047-700-5118
logo logo

診察時間
午前9:00-12:00
午後15:00-18:00
手術時間12:00-15:00
水曜・日曜午後休診

banner
NEWS&BLOG
免疫介在性疾患の治療ガイド

1. 免疫抑制剤に関する現状

免疫介在性疾患(IMHAやITPなど)の治療では、免疫抑制剤の使用ガイドラインがないのが現状です。以下のような薬剤が使われます:

  • プレドニゾロン:即効性があり低コスト。
  • アザチオプリン:効果発現に時間がかかるが併用薬として有用。
  • シクロスポリン:T細胞を抑制。高価だが効果的。
  • ミコフェノール酸モフェチル(MMF):広範囲な効果が期待できる。
  • レフルノミド:リウマチ治療に用いられる新しい薬剤。
  • 免疫グロブリン製剤(IVIG):緊急性の高い疾患に使用。

2. ステロイド(プレドニゾロン)の役割と使用法

プレドニゾロンは、免疫介在性疾患治療の基本となる薬剤です。免疫応答の幅広い部分に作用し、即効性があります。

使用法:

  • 初期投与量:犬の場合、2~4 mg/kg/day、または大型犬で50~60 mg/m²。
  • 継続期間:少なくとも3週間は高用量を維持。
  • 減量方法:1か月に50%以上減量しない。1~2週間ごとに4分の3ずつ減量。

注意点:副作用(多飲多尿、体重増加など)があるため、慎重なモニタリングが必要です。

3. ミコフェノール酸モフェチル(MMF)の特徴

MMFは、T細胞とB細胞の両方を抑制する免疫抑制剤で、近年注目されています。

利点:

  • 骨髄抑制や肝毒性が少ない。
  • 速効性がある。
  • 幅広い適応疾患に使用可能(例:IMHA、ITP)。

使用法:10~20 mg/kg BID(1日2回)。

注意点:消化器症状(嘔吐・下痢)が約24.4%の患者で発生。低用量から開始し、副作用を抑える工夫が必要です。

4. シクロスポリンの役割と注意点

シクロスポリンは、主にT細胞を抑制する薬剤で、アトピー性皮膚炎や免疫介在性疾患の治療に使用されます。

特徴:

  • 血中濃度が安定するまで2週間程度かかる。
  • 5 mg/kg SID(1日1回)では効果が不十分な場合がある。
  • 高コストであるため、経済的な負担を考慮する必要がある。

5. 免疫グロブリン製剤(IVIG)の使用

免疫介在性疾患(特に緊急性が高いIMHAやITP)の治療において、IVIGは重要な役割を果たします。

使用例:

  • IMHA(免疫介在性溶血性貧血)。
  • ITP(免疫介在性血小板減少症)。

注意点:副作用(アレルギー反応や血栓症)があり、高コスト(0.5 g/kgで約3万円以上)であるため、慎重な判断が必要です。

6. 経済的な観点から見た薬剤選択

経済的な制約を考慮した場合、以下の治療費を参考にしてください(10kgの犬1か月分):

  • プレドニゾロン:¥2,328
  • アザチオプリン:¥2,058
  • シクロスポリン(アトピカ):¥54,000
  • ミコフェノール酸モフェチル(セルセプト):¥8,105~¥16,210
  • 免疫グロブリン製剤(IVIG):¥29,710

7. まとめ

免疫介在性疾患の治療では、ステロイドを基軸とし、各薬剤の特性を理解して使用することが重要です。また、患者の状態や飼い主の経済的負担を考慮し、治療計画を立てましょう。