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猫の甲状腺機能亢進症(バセドウ病)

*甲状腺の働き*
甲状腺は喉の気管にへばりつくように存在し、体の代謝をサポートするチロキシン(甲状腺ホルモン)を分泌します。
消化管内に運ばれた食物の栄養を体に吸収するのを手助けしたり、心臓の動きや血流をサポートします。

*甲状腺機能亢進症の発症率と症状*

8歳以上の高齢猫では5%程度の子で、甲状腺機能亢進症を発症します。

原因は甲状腺の変性があることにより(結節性過形成)、多すぎる甲状腺ホルモンが分泌されることにあります。

そのほかは良性の腫瘍やがんの発生がありますが、ガンの発生率は少ないです。

代謝が過剰になることで、吸収された栄養が追いつかず、食べても痩せていく(体重減少)

食欲低下

活動性の亢進(よく鳴くようになった、落ち着きがない)

水をたくさん飲み、尿量が増える(多飲多尿)

嘔吐、下痢(消化管の動きが過剰になってしまうことに起因)

毛づやが悪くなる

頻脈、高血圧(心臓の動きを早めてしまい、最終的に心不全になってしまう)

 

*診断するには*

最初に喉元の甲状腺の位置を触り、腫れていないかを確認します。(50%くらいの検出率)

血液検査では肝臓の数値が上がっていることもあります。

院内で甲状腺ホルモン(T4)を測定して、異常値(>5μg/dl)

*治療薬*

メルカゾール(成分名 チアマゾール)

甲状腺ホルモンの作りすぎを抑えるお薬です。

最小量の1/4錠の1日1回からスタートし、甲状腺ホルモンの低下が見られなければ増やしていきます。

通常1/2錠の1日2回まで増量することが多いです。

 

投薬を開始して、2週間〜1ヶ月くらいで、食欲不振や嘔吐、下痢、皮膚炎などの副作用が出ることがあるので、最初は1週間ごとに再診察で、全身の体調チェックなどを行います。

また、心臓の聴診で雑音などの以上がないかを確認したり、皮膚の張り具合を見て、脱水を評価します。

甲状腺ホルモンが安定するまでは、2週間〜1ヶ月ごとに甲状腺ホルモン(T4)を測定したり、体重測定などを行います。

甲状腺ホルモンが減ると、食べた栄養が身になるので、体重が増えてくることが多いです。

*腎臓病との関係*

高齢猫では元々腎臓病を持っていることが多く、甲状腺の機能が活発になることで、腎臓が働きすぎることで、あたかも腎臓の機能が正常に見えてしまうことがあります。

甲状腺機能亢進症の治療を行ううちに代謝が落ちるので、元々あった腎臓病が治療開始して1ヶ月後くらいから明らかになることがあります。

腎臓病が明らかになった時は、定期的に血液検査で悪化がないかを確認しながら、

腎臓病の治療を平行して行います。

腎臓は脱水から体を守り、尿毒素を体外に出す働きをしています。

腎臓が破綻すると、脱水を起こし、体内に尿毒素が溜まり、食欲不振や嘔吐などの症状に繋がります。

脱水を改善するために、背中の皮膚の下に、点滴を行います。皮下点滴は外来で行います。

おとなしい子なら、飼い主様が練習すれば、ご自宅でもやることは可能なので、ご希望があれば、やり方をお伝えして、必要な機材をお渡ししています。

*心不全を発症している時は*

甲状腺機能亢進症の悪化で心不全になっている場合は、メルカゾールで治療が追いつかない時は、β遮断薬(心臓の動きをゆっくりにするお薬)やACE阻害薬(血管を広げ、心臓から血液を送り出すのを楽にするお薬)をお勧めしています。

 

さだひろ動物病院 甲状腺機能亢進症