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ネブライザーについて

はじめに

ネブライザーには、ジェット式と超音波式の2種類があります。ジェット式は簡単で衛生管理しやすく、幅広い薬剤を使用できます。

超音波式は微細で均一な霧を作り出すが、衛生管理が複雑で薬剤の配合にも注意が必要です。

ネブライザーは、気道の炎症や感染の治療に使われます。また、気道の問題や粘液の排出を助けるためにも使用されます。ネブライザー療法は安全で効果的な治療法であり、慢性呼吸器疾患の管理にも役立ちます。ネブライザー療法は、エアロゾルを直接吸入する方法と、エアロゾルを室内に噴霧して動物が吸入する方法があります。エアロゾルの粒子の大きさや動物の呼吸の仕方によって、到達する部位が異なります。ネブライザー療法の長所は、少量の薬剤で高濃度の薬剤を直接気道に届けることができ、副作用が少ないことです。しかし、薬剤の到達率や投与量と治療効果の関係が明確ではないため、注意が必要です。また、超音波式ネブライザーの衛生管理には十分な注意が必要です。ネブライザー療法は効果的な治療法ですが、使用時の注意や衛生管理の徹底が重要です。

適応となる疾患

適している病気

・上気道疾患の治療や気道二次感染の予防:感染性鼻炎や猫のウイルス性上気道感染症、慢性鼻炎、伝染性気管気管支炎(ケンネルコフ)、左心不全のない慢性気管支炎など。

・慢性呼吸器疾患の管理:猫の喘息や慢性気管支炎、中程度の細菌性気管支肺炎など。

適していない病気

・咳のない呼吸困難の場合は、間質性肺疾患が疑われるため、全身的な治療法が選択されます。

・心原性または非心原性の肺水腫や重度の細菌性気管支肺炎では、ネブライザー療法を避けるべきです。

急性重度の喘息発作などでは、ネブライザー療法が他の治療法と併用されることがありますが、全身的な薬の投与が優先されます。可能ならば、気管支拡張剤の吸入は加圧式定量噴霧吸入器(pMDI)を使用することが推奨されます。また、好酸球性気管支肺症など気管や気管分岐部に炎症性の病変を引き起こす疾患では、ネブライザー療法によって持続的な咳を引き起こす可能性があるため、避けるべきです。

薬剤の選び方

1.加湿剤:ネブライザーの加湿には、超音波式のネブライザーと生理食塩水が最適です。冷たい蒸気は気管支の収縮や過換気を引き起こす可能性があるため、加湿剤には生理食塩水を使用することが重要です。

2.抗生物質:広範囲の抗菌作用を持ち、水に溶けやすく、刺激が少なく、消化器から吸収されない抗生物質が適しています。アミノ配糖体系の抗生物質が一般的に使用されます。

3.ステロイド:炎症を抑える効果があります。ステロイドの吸入療法では、デキサメタゾンやフルチカゾンなどが使用されます。吸入療法では気道感染症がないことを確認する必要があります。

4.抗アレルギー薬:アレルギー症状を抑える効果があります。クロモグリク酸ナトリウムがエアロゾル療法に使用されることもあります。

5.気管支拡張薬:気管支疾患の治療に使用され、効果が早く持続性もあります。

6.粘液溶解薬:粘液を溶かす効果があります。アセチルシステインやチロキサポールが使用されますが、気道刺激や臭いの軽度な流出が起こる場合もあります。

7.血管収縮薬:鼻の粘膜の充血を改善し、余分な粘液を減らす効果があります。効果は即効性がありますが、持続時間は短いです。

以上がネブライザー療法で一般的に使用される薬の選び方の要点です。獣医師の指示に従い、正確な投与量と使用方法を守ることが重要です。

在宅ネブライザー療法

在宅ネブライザー療法は、手術後の感染予防や慢性呼吸器疾患の管理に安全で効果的です。治療ではなく、予防と長期的な継続が重要です。動物は在宅で行う方が良く、家族も受け入れやすいです。

1.適応

気道のクリアランスが低下しやすく、気道感染が起こりやすい状態や、気道の粘膜が腫れやすい疾患が適応です。永久気管切開術や慢性上気道疾患が主な適応で、気道ステント留置後や慢性気管支炎などにも行われます。ただし、猫の喘息ではネブライザー療法は使われていません。

2.実施方法

有害事象の確認: ネブライザー治療による呼吸困難や咳増加などの有害事象が起こらないことを確認します。
家族への説明: 退院時に、ネブライザーのメンテナンス方法や治療の意義について家族に説明します。ネブライザーの衛生管理や処方薬の保管方法も指導します。専用のケージを使用し、ネブライザー室として利用します。
ネブライザーの購入: 在宅でのネブライザー療法が問題なく行え、入院時と同様の効果が確認できた場合、家族にネブライザーを購入してもらいます。購入時には処方や説明に従って使用するよう指導します。

3.長所

1日に何回も実施可能
通院や入院より治療費負担が少ない
自宅でストレスなく実施可能
内服薬が投与困難な場合でも代替可能

4.問題点

家族にネブライザーや処方薬の衛生管理方法について十分な説明を行えば、大きな問題は生じません。