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顎や舌の下がぷっくり腫れている?犬と猫の「ガマ腫」のサインと外科的治療

愛犬や愛猫の口の中や顎のあたりに、突然「水風船」のようなぷっくりとした腫れを見つけて驚かれていませんか?


「もしかして悪い腫瘍なのでは…」と不安な気持ちでいらっしゃる飼い主様へ。
今回は、この腫れの正体である「ガマ腫(唾液腺嚢腫)」について、原因や当院での手術について分かりやすく解説いたします。

ガマ腫とは?なぜ治療が必要なの?

ガマ腫とは、唾液を作る器官や唾液を運ぶ管が何らかの原因で傷つき、漏れ出した唾液が粘膜の下に溜まって袋状に腫れてしまう病気です。カエルの鳴嚢(のど仏の膨らみ)に似ていることから、通称「ガマ腫」と呼ばれています。

  • 悪性腫瘍(ガン)ではありませんので、その点はご安心ください。
  • ただし放置すると袋が大きくなり、「ご飯が食べられない」「息がしづらい」「気道を圧迫する」といった深刻な問題を引き起こすため、適切な治療や手術が必要です。

なぜ唾液が溜まってしまうのか?

口の周りには大きな唾液腺があり、そこから口の中へ唾液を運ぶ極細の管が存在します。これらが炎症や外傷(硬いものを噛んで傷ついたなど)によって破れると、行き場を失った唾液が周囲に漏れ出し、膜に包まれて袋を作ります。

  • 注射器で中の液体を抜く処置(穿刺)を行えば一時的に腫れは引きます。
  • しかし、根本的な原因である「唾液の漏れ」が解決していないため、数日〜数週間でほぼ確実に再発してしまいます。そのため、外科的な介入が最も確実な治療法となります。

注意すべき異常のサイン・リスク

お家で以下のような症状が見られたら、早めに動物病院を受診してください。

  • 舌の下や顎、首のあたりが腫れている(柔らかく、波動感がある)
  • ご飯を食べにくそうにしている、ポロポロこぼす
  • よだれが異常に増えた
  • 呼吸がズーズーと苦しそう
  • 口の中から出血している(本人が間違えてガマ腫を噛んで破裂させてしまった場合)

腫れが急激に大きくなると、呼吸困難を引き起こすリスクがあるため注意が必要です。

実際の検査と手術へのステップ

  • 検査(針生検): まずは腫れている部分に細い針を刺し、中の液体を検査します。粘り気のある唾液が引けてくればガマ腫の可能性が極めて高くなります。
  • 治療の選択肢: ガマ腫の根本治療には、原因となっている唾液腺ごと摘出する手術や、溜まった唾液を口の中に逃がすための「造袋術(ぞうたいじゅつ)/開窓術(かいそうじゅつ)」などがあります。

当院での手術(開窓術)の具体的な流れ

全身麻酔下で、安全かつスピーディに処置を行います。舌下部にできたガマ腫の圧抜きと排液ルートを作る手術の手順は以下の通りです。

  • 視野の確保と切開: 口を開け、専用の器具で優しく舌を手前に牽引し、口唇部も確保して安全な視野を作ります。ガマ腫を圧迫しながら、舌の付け根(進行方向)にメスで浅く切開を入れます。
  • 唾液の排出(ドレナージ): 切開した穴から小さな鉗子(モスキート鉗子)をガマ腫の端まで通し、中に溜まっていた唾液を外へ排出させます。その後、鉗子を開きながら引き抜き、穴を広げます。
  • 再発防止のための縫合: 広げた穴に綿棒などを入れ、ガマ腫の「中の膜」と「外の膜」を合わせて縫い合わせます。当院では周囲の組織への反応が少ない非吸収性の専用糸(プロリン)を使用し、確実に4点で縫合を行います。これにより、漏れ出た唾液が自然と口の中に流れ出るルートが完成します。

まとめ:飼い主様へ

ガマ腫は適切な診断と手術によって、しっかりと治療ができる疾患です。一時的な処置で様子を見るべきか、根本的な外科治療に踏み切るべきかは、その子の年齢や状態によって異なります。決して自己判断せず、早めに獣医師にご相談ください。大切なご家族が再び美味しくご飯を食べられるよう、しっかりとサポートいたします。


English Summary: What is a Ranula?

A ranula is a swelling under the tongue or in the jaw area caused by saliva leaking from a damaged salivary gland or duct. It is not a malignant tumor, but if left untreated, it can interfere with eating and breathing. Simply draining the fluid with a needle usually results in recurrence. The most effective treatment is surgery, such as marsupialization. During this procedure, an incision is made to drain the saliva, and the inner and outer membranes are sutured together to create a permanent drainage pathway into the mouth. If you notice swelling or excessive drooling in your pet, please consult a veterinarian promptly.

中文总结:什么是舌下囊肿(Ranula)?

舌下囊肿是由于唾液腺或导管受损,导致唾液渗漏并在黏膜下积聚而形成的肿胀。它不是恶性肿瘤,但如果不及时治疗,可能会影响宠物的进食和呼吸。仅用注射器抽液通常会导致复发,因此建议进行外科手术治疗。常见的手术方法是造袋术(Marsupialization),通过切开囊肿排空唾液,并将内外膜缝合,建立一个永久的唾液引流通道。如果您发现爱犬或爱猫出现下巴肿胀、异常流口水或进食困难,请尽快带其就诊。