診察時間
午前9:00-12:00
午後15:00-18:00
手術時間12:00-15:00
水曜・日曜午後休診
*甲状腺の働き*
甲状腺は喉の気管にへばりつくように存在し、体の代謝をサポートするチロキシン(甲状腺ホルモン)を分泌します。
消化管内に運ばれた食物の栄養を体に吸収するのを手助けしたり、心臓の動きや血流をサポートします。
*甲状腺機能亢進症の発症率と症状*
8歳以上の高齢猫では5%程度の子で、甲状腺機能亢進症を発症します。
原因は甲状腺の変性があることにより(結節性過形成)、多すぎる甲状腺ホルモンが分泌されることにあります。
そのほかは良性の腫瘍やがんの発生がありますが、ガンの発生率は少ないです。
代謝が過剰になることで、吸収された栄養が追いつかず、食べても痩せていく(体重減少)
食欲低下
活動性の亢進(よく鳴くようになった、落ち着きがない)
水をたくさん飲み、尿量が増える(多飲多尿)
嘔吐、下痢(消化管の動きが過剰になってしまうことに起因)
毛づやが悪くなる
頻脈、高血圧(心臓の動きを早めてしまい、最終的に心不全になってしまう)
*診断するには*
最初に喉元の甲状腺の位置を触り、腫れていないかを確認します。(50%くらいの検出率)
血液検査では肝臓の数値が上がっていることもあります。
院内で甲状腺ホルモン(T4)を測定して、異常値(>5μg/dl)
*治療薬*
メルカゾール(成分名 チアマゾール)
甲状腺ホルモンの作りすぎを抑えるお薬です。
最小量の1/4錠の1日1回からスタートし、甲状腺ホルモンの低下が見られなければ増やしていきます。
通常1/2錠の1日2回まで増量することが多いです。
投薬を開始して、2週間〜1ヶ月くらいで、食欲不振や嘔吐、下痢、皮膚炎などの副作用が出ることがあるので、最初は1週間ごとに再診察で、全身の体調チェックなどを行います。
また、心臓の聴診で雑音などの以上がないかを確認したり、皮膚の張り具合を見て、脱水を評価します。
甲状腺ホルモンが安定するまでは、2週間〜1ヶ月ごとに甲状腺ホルモン(T4)を測定したり、体重測定などを行います。
甲状腺ホルモンが減ると、食べた栄養が身になるので、体重が増えてくることが多いです。
*腎臓病との関係*
高齢猫では元々腎臓病を持っていることが多く、甲状腺の機能が活発になることで、腎臓が働きすぎることで、あたかも腎臓の機能が正常に見えてしまうことがあります。
甲状腺機能亢進症の治療を行ううちに代謝が落ちるので、元々あった腎臓病が治療開始して1ヶ月後くらいから明らかになることがあります。
腎臓病が明らかになった時は、定期的に血液検査で悪化がないかを確認しながら、
腎臓病の治療を平行して行います。
腎臓は脱水から体を守り、尿毒素を体外に出す働きをしています。
腎臓が破綻すると、脱水を起こし、体内に尿毒素が溜まり、食欲不振や嘔吐などの症状に繋がります。
脱水を改善するために、背中の皮膚の下に、点滴を行います。皮下点滴は外来で行います。
おとなしい子なら、飼い主様が練習すれば、ご自宅でもやることは可能なので、ご希望があれば、やり方をお伝えして、必要な機材をお渡ししています。
*心不全を発症している時は*
甲状腺機能亢進症の悪化で心不全になっている場合は、メルカゾールで治療が追いつかない時は、β遮断薬(心臓の動きをゆっくりにするお薬)やACE阻害薬(血管を広げ、心臓から血液を送り出すのを楽にするお薬)をお勧めしています。
さだひろ動物病院 甲状腺機能亢進症