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乳腺腫瘍と卵巣腫瘍の症例

※手術の写真が含まれます。白黒にしてありますが、苦手な方はご遠慮ください。

 

夏頃、とある飼い主様の、健康診断のご希望から、『いつもは元気だけど、一度全身を組まなく見て欲しいの』というお話しから、血液検査とエコー検査を実施した高齢のわんちゃんをご紹介しようと思います。

 

一見とても元気に見えたダックスとヨーキーのミックス犬の女の子でした。とても元気そうだったので、「血液検査の全身の臓器の機能チェック」はご案内し、「がん検診のためのエコー検査」は飼い主様の判断に委ねたところ、「一応全部見てほしい」というご希望だったので、私自身も「元気だし、必要なかったかなぁ、一応念のため、見ておこうかな」くらいの心積もりでした。

血液検査は特に異常なし。

エコーを当てたら、腎臓の後ろに、蜂の巣状のぼこぼことしたしこりが見つかりました。

脾臓か、卵巣かどちらかからの腫瘍が疑われました。

長年家族として過ごした愛犬が、『初めてきた病院で健康診断なのに、腫瘍かもしれない』と言われる飼い主さんの気持ちを思うと、心苦しい気持ちでしたが、根治を目指す治療、緩和を目的とする治療に分けて、どのくらいの余命、起こりうるリスクなども、お話ししたところ、手術を選択されました。

脾臓の表面に、ポツポツとした腫瘍の残骸があること、左右の卵巣にも通常の4倍を超えるボコボコとしたいびつな構造物、胃の下についている大網も色が充血し、しこり状になっていました。

お腹の筋肉にも腫瘍が飛び散っており、開腹した時は、わんちゃんへの負担から、見える限り外科で取るか、その後の痛みなども考え、ある程度にとどめるかを思案しました。

エコーで確認するよりも派手に広がる癌組織に対して、なるべく少ない麻酔や手術で治療を終わらせてあげたいという考えから、できる限り、腫瘍を取り除くことにしました。

わんちゃんは思いのほか元気で、術後の回復も順調でした。

病理の結果は、最も悪性度の高い腺癌でしたが、幸い、お腹の組織にできていたものは取り残しはないとのことでした。

その後、秋に乳腺に小さなしこりを見つけました。

5mm程度だったので、局所麻酔でくり抜いて切除すると、腺癌でした。

今回は取りきれず、リンパ管への浸潤が見られるとの結果でした。

飼い主さんは、拡大切除を決断されたので、水平方向につながる乳腺、下方向の筋肉も切除しました。

流石に、この手術はワンちゃんも痛かったようで、麻酔の回復はよかったのですが、お家で歩き方がぎこちなくなってしまったり、大好きなソファも、登るのに躊躇してしまっていたそうです。

数日間痛み止めを飲んでもらうことで乗り越えてもらいました。

病理の診断では腺癌で、筋肉まで広がっていましたが、取り残しはなかったという結果でした。

現在、追加の治療、抗がん剤(トセラニブ、パラディア)を週2日程度で投薬しながら、副作用がないか、再発がないかを確認しています。

 

追加の抗がん剤治療を1ヶ月程度続けています。

もうすぐ夏に会ったワンちゃんが重症のがんから3ヶ月の治療で一旦大きな治療を終える予定です。

お母さんと離れると鳴いてしまいますが、痛いことも乗り越えて、よく頑張ってくれています。

時々トリミングでもお世話をしたりして楽しく過ごしていて、私たちスタッフも、元気に過ごしているのを見ると幸せな気持ちになります。

また大きな決断を勇気を持ってされる飼い主さんや、回復して通常の生活に戻ろうとするペットたちを見て、私たちの方が元気をもらうことも多いなぁと感じます。

 

松戸 さだひろ動物病院