診察時間
午前9:00-12:00
午後15:00-19:00
手術時間12:00-15:00
水曜・土日午後休診
今回は、中高齢のフレンチブルドッグの患者さん(体重約10kg)に対して実施した「短頭種気道症候群」の外科手術について解説します。短頭種(鼻の短い犬種)特有のいびきや呼吸のしづらさは、決して「その犬種らしさ」ではなく、放置すれば命に関わる進行性の病態です。
本記事では、当院がなぜ外科的介入を選択したのか、どのようなリスクを伴うのか、そしてどのような覚悟を持って手術と術後管理に臨んでいるのかを、包み隠さずお伝えします。
事前の胸部レントゲン検査において、気管支の拡張と横隔膜のせり上がりが認められました。これは慢性的な気道閉塞によって胸腔内に強い陰圧(引っ張る力)がかかっている証拠です。
詳細な評価の結果、以下の状態が確認されました。
これらの物理的な閉塞は、内科治療(お薬)では根本的な解決が不可能です。そのため、気道を広げて呼吸を楽にするための外科手術が適応と判断しました。
「いびきをかいているだけだから」と様子を見た場合、患者さんは生涯にわたり「ストローを咥えて全力疾走するような息苦しさ」を味わい続けることになります。
呼吸器の構造が完全に破綻してからでは、いかなる外科手術を用いても救命は極めて困難になります。だからこそ、手遅れになる前の早期の外科的介入が必要なのです。
本症例では、病態の根本原因を取り除くため、以下の2つの術式を同時に実施しました。


















【周術期の麻酔・鎮痛管理】
気道の手術において、術後の痛みや恐怖は「パンティング(荒い呼吸)」を誘発し、致命的な窒息につながります。当院では麻酔前から鎮痛剤(ブプレルノルフィン等)を投与し、痛みを先回りして抑え込む徹底したペインコントロールを実施しています。また、気道の術後浮腫(腫れ)による閉塞を防ぐため、術前より抗炎症量のステロイド薬を使用し、リスクを最小限に抑え込んでいます。
当院では、動物の精神的ストレスを最小限にするため、「早期退院」を基本方針としています。
【夜間監視体制と痛みへの対応】
当院の夜間帯はスタッフが不在(無人)となります。しかし、入院中の患者さんを放置することは決してありません。
「痛みを絶対に見過ごさない」。これが当院の術後管理の絶対的なルールです。
外科手術は魔法ではありません。私たちは最善を尽くしますが、以下のようなどうしても避けられないリスクと限界が存在します。
当院は、責任を持てる範囲でのみメスを握ります。軟部・腫瘍外科における当院の適応基準および紹介ポリシーは以下の通りです。
呼吸の異常は、動物にとって私たちが想像する以上の恐怖と苦痛を伴います。「この犬種だから仕方ない」と諦める前に、その息苦しさは外科的に取り除けるものかもしれません。
当院では、考えうるリスクや当院の限界をご家族と共有し、お互いに覚悟を持った上で治療に臨みます。ご愛犬のいびきや、運動時の異常な呼吸音に不安を感じている方は、一度当院の呼吸器評価をご検討ください。
This article details the surgical intervention for an older French Bulldog suffering from Brachycephalic Airway Syndrome (BAS), specifically an elongated soft palate and stenotic nares. We explain the absolute necessity of early surgical intervention to prevent fatal progression, such as laryngeal collapse. The procedures performed included soft palate resection and vertical wedge resection of the nares. We also outline our strict perioperative pain management protocols, our policy of early discharge (1-3 days) to minimize stress, and our 24/7 remote monitoring system using pet cameras to ensure no pain or respiratory distress is overlooked, even during unstaffed night hours. Finally, we discuss potential severe complications, including fatal postoperative edema, and clarify our referral policy for highly complex soft tissue surgeries.
本文详细介绍了一只患有短头气道综合征(特别是软腭过长和鼻孔狭窄)的老年法国斗牛犬的外科手术干预过程。我们解释了早期手术干预的绝对必要性,以防止如喉部塌陷等致命性恶化。实施的手术包括软腭切除术和鼻孔垂直楔形切除术。文章还概述了我们严格的围手术期疼痛管理方案、为尽量减少动物压力而采取的早期出院(1-3天)政策,以及使用宠物摄像头进行24/7全天候远程监控的系统,以确保即使在夜间无人值守时也不会忽视动物的任何疼痛或呼吸窘迫。最后,我们讨论了潜在的严重并发症(包括致命的术后水肿),并明确了我们在复杂软组织手术方面的转诊政策。