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犬と猫の一般血液検査(CBC)解説:各項目の見方と次のステップ

血液検査(CBC)の数値が教えてくれること

血液検査の結果用紙に並ぶアルファベットや数字。これらが何を示しているのか、ご不安に感じたことはありませんか。血液は、全身に酸素や栄養を運んだり、外敵から体を守ったりと、動物の生命を維持するために不可欠な役割を担っています。

血液は大きく分けて、赤血球や白血球などの「血球成分」が全体の55〜63%、水分やタンパク質を含む「血漿成分」が37〜45%で構成されています。血球のもととなる「造血幹細胞」は骨の内部にある骨髄に存在し、そこから骨髄系やリンパ系の細胞へと分化して血管内へ移動します。今回は、体調不良時などによく行われる「一般血液検査(CBC:完全血球計算)」について、各血球の働きと、異常が見られた場合の検査や治療の進め方を詳しく解説します。

赤血球(RBC・Ht・Hb)〜酸素運搬と貧血の指標〜

  • RBC(赤血球数):血液中の赤血球の数を示します。赤血球は多量のヘモグロビン(色素タンパク)を含み、全身へ酸素を運搬します。
  • Ht / PCV(ヘマトクリット):血液全体に対する赤血球の体積の割合です。貧血の指標として一般的に用いられます。
  • Hb(ヘモグロビン量):酸素を運搬する能力を示し、貧血の重症度を判断する上で最も重要です。

異常がある場合と次のステップ


数値が低い場合(貧血)と高い場合(多血症)

動物の貧血は主に「再生性貧血(体内で赤血球が破壊・消費されている)」「非再生性貧血(骨髄で赤血球が作られていない)」「体外への喪失(出血)」の3つに分類されます。逆に数値が高い場合は、脱水による相対的な増加や、低酸素状態に反応した二次性多血症などが疑われます。

追加検査と治療: 血液をガラスに薄く塗る「血液塗抹検査」を行い、未熟な赤血球である「多染性赤血球(網状赤血球)」が増えているかを確認します。ニューメチレンブルー染色を用いると網状赤血球として観察でき、犬では凝集型・中間型・点状型すべてを、猫では凝集型のみを算定し再生像を評価します。原因に応じて、エコーやレントゲンによる出血・腫瘍の探索、内科的治療(鉄剤、免疫抑制剤など)、外科手術、重度の場合は輸血へと進みます。

白血球(WBC)〜体を外敵から守る免疫機能〜

白血球は、細菌やウイルス、寄生虫といった外敵の侵入から体を守り、組織の修復も担う免疫機能の要です。役割に応じて以下の5つの種類が存在します。

  • 好中球:細菌や異物を貪食、殺菌、分解します。成熟度により「桿状核好中球」と「分葉核好中球」に分かれ、急性炎症では桿状核の割合が増加します。
  • 好酸球:寄生虫感染の防御やアレルギーの抗炎症作用を持ちます。MBP(Major Basic Protein)という強力な障害性を持つピンク色の顆粒を内蔵し、寄生虫などを破壊します。
  • 好塩基球:ラベンダー色の顆粒内にヒスタミンやヘパリン(抗血液凝固作用)を含み、即時型過敏症などに関連します。正常な末梢血中にはほとんど見られません。
  • 単球:白血球の中で最も大型で、異物の消化と免疫系への司令を行います。
  • リンパ球:免疫を活性化・抑制する「Tリンパ球(細胞性免疫)」と、抗体を産生して異物をマークする「Bリンパ球(体液性免疫)」があります。

異常がある場合と次のステップ


数値の増減から疑われること

白血球が増加している場合は、感染症、アレルギー、ホルモン変動による反応性増加、または白血病などの腫瘍性疾患が疑われます。減少している場合はウイルス感染や薬剤の影響などが考えられ、生体防御機能が低下するため早急な対応が必要です。

追加検査と治療: どの白血球が増減しているかを確認し、CRP(犬)やSAA(猫)などの炎症マーカーの測定、画像診断で原因を特定します。細菌感染には抗菌薬、寄生虫には駆虫薬、腫瘍性疾患には抗がん剤治療などを検討します。

血小板(PLT)〜血管の損傷を塞ぐ止血機能〜

  • 働き:核を持たない小型の細胞片です。血管が損傷して出血すると、露出したコラーゲン線維を足掛かりにし、フォン・ヴィルブランド因子を介して付着します。
  • 止血の仕組み:そこから凝集惹起物質を放出して血小板を土嚢のように集め、一時的に出血を食い止めます。

異常がある場合と次のステップ


数値が極端に低い場合の危険性

白血病や腫瘍の骨髄転移によって「作られない」場合と、出血やDIC(播種性血管内凝固症候群)、IMT(免疫介在性血小板減少症)などにより大量に「消費・破壊される」場合があります。極端に減少すると出血しやすく、止血が困難になります。

追加検査と治療: 採血時に血液が凝固したことによる検査エラーを防ぐため、まずは血液塗抹で実際の状態を確認します。真の減少であれば、血液凝固系検査や免疫関連の検査を実施します。危険な状態であれば輸血(新鮮血や血漿)を行い、免疫異常であれば免疫抑制剤を使用します。


Summary / 摘要

English: Blood tests (Complete Blood Count) are vital for understanding a pet’s health. This article explains the composition of blood (55-63% blood cells, 37-45% plasma) and the specific roles of red blood cells (oxygen transport), white blood cells (immune defense via five specific types: neutrophils, eosinophils, basophils, monocytes, and lymphocytes), and platelets (hemostasis). It outlines what abnormal values indicate, such as regenerative or non-regenerative anemia, inflammatory or neoplastic leukocytosis, and thrombocytopenia. Furthermore, it details the subsequent diagnostic steps, including blood smear evaluations (e.g., reticulocyte counting differences in dogs and cats), imaging, and targeted treatments like surgery, transfusions or immunosuppressive therapy.

中文: 血液检查(全血细胞计数)对于了解宠物的健康状况至关重要。本文详细解释了血液的组成(55-63%血细胞,37-45%血浆)以及红细胞(氧气运输)、白细胞(通过五种特定类型的细胞进行免疫防御:中性粒细胞、嗜酸性粒细胞、嗜碱性粒细胞、单核细胞和淋巴细胞)和血小板(止血)的具体作用。文章指出了异常数值的含义,例如再生性或非再生性贫血、炎症性或肿瘤性白细胞增多以及血小板减少症。此外,还详细说明了后续的诊断步骤,包括血液涂片评估(例如犬猫网织红细胞计数的差异)、影像学检查以及外科手术、输血或免疫抑制治疗等针对性治疗方案。