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NEWS&BLOG
医療物資枯渇という現実。当院の「境界線」とこれからの伴走条件

皆様、こんにちは。院長です。

現在、日本の獣医療インフラにおいて極めて深刻な事態が進行しています。
日々の点滴や採血に不可欠な「翼状針」や、入院治療に必須の「留置針」といった基幹医療物資が、全国の卸業者で軒並み入荷未定(欠品)となりました。


当院では、マクロ経済の動向からこの物流の機能不全を事前予測し、あらゆる手段を講じて「向こう1年程度の診療を維持するための必須物資」を独自に確保いたしました。
しかし、これは決して「無尽蔵に在庫がある」という意味ではありません。正常な供給網の回復が見通せない以上、当院が持つ有限の医療資源を「誰に、どう使うか」を厳格に管理・最適化する必要があります。それに伴い、慢性腎臓病をはじめとする内科疾患、および腫瘍疾患の診療において、当院が責任を持てる範囲としての「明確な境界線(ルール)」を以下の通り再設定いたします。

1. 資源の集中管理:自宅点滴用資材の提供終了

本日より、慢性疾患のケアとしてご要望に応じていた「自宅点滴用資材(針、輸液ライン、薬液等)」の外部への提供を完全に終了し、当院の管理下における「院内処置」のみに集約いたします。

  • 限られた医療物資を、個々の家庭へ分散させることは、在庫管理の観点からシステム的に許容できません。
  • 当院の備蓄は、目の前で急変した動物や、院内での確実な処置を必要とする動物の命を救うための「絶対的な防衛線」です。
  • 飼い主様の利便性よりも、確実な医療インフラの維持を優先するというのが、当院の論理的な結論です。

2. 二次診療(紹介)システムの構造的限界と今後の対応

また、全国的な物資枯渇が意味する「もう一つの現実」をお伝えします。
翼状針やラインが手に入らないということは、巨大な設備を持つ二次診療施設(大学病院やマンモス病院)もまた、同様に機能不全に陥るリスクを抱えているということです。

  • いかに数億円の画像診断装置や最新の設備があろうと、血管にアクセスする「針」という基礎ルートが確保できなければ、麻酔も検査も治療も実行不可能です。
  • 物流がこれほど悪化した現在、「とりあえず大きな病院に紹介状を書けばなんとかなる」というこれまでの常識は、システム上すでに崩壊しています。他施設の在庫状況や、実際に処置が実行できる環境にあるかどうかを、当院が担保することは物理的に不可能です。
  • そのため今後は、より高度な二次診療施設での受診を強く希望される場合、「飼い主様ご自身で直接対象の施設へご連絡いただき、現状で必要な処置(ルート確保など)が物理的に実行可能かどうかをご相談・ご確認いただく」というプロセスへ移行させていただきます。

当院から不確実な外部機関への紹介プロセスに時間とリソースを割くことはいたしません。外部を頼る場合は、飼い主様ご自身でそのインフラ環境を確認していただく。それがこれからの獣医療のリアルです。

3. 伴走の必須条件:定期検診プロトコルの厳格化

そして、最も重要なお話をします。
「留置針(静脈点滴を確保する針)」が入荷未定であるということは、当院が確保した備蓄がいずれ尽きた時、当院においてすら「重症化してからの入院・静脈点滴」が物理的に不可能になる未来が来るということを意味しています。

もはや、状態が悪化して倒れてから「なんとかしてくれ」と駆け込んでも、点滴のルートすら取れない時代が近づいています。この状況下で命を繋ぐ唯一の手段は、入院(静脈点滴)が必要になる一歩手前で異常を検知し、未然に数値をコントロールすることしかありません。

当院で治療を継続するための絶対条件(厳格な検診プロトコル)

  • 慢性疾患:最低「3ヶ月に1回」の定期検診
  • 腫瘍疾患:最低「1ヶ月に1回」の定期検診

当院に「入院前に治す(コントロールする)チャンス」を与えてくれないケースには、システム上、もはや対応が不可能です。現状の数値を把握しないまま漫然と薬だけを求める行為は、資源の浪費です。このプロトコルから外れ、定期検診にご同意いただけない場合、当院としては責任ある治療計画を立てることが不可能なため、その時点で当院での一切の治療(処置、投薬、物資の提供)を打ち切らせていただきます。

4. 当院が定める「新たな境界線」

医療物資が潤沢だった時代は終わりました。当院は今後、確保した貴重な資源と時間を、「当院の論理と治療プロトコルに完全に同意し、ルールの範囲内で共に動物の命を守り抜く覚悟のある飼い主様」に対してのみ、集中的に投下いたします。

  • 自宅処置の継続を強くご希望される方や、定期検診を含む当院のリソース管理方針にご納得いただけない方へは、十分な医療の提供をお約束できないため、他院での診療をお勧めいたします。
  • ここは、限られた資源と高度な技術を用いて、本気で命と向き合うための砦です。
  • 決して妥協することのないこの境界線をご理解いただいた上で、当院での伴走をご希望される飼い主様に対し、時代や環境がどれほど変化しようとも、その状況下における「最善(ベスト)」を尽くし、命を繋ぐための医療を提供し続けることをお約束いたします。

Summary

Due to a severe nationwide shortage of essential medical supplies (including IV catheters and winged infusion sets), our clinic is implementing strict new protocols to ensure we can maintain life-saving care for the next year.

  • We will no longer provide IV supplies for at-home use; all treatments must be performed in-clinic under our management.
  • Referrals to secondary hospitals will require owners to directly contact the facility and confirm their current resource availability and treatment capability.
  • Strict regular check-ups (every 3 months for chronic diseases, monthly for oncology) are now mandatory to prevent emergencies, as emergency IV access may soon become physically impossible.

We will focus our resources exclusively on clients who agree to these protocols and partner with us to protect their pets’ lives within these necessary boundaries.

摘要

鉴于全国范围内基础医疗物资(如静脉留置针和蝶形针等)严重短缺,为确保未来一年内的生命救援行动,本院将实行严格的新诊疗准则。

  • 全面停止提供居家输液耗材,所有相关治疗均需在院内进行。
  • 如需转诊至二级医疗机构,请宠主自行联系并确认该机构当前的物资储备及接诊能力。
  • 为防范突发恶化导致无法进行静脉输液的风险,强制要求定期体检(慢性病至少每3个月一次,肿瘤至少每月一次)。

我们将把有限的医疗资源集中提供给完全同意本院准则,并愿意携手在规则内守护宠物生命的宠主。感谢您的理解与配合。