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アナフィラキシー

アナフィラキシーは、アレルゲンと呼ばれる物質が体内に入ることによって全身で急速なアレルギー症状を引き起こします。ヒスタミンの放出により、血管が拡張し、血管透過性が亢進し、血圧が低下し(血液分布異常性ショック)、さらに気管支の収縮や喉頭の腫れにより、息苦しさが生じることがあり、これが進行すると窒息状態に至ることもあります。

急速に症状が進行し、場合によっては気道閉塞や心肺停止に至る可能性があります。

アナフィラキシーショックでは、急性の虚脱が先行し、皮膚症状や消化管症状を伴わない場合が多い。

そのため、症状が現れた際は速やかな対応が不可欠です。重症化するケースでは、呼吸不全や循環不全が命にかかわることがあります。


アナフィラキシーの原因

すべての薬物や異物(食物、ワクチン、抗菌薬、昆虫刺傷など)で発生する可能性があり、初回の投与でなくても起こることがあります。過去にアレルギー反応を示したことがある場合、その物質が再度使用されることでアナフィラキシー反応が引き起こされる可能性があります。ペニシリンやワクチンなどが主な原因となることが多いため、特に注意が必要です。

•ワクチン:特定のワクチンに含まれる成分がアレルギー反応を引き起こすことがあります。(ワクチンに含まれる牛の成分)

過去にアナフィラキシー症状がみられたか否かもお聞きしています。

ダックスフンドはワクチン接種後にアナフィラキシーを発症しやすい傾向があります。そのため、接種後は少なくとも30分間は注意深く観察することが推奨されます。

場合によっては、薬物の投与後、2 ~3時間。病院に一時預かりをして経過を観察することも考慮する必要がある。

抗菌薬(ペニシリン、Bラクタム系抗菌薬)NSAIDs

昆虫刺傷:

食物

造影剤

  • 経口摂取:
    消化器症状や皮膚症状が主に現れます。
  • 静脈内・筋肉内投与:
    抗原が体内に直接入ることで、呼吸困難や急激な血圧低下を伴う重篤な反応が起こることがあります。

消化器系:吐き気、嘔吐、下痢、腹痛、血便が発生します。

皮膚系:じんましん、紅斑、かゆみが発生し、顔面や口唇、眼瞼が腫れることがあります。

1. 犬の場合:

  • 皮膚や消化器症状が多く、特に肝臓と消化管が標的臓器になることが多いです。

 

2. 猫の場合:

  • 肺が標的臓器となり、主に呼吸困難が初期症状として現れます。
  • 循環器症状粘膜蒼白、四肢冷感など主な症状:
  • 腹部の痛みを確認
  • 刺傷痕があるか(顔面や肉球など)
  • 呼吸数: 呼吸の頻度。
  • 体温: 発熱がないか。
  • 粘膜の色、CRT(毛細血管充満時間)、脈の質:
  • 血圧測定や心電図(頻脈性不整脈)
  • (FAST検査)胆嚢壁の肥厚や微量腹水の存在がアナフィラキシーの診断に役立つことがあります。
  • 心エコー検査では、心室内腔が狭くなり、血液の循環が不十分になる状態です。
  • 血液検査による肝酵素の上昇確認
  • 血液検査では、アナフィラキシーやショックが進行している場合、肝臓への血流が悪くなり、肝臓の機能マーカーであるアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)が上昇することがあります。
  • 他の病気と区別する必要があります。たとえば、腹腔内出血、アジソン病の危機(アジソンクリーゼ)、心タンポナーデ、熱中症、出血性胃腸炎、喉頭麻痺、猫の喘息なども、アナフィラキシーと似た症状を示すことがあるため、慎重な鑑別が重要です。

**アナフィラキシーの初期対応:**

  • 早期のアドレナリン投与がアナフィラキシーの予後を大きく改善します。  、気管支を広げ気道の粘膜浮腫を軽減、呼吸困難を改善し、血管を収縮させ、心拍出量を増やし、血圧を上げます。
  • アドレナリンを筋肉内注射10μg/kg(0.01mg/kg)血管確保が難しい時は即座に筋注(5〜15分おきに繰り返し投与)
  •   – 症状が重く、血圧が急激に低下している場合や心停止が認められる場合には、アドレナリンを静脈内投与(5 μg/kg)(0.005 mg/kg)することも考慮されます。(皮下注射は推奨されない)
  • アドレナリン 0.05ug/kg/min,持続静脈内投与

