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呼吸困難

ペットの呼吸困難への対応

ペットが呼吸困難になると、迅速な対応が必要です。

異常な呼吸音、速くて浅い呼吸(浅速呼吸)、口を開けての呼吸などの兆候を伴います。

これらの症状は、肺疾患心臓疾患横隔膜ヘルニア気管支炎気管虚脱など、呼吸器系心臓の問題により引き起こされることがあります。舌や歯茎が青白くなることもあります(チアノーゼ)。正常では2秒に1回で、吸気と呼気が同じ長さで呼吸をします。

治療は原因に応じて変わり、酸素供給、薬物投与、肺の画像検査を含みます。

重症の場合は、人工呼吸器の使用や麻酔下での挿管陽圧換気が必要になることがあります。

緊急時には、迅速かつ冷静な対応でペットの生命を守るための治療が施されます。呼吸不全の際の気管挿管時、鎮痛剤等の投与により血圧が急激に低下する可能性があります。また、呼吸困難が見られる場合、体温を20~23℃に保ちながら、症状の重症度に応じた治療を行います。ステロイドの初期投与は避けるべきですが、β遮断薬やニューキノロン系抗菌薬の投与を含む、その他の症状緩和措置が取られることがあります。

吸気性努力呼吸の診断

吸気性努力呼吸では、呼吸回数が20回以下となります。この状態では喉頭部から気管、分岐部にかけて非可動性の病変(腫瘍や異物など)が見られることがあります。異常が疑われる場合、X線検査、内視鏡、またはCTスキャンを使用して診断が行われます。

レントゲンで診るべき所見

吸気性努力呼吸を示しているペットのレントゲン検査では、咽頭部や喉頭部の閉塞病変を特定することが重要です。

軟口蓋の位置と役割: 軟口蓋は、咽頭鼻部(鼻の奥の部分)と咽頭口部(口の奥の部分)を分ける構造です。レントゲンでは、この軟口蓋の長さと位置を確認します。軟口蓋が異常に長い場合、呼吸困難の原因になることがあります。

咽喉頭領域の拡張: レントゲン画像で咽頭(のどの奥の部分)や喉頭(声帯のある部分)が拡張しているかどうかを確認します。拡張が見られる場合、何らかの病変が原因である可能性があります。

喉頭の位置: 喉頭が正常な位置にあるかどうかを確認します。喉頭の位置が異常であれば、呼吸困難やその他の症状の原因となることがあります。

咽頭虚脱: 咽頭が虚脱しているかどうかを確認します。虚脱している場合、呼吸が困難になることがあります。

喉頭の透過性: レントゲンで喉頭の透過性(X線がどれだけ通過するか)を確認します。透過性が低い場合、腫瘍や異物などの存在を示している可能性があります。

気管虚脱(動的): 気管が吸気時に部分的または完全に閉塞することを示します。レントゲンで動的な気管虚脱を確認し、呼吸困難の原因を特定します。

肺に病変があるときの呼吸症状

浅速呼吸

浅速呼吸は以下のような病変が原因で起こります。

  • 肺実質性病変
  • 胸腔内病変
  • 縦隔洞病変(気管裂傷)

これらの病変が進行すると、呼吸は深く速くなります。

胸の深い呼吸と呼吸困難

胸の深い呼吸や呼吸困難は、以下の要因が関与しています。

  • 呼吸器系の異常
  • 延髄の腫瘍
  • 脊髄病変
  • 横隔神経(横隔膜の動きをコントロールする神経)の異常
  • 肋間神経の異常
  • 末梢神経病変
  • 筋肉疾患(横隔膜や肋間筋などの呼吸運動を行う筋肉の異常)
  • 副腎機能亢進症
  • 甲状腺機能低下症

奇異呼吸

奇異呼吸では、吸気時に横隔膜や肋間筋が内側、頭側へ移動します。正常な場合、横隔膜や肋間筋は外側、尾側へ移動します。

また、漏斗胸の場合、吸気や呼気によって胸郭の形は変化しません。

呼吸器のエコー検査について

エコー検査は、胸水や肺の状態を確認するために有効な方法です。以下に、検査のポイントをわかりやすく説明します。

胸水の確認

  • 胸水: 肺の周りに水が溜まっている状態です。エコー検査では、胸水は黒い領域として映ります。
  • 空気: 空気がある部分は、シャドー(影)が見られます。

検査の手順

  1. 心臓周囲の確認: 心臓の周りに黒い液体がないかを注意深く観察します。
  2. 肋骨の間: エコープローブは肋骨の間のどこにでも置いて検査できます。特に、後ろの方は肋骨の間隔が広いため、見やすい場所です。
  3. 胸水の位置: 水は下に溜まる性質があります。動物を立たせた状態で検査すると、胸骨の部分に少量の胸水も確認しやすくなります。

これらのポイントを押さえることで、効果的に胸水や肺の状態をエコー検査で評価することができます。