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耳の腫瘍

1. 耳の腫瘍および疾患の整理

2. 猫の紫外線誘発性扁平上皮癌

初期症状

  • 皮膚の乾燥
  • 慢性皮膚炎
  • 潰瘍化

特に白い毛の猫に多く見られます。

推奨される治療

  • 早期の外科治療が重要です。
  • 腫瘍が前頭部皮下や眼内に浸潤する場合、眼球摘出などの拡大切除が必要となることもあります。

3. 耳介に見られる主な疾患

疾患の種類

  • 肥満細胞腫
  • 乳頭腫
  • 基底細胞腫
  • 組織球腫

特に猫では扁平上皮癌が多発します。

治療法

  • 耳介部分切除術
  • 耳介全切除術

手術時の注意点

    • 後耳介動脈の走行皮膚の接着性に留意することが重要です。
    • 具体的には、耳介軟骨との接着が緩い皮膚の外側面を、耳介軟骨よりも多く、生体側に残すことが必要です。
    • これにより、切除後に軟骨の断端が外部に突出することを防げます。
    • その後、軟骨を適切に被覆しながら、皮膚の外側と内側を隣り合わせて縫合します。

 

横にスクロールでご覧いただけます。

4. 主な腫瘍の種類

良性腫瘍

  • 組織球腫
  • 耳垢腺腫
  • 基底細胞腫

悪性腫瘍

  • 肥満細胞腫
  • 耳垢腺癌
  • 扁平上皮癌

特に耳道では耳垢腺癌の発生率が高く、注意が必要です。

5. 耳道の腫瘍とその治療

耳垢腺腫・耳垢腺癌の臨床的特徴

  • 犬の耳道ではコッカースパニエルが特に好発します。
  • 慢性耳道炎が腫瘍誘発の要因とされています。

耳垢腺腫

  • 良性腫瘍ですが、耳道炎の悪化を引き起こすため、切除が適応となります。

耳垢腺癌

  • 局所浸潤性が強いものの、遠隔転移のリスクは低いとされています。
  • 特に鼓室内浸潤が疑われる場合、全耳道切除術(TECA)外側鼓室胞骨切り術(LBO)が推奨されます。

6. 耳の解剖学的考察

耳介の解剖

  • 血液供給: 後耳介動脈からの内耳介枝中間耳介枝外耳介枝
  • 神経供給:
    • 外側面: 大後頭神経、大耳介神経、第2頸神経の分枝。
    • 内側面: 顔面神経の内耳介神経枝
  • 皮膚の接着性: 耳介軟骨を覆う皮膚で形成され、内側の接着性が強い

耳道(外耳道)の解剖

  • 構成: 垂直耳道水平耳道
  • 重要な血管: 骨性外耳道前背側に隣接する関節後孔に流入する顎関節静脈
  • 顔面神経: 茎乳突孔から分岐。

中耳の解剖

  • 構成: 鼓室、3つの耳小骨筋肉
  • 神経走行: 交感神経が鼓室胞内側に走行。

7. 耳の腫瘍に対する外科的治療法

外側耳道切除術

  • 適応: 外耳道開口部に限局する腫瘍。
  • 手術法:
    • 垂直耳道に平行な2本の皮膚切開を行う。
    • 腫瘍を切除し、軟骨を反転。
    • 耳道壁基部を皮膚と縫合。

垂直耳道切除術

  • 適応: 病変が垂直耳道周囲まで及ぶ場合。
  • 手術法:
    • 垂直耳道切除術に加え、水平耳道骨性耳道も切除。
    • 必要に応じて、外側鼓室胞骨切り術(LBO)を併用。

全耳道切除術(TECA)

  • 適応:
    • 病変が水平耳道の深部に及ぶ場合。
    • 外耳炎中耳炎を伴う場合。
    • 鼓室胞に腫瘍が存在する場合。

8. 鼻咽頭ポリープの治療

治療法と再発率

  • 牽引・剥離術(Traction-avulsion):
    • 再発率: 50%
    • ホルネル症候群発生率: 40%
  • 腹側鼓室胞骨切り術(VBO):
    • 再発率: 2%
    • ホルネル症候群発生率: 80%

9. 猫の耳の腫瘍治療の予後

手術方法による違い

  • 合併症生存期間再発率に違いがあります。
  • 適切な治療選択が重要です。

猫の治療結果

  1. 全耳道切除術+外側鼓室胞骨切り術(TECA+LBO):
    • 中央値生存期間: 58ヵ月以上
  2. 鼻咽頭ポリープ外耳道に及ぶ場合:
    • 牽引・剥離術再発率: 50%

10. 結論

耳の腫瘍や疾患は、その種類や進行度によって適切な治療法を選択する必要があります。特に猫や犬では、腫瘍の発生率進行度が異なるため、早期の診断適切な外科的介入が求められます。解剖学的知識を活かし、合併症のリスクを最小限に抑えつつ、効果的な治療を行うことが重要です。