診察時間
午前9:00-12:00
午後15:00-19:00
手術時間12:00-15:00
水曜・土日午後休診
最近の診察室で、ご家族の皆様とお話ししていて心から嬉しいと感じることが増えました。皆様がご自身で一生懸命に病気のことや日々の健康管理について調べ、知識をつけてご来院くださるからです。
正しい情報を持ち、私たちと同じ知識を共有してくださることで、獣医師と飼い主様との間に「命を守る最強のチームワーク」が生まれていると確信しています。
皆様の知識と観察力のおかげで、かつてよく経験していたような「手遅れになってしまう予期せぬ最期」は劇的に減りました。愛犬・愛猫の小さな異常をいち早く見つけ、すぐに病院へ連れてきてくださる皆様は、まさに優秀な「初期診断チーム」です。
これらは決して様子を見るべき状態ではなく、直ちに治療というリソースをかけるべき「一番レバレッジが効くクリティカルな瞬間」です。
大切なご家族の異変を目の当たりにするのは、大変ご不安なことと思います。しかし、だからこそ「異常を感じたら、手遅れになる前にすぐ受診する」という早期受診の徹底が、命を繋ぐ最大の鍵となります。
(※ただし、当院では命を守る絶対的なルールとして、転院やセカンドオピニオンの場合、これまでの検査結果や投薬記録などの公式なデータがない方の診察は厳格にお断りしています。過去の「地図」なしに手を出せば、かえって命を危険に晒すためです。)
戦略的な治療が必要となる「てんかんと発作重積」という緊急事態についてお話しさせてください。
けいれん発作を起こした時、それが治癒の難しい脳炎や脳腫瘍なのか、あるいはコントロール可能な「特発性てんかん」なのかを見極める診断は非常に重要です。特発性てんかんであれば、お薬で発作をうまくコントロールし、天寿を全うするような長期生存が十分に期待できるからです。
しかし、最も恐ろしいのは5分以上続く、または意識が戻らないまま繰り返す「発作重積」です。
ドライな例えになりますが、これは「データセンターのサーバー室で漏電して大火災が起きている状態」です。脳内で異常な電気の嵐が吹き荒れ、放置すれば文字通り脳や内臓が熱暴走でダメージを受けてしまいます。
てんかん治療の真のゴールは、薬漬けにすることではなく「大火事(発作重積)を起こさない程度にボヤを許容し、楽しく過ごせる時間を最大化すること」です。そのためには、毎日決まった時間にお薬を飲むという地道な「防火管理」が絶対に必要になります。

実は、私自身も愛犬のてんかんで一生消えない深い後悔を抱えています。
乳がんの脳転移により、発作を起こすようになった愛犬が発作重積に陥った時、私は獣医師として自宅で必死に抗てんかん薬を打ち続けました。しかし、彼女が穏やかに寝ているのを見て「少しだけ休ませてあげよう」と、厳密な薬の時間を遅らせてしまったのです。
それが引き金となり、再び発作重積が始まり、彼女はそのまま旅立ってしまいました。
「もうできることはなかった」と頭では分かっていても、「あの時、私が薬を打っていれば」という後悔は今も消えません。
皆様の「お金と時間」というリソースは無限ではありません。だからこそ、確実に命を救える「一番レバレッジが効く瞬間」にこそフルベットしていただきたいのです。
治る見込みのない末期の病気で発作重積が起きた時など、医療の限界が来た際には、その「引きどころ」を見極める戦略が重要になります。
昨今、深刻な物資不足により、安楽死の処置を完全に停止せざるを得ない厳しい現実があります。病院という場所で人為的に苦しみを終わらせてあげることすら難しい時代なのです。
だからこそ、すべてを病院に委ねるのではなく、皆様がご自宅の温かいベッドで「最高の専属看護師」として寄り添ってあげてください。生きて、大好きなご家族の匂いと温もりの中で一緒にいられるだけで、この子たちはもう十分に幸せなのです。
少しでも不安なこと、おかしいなと思うことがあれば、ためらわずに早期にご相談ください。皆様がご自宅で最高のケアができるよう、私たちは知識と技術で全力の後方支援を行います。これからも、命を守る「最強のチーム」として共に歩んでいきましょう。
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