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糖尿病

原因

犬の糖尿病🐶
自分の免疫で膵臓が破壊され、インスリンが分泌されないことで、血液中の糖が多くなってしまいます。

猫の糖尿病🐱
犬と違ってインスリンを作ることができますが身体が反応してくれないインスリンが不足していることが原因となっています。
結果的に、膵臓でのインスリン産生量が増え、インスリンを増生するとアミリンの産生量も増え、アミロイドが膵島に沈着し、β細胞が死滅する→インスリンの絶対的な不足になります。

肥満や副腎機能亢進症などの病気で糖尿病になることもあります。

慢性膵炎から糖尿病を発症することがあり、過去に肥満していなかった猫が糖尿病になったらおそらく膵炎が原因です。
慢性膵炎の併発(50~60%)。膵臓が徐々に破壊され、インスリンを作る能力がある一線を超えて失われると糖尿病になります。
食べる量は多いのに太らず痩せる、便の量が多い、便が緩い、便が強く匂うなどの症状があります。

先端巨大症: 猫の臓器が大きくなる病気です。特に以下の特徴があります:

•軟口蓋の過長:軟口蓋が長くなることで呼吸がしにくくなります。
•副腎肥大:副腎が大きくなるため、クッシング症候群との鑑別が必要です。
猫のクッシン症候群は皮膚病変が多いです。
ACTHでは鑑別できないので、低用量デキサメサゾン抑制試験が必要です。

症状と診断

  • 成長ホルモンIGF値:IGF値が2倍以上上昇すると先端巨大症の疑いがあります。
  • 画像診断:CTまたはMRIで診断可能です。
  • 見た目の症状:下顎の突出や軟口蓋の伸長によるいびきが見られます。

治療

•薬物管理:ソマトスタチンのアナログ製剤や高容量のインスリンが有効である可能性があります。

併発疾患

•膵炎、肝リピドーシス、化膿性炎症:これらの疾患が糖尿病と関連している場合が多いです。特に化膿性炎症(膿瘍や歯槽膿漏)が原因不明のインスリン抵抗性を引き起こすことがあるため、口腔内のチェックが必要です。

インスリン抵抗因子と管理

インスリン抵抗因子
•治療法:輸液、食事療法、制吐剤など。
•慢性膵炎:プレドニゾロン(0.5mg/kg bid)が有効で、血糖コントロールへの影響は最小限です。
•その他の原因:薬剤誘発性、下垂体性副腎皮質機能亢進症(PDH)、副腎腫瘍、先端巨大症、若年性糖尿病などが考えられます。

食事管理

•糖尿病用療法食:低炭水化物、高たんぱく質の食事を使用し、無理な減量は避けて穏やかな減量を行います。
•併発疾患:膵炎、慢性腎臓病、尿石症、アレルギー疾患などがある場合は、これらの疾患に適した食事を優先します。

リスク因子

•一般的なリスク因子:肥満、中高年、バーミーズ種、室内飼いの運動不足、去勢オス、特定の薬物(グルココルチコイド)。
•DKAのリスク要因:シャム猫、慢性腎臓病(CKD)、高マグネシウム状態。

インスリンとは…
血液中の糖分を細胞内に取り込み、エネルギーを作るホルモンです。
血糖値を下げる唯一のホルモンであり、膵臓で作られます。
正常な子では血糖値は100−200mg/dlで維持されています

症状

•診断基準: 高血糖が300mg/dLで数日持続、持続的な尿糖陽性。
•尿量の増加: 尿中に糖が出てくるので、尿量が増え飲水量も増えます。

•膀胱炎: 尿中の糖分が感染源になるために起こります。

•飢餓: ご飯はたくさん食べるのに、エネルギーが作られず痩せてきてしまいます。

•腎不全: 糖が多く出過ぎてしまい腎臓を破壊してしまいます。

•白内障(犬): 糖が多く出てしまいエネルギー源として代謝することが追いつかなくなり、糖濃度が高い状態が続いてしまうと白内障につながります。
 糖化たんぱくであるソルビトールが水晶体に沈着することで白内障になります。一度蓄積したソルビトールは溶けないので、白内障は治ることはありません。ただし、犬は嗅覚・聴覚も高度に発達しているため、盲目でも生活可能です。

•神経障害: 糖尿病に続発して起こり、手足の神経障害を起こした猫は、踵を地面につけて歩く、ふらつきながら歩く、ジャンプしなくなる、高いところに登らなくなる、などの変化をおこします。

糖尿病性ケトアシドーシス

糖尿病が悪化すると血液中のエネルギー源が不足するため脂肪を分解してエネルギーを作ります。そのため、食欲不振や重度の脱水になり、意識低下につながり命を落としてしまう可能性もあります。
高血糖、かつ尿中のケトン(脂肪分解物質)で診断します。
糖尿病性ケトアシドーシスは糖尿病に長期間気づかなかったり、糖尿病の管理が上手く行かない時に発症します。
点滴や持続的なインスリンの静脈内注射を行い、尿中ケトンがなくなり一般状態が回復するまでは入院管理が必要となります。

 

