047-700-5118
logo logo

診察時間
午前9:00-12:00
午後15:00-18:00
手術時間12:00-15:00
水曜・日曜午後休診

banner
NEWS&BLOG
瞬膜裂傷【喧嘩で怪我、涙が出なくドライアイで角膜に穴が開くので手術】

猫の「瞬膜(第三眼瞼)」のケガと治療について

瞬膜(しゅんまく)は、目の内側にある薄い膜で、黒目(角膜)を涙と一緒に守る“第三のまぶた”です。普段は目頭の奥に隠れていますが、炎症やケガがあると赤く腫れて見えたり、露出してしまうことがあります。

1. なぜ問題になるの?

  • 瞬膜は角膜を守る役目があるため、形が崩れたり傷つくと黒目に当たって刺激になることがあります。
  • 表面は常に涙に濡れており、傷口がずれやすい・縫合しても段差ができやすいという特徴があります。

2. 診断のポイント:フルオレセイン染色

  • フルオレセイン染色は、角膜に細かな傷(潰瘍)がないかを調べる検査です。
  • 角膜に傷がある場合は、より強い保護(瞬膜フラップ)や点眼内容の調整が必要になることがあります。

3. 今回の治療方針

1) 瞬膜縫合

損傷でよれた形を丁寧に整え、結膜(粘膜)でなめらかに覆うことで、角膜への刺激を減らします。糸は細く、糸端が黒目に触れない位置に配慮します。

2) 瞬膜フラップ

一時的に瞬膜を黒目側に固定して“保護シールド”の役割を強めます。これにより角膜や縫合部を安静に保ち、回復を促します。

3) 抗菌薬と感受性検査

目の表面にはブドウ球菌などの常在細菌が多く、感染や遷延の原因になります。今回はセフェム系抗菌薬を初期投与しつつ、感受性検査(どの薬が効くかのテスト)を同時に提出。耐性菌を見逃さず、効く薬だけを適切な期間使用するためです。

ポイント:目の治療では“角膜を守る”“糸や段差でこすらない”“効く薬を見極める”の3点がとても大切です。

4. 術後の経過とご自宅での注意

  • 腫れや赤み:数日〜1週間ほどで落ち着いてきます。
  • 消毒の黄色:数日で自然に薄れます。
  • エリザベスカラー:こすり防止のため必ず装着してください。
  • 点眼・内服:処方どおりに継続。自己判断で中断しないでください。
  • 再診:角膜に糸が当たっていないか、染色検査で黒目の傷がないかを確認します。

すぐ連絡してほしいサイン

  • 目を開けられないほどの痛み/強い充血や腫れの悪化
  • 黄色や緑色の目やにが増える、出血が止まらない
  • カラーをしていてもこすってしまう・器具が外れてしまった

5. よくある質問

Q:見た目は元どおりになりますか?

A:瞬膜は涙に触れる部位のため、わずかな段差が残ることはあります。できる限りなめらかな形に整えることで、見た目と機能の両立を目指します。

Q:瞬膜フラップはずっと残るの?

A:一時的な処置です。角膜と縫合部が落ち着いたら元に戻します。

Q:抗菌薬はどれくらい必要?

A:症状と検査結果により異なります。感受性検査で“効く薬”を選び、必要な期間だけ使用します。

6. まとめ

  • 瞬膜は黒目を守る大切な膜。
  • フルオレセイン染色で角膜を確認し、瞬膜縫合+瞬膜フラップで保護を強化。
  • 感受性検査で耐性菌を見逃さず、適切な抗菌薬を選択。
  • こすり防止・点眼継続・再診が回復の近道です。


さだひろ動物病院 | Sadahiro Animal Hospital