診察時間
午前9:00-12:00
午後15:00-19:00
手術時間12:00-15:00
水曜・土日午後休診
猫の難治性口内炎に対する全臼歯抜歯術
〜FIV陽性症例の外科的介入〜
本日は、長引くよだれと激しい口腔内の痛みに苦しんでいた、7歳齢の猫の患者さんの外科症例についてお話しします。
この患者さんは、以前にも痛み止めの注射を打つなど、内科的な治療(お薬での治療)を行ってきましたが、根本的な解決には至っていませんでした。また、基礎疾患として「猫免疫不全ウイルス(FIV・猫エイズ)が陽性」であるという重大な背景がありました。
痛みを抱える動物の生活の質(QOL)をいかにして取り戻すか。そして、なぜ「お薬で様子を見る」のではなく「外科手術」という決断が必要だったのか、当院の論理的なアプローチをお伝えします。
術前の診察および検査では、以下の状態が確認されました。
猫の難治性口内炎は、歯周の汚れに対する過剰な免疫反応などが原因とされています。内科治療には限界があり、長期的かつ根本的に痛みを排除するためには、炎症の引き金となる歯を物理的に無くす「全臼歯抜歯」が最も理にかなった治療法となります。
「手術は体の負担になるから、お薬でずっと様子を見たい」と希望される飼い主様は多くいらっしゃいます。しかし、外科適応の重度口内炎に対して安易に内科治療のみを続けることには、極めて残酷なリスクと副作用が伴います。
「お薬での治療」は根本的な治癒ではなく、副作用という高い利息を払いながら時間を前借りしているに過ぎないケースがあります。だからこそ、原因を取り除く外科的介入が必要なのです。
以上の理由から、当院では「全臼歯抜歯術および生検」を実施しました。

今回の手術において、患者さんは1泊の入院計画としました。
外科手術である以上、リスクはゼロではありません。
抜歯箇所の歯肉が綺麗に治癒すれば、多くの場合、これまでの劇的な痛みが消失し、再びドライフードを食べられるようになるなど、劇的なQOL(生活の質)の向上が見込めます。
当院では、今回のようなドリル設備を用いた口腔外科をはじめ、以下の基準で外科手術に対応しています。
動物にとって「口の痛み」は、生きる喜びである食事を奪う残酷なものです。「すべての奥歯を抜く」という響きにショックを受ける飼い主様もいらっしゃいますが、薬の副作用に怯えながら一時凌ぎを続けるよりも、痛みの元を絶つことが結果的にその子を痛みから解放する唯一の手段となることがあります。
私たちは、手術のメリットとデメリット、そして「薬だけでごまかし続けた時の未来」をご家族に誠実に伝え、最適な選択を共に探すパートナーでありたいと考えています。長引く口内炎や痛みでお悩みの場合は、ぜひ一度ご相談ください。

This clinical case report details a full-mouth extraction performed on a 7-year-old FIV-positive cat suffering from severe, refractory stomatitis. It highlights the serious risks and side effects of relying solely on long-term medical treatments, such as steroids and immunosuppressants, especially for immunocompromised patients. We explain the rationale behind choosing surgical intervention to permanently eliminate the source of pain. The report also covers our strict multimodal perioperative pain management, our policy of minimizing hospital stays to reduce stress, and our realistic nighttime care protocol, which involves remote camera monitoring by the director to ensure immediate response to any signs of pain. Finally, it reaffirms our surgical referral policy, always prioritizing the animal’s safety and well-being.
本临床病例报告详细介绍了一只患有严重难治性口炎的7岁FIV阳性猫的全臼齿拔除手术。文章指出,仅依赖类固醇或免疫抑制剂等长期内科治疗存在极大风险及副作用,特别是对免疫力低下的动物而言。我们阐述了选择外科手术以彻底消除疼痛根源的科学依据。报告还说明了我们严格的多模式围手术期镇痛管理、旨在减轻动物压力的“尽早出院”方针,以及现实的夜间护理方案——即通过院长远程摄像头监控,确保对任何疼痛迹象做出及时干预。最后,重申了本院的外科转诊原则,始终将动物的生命安全和福祉放在首位。