診察時間
午前9:00-12:00
午後15:00-19:00
手術時間12:00-15:00
水曜・土日午後休診
今回は、日本国内において飼育頭数の多いミニチュアダックスフントに特有の疾患である「結直腸炎症性ポリープ」について、その病態と当院における外科的アプローチについて解説します。
大抵の下痢は内科療法(投薬)に反応しますが、高齢で内科療法に反応しない、あるいは血便が止まらないといった症状が続く場合、直腸内にポリープ様のしこり(隆起病変)が形成されていることがあります。

良性のポリープであっても、放置すれば増大を続け、物理的に直腸を閉塞させます。
結果として激しい排便困難に陥り、強いしぶりによって直腸脱を引き起こすリスクがあります。また、一部は悪性転化(癌化)することもあり、排便ができないことによる著しい生活の質の低下と、最終的な衰弱死という残酷な結果を招きます。
ダックスフントの炎症性ポリープは、免疫介在性の炎症性腸疾患(IBD)が基礎に存在すると考えられています。慢性的な炎症を抱える患者や高齢の患者において、全身麻酔は常に循環器系抑制や血圧低下のリスクを伴います。
当院では、麻酔の安全域を最大限に広げるため、局所浸潤麻酔を徹底して併用しています。全身麻酔の深度を必要以上に深めることなく、局所の痛みを確実にブロックすることで、術中の血圧を安定させ、麻酔リスクの低減を図っています。

当院では、後腹膜より腹側の一般軟部外科、体表腫瘍(皮弁含む)、および今回のような消化管下部への外科的アプローチに広く対応しております。しかし、術前検査の段階でポリープが結腸深部まで広範に浸潤している場合など、当院の設備での対応が困難と判断される症例については、命を最優先とし、速やかに二次施設(高度医療機関)へご紹介する方針を徹底しております。
炎症性ポリープは、手術で切除すれば終わりという疾患ではありません。術後の再発や他部位への多発を起こしやすいため、ステロイド剤や免疫抑制剤、NSAIDSの継続的な投薬と、低脂肪・低アレルゲン食による厳密な食事管理が生涯にわたって必要となります。
手術は目前の閉塞リスクを解除するための物理的な手段に過ぎません。術後のリスク、夜間管理の限界、そして生涯続く内科的コントロールの必要性を冷静にご理解いただいた上で、論理的な治療方針を選択していくことが重要です。
[English] Clinical Case Report: Colorectal Inflammatory Polyps in Miniature Dachshunds
This article details our surgical approach (mucosal pull-through) for colorectal polyps, primarily seen in Miniature Dachshunds in Japan. We discuss the critical risks of untreated polyps, including severe obstruction and potential malignancy. Due to underlying inflammatory bowel disease (IBD), we strictly manage surgical risks using local infiltration anesthesia. We transparently outline the lethal risks of postoperative complications (e.g., peritonitis from suture failure), our early discharge policy, and the physical limits of our unstaffed overnight monitoring. Lifelong medical management is essential post-surgery.
[中文] 临床病例报告:迷你腊肠犬结直肠炎性息肉
本文详细介绍了我们在日本常见于迷你腊肠犬的结直肠息肉的外科手术方法(黏膜拖出切除术)。我们讨论了未治疗息肉的严重风险,包括严重的肠梗阻和潜在的恶性病变。由于潜在的炎症性肠病(IBD),我们采用局部浸润麻醉严格控制麻醉风险。我们还透明地解释了术后并发症(如缝线失效引起的腹膜炎)的致命风险、我们的尽早出院政策,以及夜间无人值守监控的物理限制。术后终身的内科用药及饮食管理至关重要。