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はじめに

獣医学の領域では、心肺停止と心肺蘇生処置を受ける患者の数や、生存退院までの状況などについてのデータが非常に少なく、疫学調査が十分にされていないため、改善策を考える必要があります。心肺停止の診断は熟練した獣医師でも困難であるため、15秒以内にA→B→Cの順で確認し、BLSを開始することが重要です。Aは気道、Bは呼吸、Cは循環を確認することで、迅速な判断と決断が必要です。特にCは脈の有無を確認することが重要ですが、時間をかけて確認しようとする傾向があるため、迅速な判断が必要です。

一次救命処置(BLS)

一次救命処置(BLS)は、救急救命処置の中心的で最も重要な内容です。治療という概念から、循環、気道、呼吸の順序で処置を行います。循環は心臓マッサージによる胸壁圧迫で確保し、最も重要な内容です。動物のサイズによって圧迫の場所が異なり、速さと強さはリズムを体に覚え込ませる必要があります。胸壁圧迫の深さは、胸の幅の1/3~1/2まで行い、同じ位解除も重要です。施術者は2分サイクルで交代し、質の高い胸壁圧迫を維持することが必要です。気道と呼吸の確保は胸壁圧迫と同時に行われ、ロ一鼻人工呼吸による換気が最初に行われます。自分ひとりで実施する場合、胸壁圧迫と換気を交互に行う必要があります。

二次救命処置(ALS)

二次救命処置(ALS)では、モニタリングや血管確保、薬物投与、除細動器の使用などが必要です。しかし、ALSの効果を最大限に発揮するためには、BLS(基礎的生命支援)で質の高い胸部圧迫を行うことが必要です。モニタリングでは、呼気終末CO2分圧を用いることが最も有用です。血管確保には、末梢の静脈や骨髄内、気管内が使われます。気管内投与をする場合は、薬剤を希釈してから投与します。

鎮静薬や銀痛薬の拮抗薬を投与して、作用を抑えます。心電図の評価が必要な場合には、血管作動薬を使用して血流を維持し、心室細動の場合には電気的除細動を実施します。さらに、輸液剤の投与を行って血液量を補充します。アミオダロンやリドカインなどの抗不繁脈薬を使用して、難治性VFに対処することもできます。治療は患者の状態に合わせて選択されます。

おわりに

心停止の原因と持続時間によって予後は決まりますが、再開後の症状にも影響されます。人間の場合、再び心停止状態に陥り、死亡してしまうケースが多くあります。PCA期間中には、脳への障害や心臓の機能不全などが引き起こされるため、PCA期間中の治療計画は個々の症例に合わせて行われる必要があります。また、PCA後の血行動態最適化や体温管理が重要であり、中心静脈圧のモニタリングや治療的低体温などが行われます。治療には、個別の状態に応じた方法が必要で、マニュアル化された方法では対応が困難です。