047-700-5118
logo logo

診察時間
午前9:00-12:00
午後15:00-18:00
手術時間12:00-15:00
水曜・日曜午後休診

banner
NEWS&BLOG
血液検査でタンパク質が高い(高タンパク血症)

血液検査の項目で、タンパク質が高い時には、

大きく分けて、脱水か、炎症が起きているかを疑います。

血液検査のTP【総タンパク質濃度】は

  • alb【アルブミン】=摂取したタンパク質や、肝臓で作られたタンパク質
  • Glob【グロブリン】=バイ菌などの異物が侵入した時に作られる抗体

が合わさったものです。


アルブミンが上がっている時は脱水を示し、

グロブリンが上がっている時は炎症があることを意味しています。


炎症とは

ウイルス、細菌の感染

自己免疫疾患【本来異物ではない自己の組織を攻撃してしまう】

腫瘍

によって起こります。


脱水は

胃腸炎による嘔吐や下痢,腎臓病などによっても起こります。


グロブリンが高い時には、

犬ではCRP、猫ではSAA(炎症マーカー)の値を見ることで、炎症が起きているかを知ることができます。

ただ、SAAの測定ではコストがかかってしまうため、

当院では、白血球を顕微鏡で確認し、

若い好中球(band:白血球の中でも、炎症の初期に増加する)がないかを確認します。

白血球が高い時にも確認しています。

ない時には、血液検査の所見に「bandなし」と記載してあります。


グロブリンが高い場合には

どこで病変が起きているか、画像検査を組み合わせて診断していきます。


おうちでできる健康チェック

飼い主様には普段よく観察できるところ

 

  • 呼吸状態(荒くなったり、口を開けて呼吸している、鼻で閉塞音がするなど)
  • 尿の匂いや色、頻度
  • 便の色調や形、頻度
  • 歩行状態
  • 食べ方の変化
  • 眼が濁って見える(ブドウ膜炎)
  • 体表のしこり(体を左右対称にさわり、反対側にないものがしこりです。)

に変化がないかを教えていただき、幅広い検査から、必要な検査を絞りこんで行きます。

この情報が非常に重要なので、気になるところがあれば、些細なことでも教えてください。


病院では、普段症状に出にくいところや、おうちで観察がしにくいところに焦点を当てて検査を行います。

  • 肺のレントゲン
  • 体表腫瘍の細胞診
  • 腹部エコー検査
  • 尿検査

などを組み合わせて病変を探索します。


もし、上記に異常が検出されない場合には、

猫ちゃんでは

  • エイズウイルス(FIV)
  • 白血病ウイルス(FeLV)
  • コロナウイルスの抗原抗体検査を行います。

また、高齢の場合には、

蛋白電気泳動という、高グロブリン血症に対する検査を外注機関に委託します。

これは腫瘍性疾患特有のモノクローナルガンモパシーかを確認するためです。

一部のリンパ腫や白血病、形質細胞性の腫瘍により、起こります。

単一の遺伝子を持つ腫瘍細胞たちが、単一の抗体を産生する特徴を捉えたものです。


グロブリンを4つの分画に分けて分析し、

  • ポリクローナルガンモパチー🌼多種類のグロブリンが増えている場合(主に感染で様々な抗体が体内で作られている🌸
  • モノクローナルガンモパシー🌼単一のグロブリンが増えている場合(腫瘍細胞が1種類の抗体を産生する🌸

 

かを分けます。


モノクローナルガンモパシーの場合には、

Bリンパ球からの腫瘍性疾患が疑われます。(Tリンパ球は抗体を作らないため)


腹部臓器への細胞診

必要に応じて、無麻酔で、肝臓や、脾臓などに細胞診検査を行い、リンパ腫や、形質細胞性の腫瘍細胞が検出されないかを確認します。

肝臓と脾臓はエコーで正常に見えても、上記の腫瘍になることがあるからです。

腹腔内の細胞診を行った後は、5分後に出血が起きていないかをエコーで確認しています。


 

高タンパク血症

グロブリン血症

さだひろ動物病院