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発作重積について🧠

1. 頭蓋内圧とは

頭蓋内には、脳実質(約80%)、血液(約10%)、脳脊髄液(約10%)が含まれており、これらの成分は水分を含んでいます。このような閉鎖的な空間で容積が増加すると、一定の範囲では他の成分が減少し、内圧上昇を抑えます。しかし、関門を超えるとわずかな容積増加でも大きな内圧上昇が起こり、急激な内圧上昇が頻繁に見られます。
脳脊髄液の増加による水頭症や高齢犬に起こる脳内出血を除いて、多くの場合、容積増加の主な原因は脳実質自体の問題です。脳実質の容積増加が起こると、まず脳脊髄液の減少と頭蓋内血液量の減少が起こり、内圧の上昇を抑えます。

しかし、容積がさらに増大し続けると、関門を超えて内圧の上昇が起こります。内圧が上昇している動物では、通常は問題にならないような咳や頭静脈の圧迫、膀胱の拡張による腹圧上昇、頭部の下垂、興奮による血圧上昇などが、内圧の上昇を悪化させる可能性があります。

2.急性期の頭蓋内圧の症状

急性期では、脳出血、脳梗塞、脳炎、外傷性脳損傷があり、脳内の容積増大や脳室の閉塞による脳脊髄液の循環障害により、内圧が急激に上昇することがあります。意識レベルの低下、眼振の消失、運動機能の低下があります。注意すべきは、心拍数が常に正常範囲(60〜100回/分)であるとは限らず、正常範囲でも血圧に対して低い心拍数が見られることです。これらの症状が出た場合には、迅速な対応が必要となります。

3. 慢性期での頭蓋内圧の症状

慢性期の内圧上昇では、一般的に臨床症状は軽度であることが多いです。例えば、脳腫瘍の場合でも、重篤な内圧上昇が起きているにもかかわらず、元気がなく食欲が低下し、頭痛がある程度の症状だけの場合も珍しくありません。
また、意識のわずかな異常や食欲不振、軽度のふらつき程度の症状が見られることもよくあります。急性期のような深刻な症状である皆睡や瞳孔の異常は、慢性期ではあまり起こらないことが多いです(急激な増悪の場合は別です)。

4.痙攣の症状

痙攣の治療は早めに始めるべきです。発作が5分以上続いた場合は「異常に長い」と考えるべきです。ヒトの場合、発作が長時間続き、ごくわずかな不随意運動を伴う場合や、まったく不随意運動を伴わない場合は、明らかな不随意運動を伴う発作と比べて、第1選択の薬に対する反応率が低下することが報告されています(15%対55%)。同様に、発作が始まってから30分以内に治療を始めた場合の反応率は80%ですが、2時間以上経過してから治療を始めた場合の反応率は40%以下と報告されています。つまり、治療を早期に開始することが重要です。

5.治療

浸透圧利尿薬は、脳内圧を下げる目的でよく使われます。これらの薬は作用が短時間で数時間しか持続しないため、基本的には急性期の脳内圧上昇の緊急処置に使われるものであり、長期的な治療とは異なります。
マンニトールや高張食塩液といった、点滴剤を使用します。
犬ではヒトと比べて硬膜外や硬膜下の血腫が非常に少ないので、手術が必要なケースはめったにありません。

また、ジアゼパムやミダゾラム、フェノバールなどといった抗てんかん薬を、血管確保をして静脈注射します。