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避妊手術後の発情🌼🐈卵巣遺残症候群

卵巣遺残症候群とは

卵巣遺残症候群は、不妊手術後に発情徴候を示す症例の総称です。手術時に卵巣組織が取り残されることが原因で発生し、発症まで数ヵ月〜数年かかることが一般的です。

診断方法

卵巣遺残症候群の診断は、ペットが発情の徴候を示しているかを確認し、性ホルモン値の測定を行うことで行われます。確認する発情の徴候には、人に寄り添ったり鳴いたり、足を踏むなどの行動があります。

治療方針

卵巣遺残症候群の治療は、再手術による遺残卵巣の摘出が最も適切です。再手術のタイミングは黄体期中が推奨されています。発情抑制薬による対応もありますが、副作用に注意が必要です。

卵巣に向かう卵巣動脈を、間膜から探していきます。

予後

再手術により遺残卵巣が摘出されれば、予後は良好です。発情抑制薬による治療では、ホルモン剤の副作用に注意が必要です。できれば、発情抑制薬を投与している間に再手術を行うことを検討していただく必要があります。

卵胞の形成で発見しやすくなった卵巣です。

診断

卵巣遺残症候群の診断は、ペットが発情の徴候を示しているかを確認することで行われます。この症状は、残っている卵巣組織の量や血液の供給によって個体によって異なり、不妊手術から数ヶ月~数年後に現れます。初期の発情の徴候は弱く、繰り返すことで徐々に強くなるのが特徴です。発情の徴候には、人に寄り添ったり鳴いたり、足を踏むなどの行動やローリングなどがあります。これらの徴候を確認することで診断を行います。

1回の発情徴候だけでは診断が難しい場合には、これらの発情徴候に周期性があるかどうかを確認することが診断の鍵となります。この症状を確実に診断する方法として、血液中の性ホルモン値の測定が有効です。発情の徴候が見られる時期に血中エストロジェン(エストラジオール-17B)値を測定することも有効だと考えられますが、血中プロジェステロン値の測定を推奨しています。ただし、猫は交尾排卵動物であるため、血中プロジェステロン値の測定前には排卵を誘発する処置が必要です。

治療方針

1. 再手術による対応

卵巣道残症候群の治療としては、再手術による遺残卵巣の摘出が最も適切な方法です。再手術のタイミングとしては、黄体期中、つまり排卵後約40日間が推奨されています。これは、卵巣が正常な形をしておらず、遺残卵巣が卵胞だけでできている
場合もあるため、黄体期中には卵胞が成熟し、発見しやすくなるからです。また、再手術時には、前回の手術時の傷跡を確認し、卵巣遺残症候群の原因となっている組織を正確に特定し、摘出する必要があります。これにより、再発のリスクを最小限に抑えることができます。

2. 抗ホルモン薬による治療

再手術が困難な場合や、飼い主様が再手術を希望しない場合には、抗ホルモン薬による治療が検討されます。これは、エストロゲンとプロゲステロンの生成を抑制し、発情の徴候を減少させることを目的としています。ただし、抗ホルモン薬には副作用があるため、長期間の使用には注意が必要です。また、抗ホルモン薬による治療は症状の緩和を目的としており、根本的な治療にはなりません。

3. 様子見

症状が軽度で、ペットと飼い主様の生活に大きな支障がない場合、様子を見ることも一つの選択肢です。ただし、卵巣遺残症候群は発情周期が続く限り症状が改善されないため、症状が悪化する可能性があります。そのため、定期的な健康チェックを行い、症状の悪化に備えることが重要です。

まとめ

卵巣遺残症候群は、不妊手術後に発情が続く猫に見られる症状で、診断には発情の徴候や性ホルモン値の測定が有効です。治療方針としては、再手術による摘出が最も適切ですが、抗ホルモン薬による治療や様子見も選択肢になります。症状が現れた場合は、早期に相談し、適切な治療を行うことが大切です。