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胃瘻(PEG)チューブ

犬猫のPEGチューブについて

PEG(経皮内視鏡的胃瘻)チューブは、食事を自力で摂取できない犬や猫に対し、直接胃に栄養を届けるための方法です。長期間の栄養管理が必要な場合に有効で、獣医師、看護師、そして飼い主が連携して管理します。

手術の手順

  1. 準備とドレーピング
    • 手術部位を清潔にし、ドレーピングは三角形になるように配置します。これにより、手術領域が明確になり、無菌状態を保つことができます。
  2. 腹部正中切開
    • 剣状突起の下に正中線があるため、その部位から腹部正中を切開します。
    • 切開時、鎌状間膜が視野を妨げる可能性があります。その場合、左側だけを電気メスで除去します。
  3. 筋膜と筋肉の処理
    • 正中線が不明瞭な場合、白く薄い筋膜を薄い層でメスで慎重に切開します。
    • 筋繊維が見えたら、筋肉と筋肉の間にモスキート鉗子を挿入し、広げて腹腔内に到達します。
  4. 胃の確認と操作
    • 脾臓は脂肪の上に位置するため、脾臓の方から指で胃を探します。
      • 人差し指を腹腔内に入れ、左上腹部から腹腔内脂肪をつかみます。
      • 脂肪をつかんで体外に引っ張ると、付着している胃が出てくるので、そのまま中央に持ってきます。胃自体を体外に出す必要はありません。
      • 白っぽい組織は脂肪だけと思いやすいですが、実際は大網である可能性が高いです。

 

  1. PEGチューブの挿入準備
    • 左側の腹壁に小さな皮膚切開を加え、ペアン鉗子を突き刺します。
    • PEGチューブの先端をキャッチして、体外に引き抜きます。切開創よりPEGチューブの方が太い場合も、適切な力で引き抜けます。
  2. 胃へのチューブ挿入
    • 胃に3点支持糸をかけ、中央をメスで内腔まで穿刺します。
    • PEGチューブのキノコ部分を2回折りたたみ、ペアン鉗子の先でキャッチします。
    • 胃の穴にペアンを押し込み、回しながら慎重に挿入します。
  3. 胃壁の縫合
    • 胃壁を2周巾着縫合します。過度に締め付けないよう注意します。
    • 重要ポイント: 胃壁と腹壁の固定が非常に重要です。これによりチューブの安定性が確保されます。
  4. 腹壁の固定
    • 助手がアリス鉗子で腹壁を牽引し、腹壁の穿刺部位を押すことで視野を確保します。
    • 裏側は縫合できないため、可能な限り多く縫合して固定します。
  5. 閉創と固定
    • 手術創を閉じ、腹壁も巾着縫合とチャイニーズフィンガートラップ法でチューブを固定します。これによりチューブの脱落を防ぎます。

最新の情報と注意点

  • 🩺 無菌操作の徹底: 感染リスクを最小限に抑えるため、全ての手順で無菌操作を徹底します。
  • 👩‍⚕️ 術後管理: 術後の管理が成功の鍵です。チューブの位置や皮膚の状態を定期的にチェックし、異常があればすぐに対処します。
  • 🍽️ 栄養管理: 適切な栄養計画を立て、必要に応じて専門家と相談します。
  • 🏠 飼い主への指導: チューブの取り扱い方法や注意点を飼い主に詳しく説明し、家庭でのケアをサポートします。
  • 💡 技術の進歩: 最新の研究により、内視鏡を使用した非侵襲的なPEGチューブ設置法も開発されています。可能であれば最新の手法を検討します。

PEGチューブの画像

まとめ

PEGチューブの設置は、犬猫の長期的な栄養管理において非常に有用な手段です。正確な手技と徹底した術後管理により、動物の生活の質を大きく向上させることができます。獣医師、看護師、そして飼い主が一体となってケアすることで、最良の結果を得ることができます。