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糖尿病性ケトアシドーシス

糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)について

DKAは糖尿病がある犬や猫で起きる危険な状態で、適切に治療すれば回復が期待できます。ただし、早急な治療が必要です。ここでは治療方法や注意点を詳しく説明します。

DKAとはどんな病気?

糖尿病の動物では、体に必要なインスリンが足りないことで以下の問題が発生します:

  • 血糖値が異常に高くなる(高血糖)
    細胞がエネルギー不足になると、体は脂肪をエネルギーとして利用します。その過程で「ケトン体」が増え、体液が酸性に傾きます(代謝性アシドーシス)。
  • 体が脱水状態になる
    血糖値が高いと腎臓から大量の水分が失われます。
  • 電解質(体内のミネラル)のバランスが崩れる
    特にカリウムやリンが不足しやすく、心臓や筋肉に悪影響を与えます。

症状はどんなもの?

以下の症状が見られたら、すぐに病院へ相談してください:

  • 元気がない、ぐったりしている
  • 食欲不振、嘔吐、下痢
  • 呼吸が荒い、または深く速い呼吸をしている
  • 水を大量に飲み、トイレの回数が増えている
  • 目や口の周りが乾いている(脱水の兆候)

どうやって診断するの?

DKAの診断は次の3つで確認されます:

  • 糖尿病がある(血糖値が高い)
  • 尿にケトン体が出ている(尿検査で確認)
  • 体が酸性に傾いている(代謝性アシドーシス)

また、次の状態も注意が必要です:

  • 電解質異常(特に低カリウム血症、低リン血症、低ナトリウム血症)
  • 脱水状態(皮膚の弾力低下や乾燥した粘膜で確認)

治療法

DKAの治療目標は、体のバランスを整えて症状を改善することです。

1. 輸液(点滴)治療

目的:脱水の改善、電解質の補正、ケトン体の排出を促進します。

具体的な内容:

  • カリウム補正:
    • 血清Kが3.0~3.5mEq/L:KClを20mEq/L添加。
    • 血清Kが2.5~3.0mEq/L:KClを40mEq/L添加。
    • 血清Kが<2.5mEq/L:KClを60mEq/L添加。
  • リン補正:
    • 生理食塩水500mLにリン酸ニカリウム補正液を5mL添加。
    • 輸液速度10mL/kg/hrで、リン酸として0.05mmol/kg/hr補充。
  • 輸液速度:
    • 初期:10~15mL/kg/hr。
    • 利尿が確認されたら維持量(3~5mL/kg/hr)に減量。

2. インスリン療法

目的:血糖値を安全に下げ、ケトン体の産生を抑える。

方法:レギュラーインスリンを0.1U/kg/hrで投与。6~10時間かけて血糖値を200~250mg/dLまで下げます。

3. 基礎疾患の治療

DKAを引き起こした原因(膵炎、感染症、腎不全など)を同時に治療します。

飼い主さんへのメッセージ

DKAは命に関わる病気ですが、適切な治療を行うことで多くの動物が回復します。

早期発見と治療が重要です。費用や治療の流れについて不安があれば、遠慮せずに獣医師にご相談ください。

動物の健康を守るために、飼い主さんのサポートが大切です!