレッドミルなどで、ゆっくり機能回復を目指します。
  • 抜釘(ピンを抜くこと): TTT手術で使ったピンは、術後1ヶ月半くらいで抜くのが一般的です。 これは比較的簡単な処置です。

大切な家族のために、正しい知識を。

パテラの治療は、診断から手術、術後のケアまで、とても体系的なアプローチが必要です。
もしワンちゃんの足に気になる様子があったら、一人で悩まず、かかりつけの獣医さんに相談してみてくださいね。