– アドレナリンは**安全域が狭い**ため、慎重に投与する必要があります。

過量投与による副作用として、動悸、心室性不整脈、心筋虚血、肺水腫などが報告されています。ただし、副作用のリスクはあるものの、アドレナリン投与の遅延が状態の悪化を引き起こすことも理解しておかなければならない。

  • 酸素供給: 呼吸が難しい場合は、酸素を供給したり、必要に応じて気管挿管(人工呼吸)を行います。

酸素投与**これらは症状を安定させるために有効ですが、**呼吸が困難な場合は、**気道確保**(気管挿管や気管切開など)が必要です。

***4. 輸液治療:**

循環不全を改善するために、**早急に静脈輸液**を行います。

– **犬の場合**: 10〜20 mL/kg

– **猫の場合**: 5〜10 mL/kg

– この量を10〜15分程度で迅速に投与することが推奨されます。

**生理食塩水や乳酸リンゲル液**

– 投与後、**意識レベル、血圧、粘膜の色**などを確認し、効果が乏しければ、同じ量を再度投与します。

人工コロイド輸液も有用である。ヘタスターチは5mL/kgを15分間ほどかけて静脈内投与し、必要に応じて20mL/kgまで投与することができる®。

**5. その他の治療薬:**

– アドレナリンや輸液で改善しない場合には、**血管収縮薬**としてドパミンやノルアドレナリン、バソプレシンが使用されることがあります。

– **ドパミン**(5〜10μg/kg/分)は、心拍出量を増やし、末梢の血管を収縮させます。

– **ノルアドレナリン**は末梢血管を収縮し、血管抵抗を増大させます。ノルアドレナリン 0.5~1ug/kg/min,持続静脈内投与

– **バソプレシン**はカテコラミン受容体を介さずに血管を収縮させます。バソプレシン 0.003~0.012μg/kg/min, 持続静脈内投与

– **気道が狭くなっている場合**は、**気管支拡張薬**(アミノフィリンなど)が使用され、呼吸を楽にします。

⑥気管支拡張薬

アミノフィリン(ネオフィリン)

10mg/kg (犬)、5mg/kg猫 IV

**6. 抗ヒスタミン薬とステロイド:**

– **抗ヒスタミン薬**(ジフェンヒドラミンなど)(H1ブロッカー・H2ブロッカー)は、皮膚のかゆみや軽いアレルギー反応を抑えますが、アドレナリンに比べて優先度は低く、主に補助的な役割を果たします。

静脈内投与ジフェンヒドラミン0.5~1mg/kg、筋肉内投与

ファモチジン 0.5~1mg/kg、静脈内投与

マロピタントクエン酸塩1mg/kg、皮下/静脈内投与

– **ステロイド**(デキサメタゾンなど)は、アレルギー反応による炎症を抑える役割がありますが、効果が出るまでに数時間かかるため、初期治療としては補助的です。

早期反応にはあまり効果がなく、主に遅発性の炎症反応を抑えるために使用されます。したがって、ステロイドの効果が現れるまでには数時間(4〜6時間)を要します。

•アドレナリンを投与してからステロイドを投与することが推奨されます。ステロイドの投与は、好酸球性炎症反応による遅発性の臨床症状を抑えるために行われ、アナフィラキシーの二峰性反応(症状の再発)を抑制する可能性もあります。

デキサメサゾンの投与量

0.1〜0.2 mg/kg 静脈内投与が一般的に推奨される量です。

特別な場合(重症例など):

• 2 mg/kg が投与されることもありますが、これは特定の重症な状況でのみ使用されることが多いです。

もしくは

メチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウム(ソル・メドロール)

30mg/kg 静注

**7. モニタリングと再発リスク:**

– アナフィラキシーでは、一度症状が改善しても、**再発(二峰性反応)**が72時間以内に起こる可能性があります。そのため、治療後も**継続的なモニタリング**が必要です。