投与方法

犬🐶(1日2回 ノボリンN)
朝晩で決まった時間に食事して、1時間以内にインスリンを皮下注射します。
ダラダラ食いやご飯がいつでも食べられる状態の場合は、長時間作用のあるインスリンを投与します。

猫🐱(1日1〜2回 プロジンク、ランタスまたはレベミル)
猫は1日通してフードを食べるので、朝のご飯を7割以上食べたらインスリンを皮下注射します。
プロジンクは猫専用の1日2回のインスリンです。

打った後の注意

低血糖: インスリンが効きすぎると血糖値が下がり過ぎてしまい、意識を失ったりけいれんを起こしたり、嘔吐の症状が出ることがあります。

食欲不振: インスリン注射は前後2時間程度のずれは許容されます。
猫が食事をとらない場合は、インスリンを決められた量の半分を注射する必要があります。
注射のあとに食事を食べ始めて完食しても、インスリンは追加しません。
食欲不振が1日以上続くときは、何らかの異変が起きている可能性があるので動物病院を受診してもらう必要があります。
いつもと様子が違うことがあれば、無理にインスリンを注射せずに、すぐ病院にご連絡ください。

自宅管理と通院

•尿糖の測定(週1~数回): 尿スティックで測定します。
•体重測定 週1(体重減少に注意) 体重が増加していたらコントロール良好です。
•治療が不安定な時は週1、安定してきたら4~6週間に1回の来院

病院では体重、血糖値の測定を行います。
院内での血液検査
血糖値が100~300mg/dL程度だと良好な血糖コントロールだと言えます。
1日をとおし、一定数の血糖値以下に保つように血糖値をコントロールする事が理想です。
必ずしも谷の曲線にしなくても良い。
インスリンを注射しているうちに、猫の内因性のインスリン分泌が改善し、血糖値はより理想値に近づきます。
血糖値を下げすぎるとソモギー効果(体が反応して血糖値を急激に上げる現象)が起こります。

糖化アルブミン
3~4ヶ月に1回測定 過去3週間から4週間の血糖値のコントロールを反映します。
健常猫は15%程度 糖尿病でコントロール良好なら30%未満です。

フルクトサミン
過去2週間の血糖値コントロールを反映した検査です。
外注の検査で血液検査を行います。
安価で、来院や預かりのストレスを軽減することができます。


療法食

急激に血糖値が上がりすぎても良くないので、低炭水化物、高タンパク質、食物繊維食で血糖の急激な上昇を予防します。


インスリン製剤と投与量

インスリン製剤の選択は、犬猫の状態や血糖値のパターンに基づいて行われます。
それぞれの製剤には異なる作用時間や効果の特徴があります。
12時間効くインスリンを探す必要があります。

・猫で代表的なインスリン製剤

「プロジンク」
作用時間がしっかり判明しているのはプロジンクのみです。
1日2回投与することで適切な作用時間を得られます。12〜18時間の持続時間と5時間の作用のピークを持つインスリン製剤です。40U/mLの製剤なので、専用のシリンジが使用されます。血糖値の管理と低血糖の予防に適しています。
初回投与量は0.2-0.4U/kgで他のインスリンから切り替える時も、初回投与量からやり直します。
1.5U/kgを超えても血糖値が下がらない場合は併発疾患による強いインスリン抵抗性。
作用時間が長すぎる場合は他の製剤への変更が必要です。
血糖値のピークと底の差は200~250mg/dl程度になるようにコントロールします。

「ランタス」
24時間以上の持続時間を持ち、ピークがありません。
一定した効果を保ちながら、血糖値の変動を抑えることができます。

「レべミル」
6〜10時間の持続時間を持つインスリン製剤です。血糖値の急激な上昇を抑える効果があります。

「トレシーバ」
新しいタイプのインスリン製剤であり、レベミルの後発品で、作用時間が長く、ヒトで26時間以上です。効果は一定しており、ピークがありません。
長い作用時間を持つため、安定した血糖値のコントロールに適していますが、脂肪のようなしこりができやすいという特徴があります。
猫で太りやすくなり、肥満猫では、インスリンが一気に出て、急激にインスリン分泌が下がります。
健常猫では常に緩やかにインスリンが出ます。

・犬で代表的なインスリン製剤

「ランタス」「レベミル」
1日1回投与のインスリンで、24時間の持続時間と12時間の作用のピークを持つインスリン製剤です。

「ノボリンN;neutral;中間型」「プロジンク」
1日2回投与のインスリンで、12時間の持続時間と6時間の作用のピークを持つインスリン製剤です。

「ノボリンR(Regular;速攻型」
常時効くという意味で、入院時に用いるインスリンのため普段使い用ではありません。

インスリンの投与量は体重に応じて調整されます。
血糖値が空腹時に350mg/dL以上の場合は、0.5〜1U/kgの投与量で1日2回使用します。
血糖値が空腹時に350mg/dL未満の場合は、0.25U/kgの投与量で1日2回使用します。
血糖値が350を超えると、一気に尿糖が出ます。
尿糖が起こると、糖に水が引き込まれて脱水が起きます。
脱水している時にインスリンを投与すると、インスリンが効きにくくなるため、インスリンを増量することになります。