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骨折のリスクは一つの重要なテーマです。特に、トイ犬種の橈骨尺骨骨折については注意が必要です。
トイ犬種の橈骨尺骨骨折は、交通事故や高所からの落下といった大きな外傷よりも、ソファからの飛び降りや抱っこからの落下といった、日常生活の中での比較的小さな事故によって起こることが多いのです。最近では、交通事故による骨折は稀となり、トイ犬種の橈骨尺骨遠位骨折が増えてきています。
1歳未満の若いトイ犬種で体重が2〜3kgの子犬に多く見られ、時には両側を同時に骨折することもあります。このような小型犬の骨折は、大型犬種のそれとは異なり、治療には特別な配慮が必要となります。
大型犬種であれば、外固定やプレート固定、創外固定など、様々な治療法が有効ですが、トイ犬種では事情が異なります。トイ犬種で外固定を行った場合、骨が正常に合わなかったり、骨が完全に癒合しないなどの合併症が発生する率が75%にも上ると報告されています。
そのため、トイ犬種ではプレート固定または創外固定などを行い、確実な整復と十分な固定力を得る必要があるのです。しかし、プレート固定を行った場合でも、合併症の発生率は12.5%と、通常の骨折治療と比較して2〜3倍高くなります。これらの合併症は、インプラントの選択ミスや手術の技術ミスから生じることが多いと考えられています。
近年では、トイ犬種の橈骨尺骨遠位骨折を対象としたさまざまな材質やサイズのインプラントが開発され、それらを使用した新たな手法も提唱されています。これらは骨折治療の選択肢を広げ、より適切な治療を可能にする重要な進歩です。
しかし、その中でも特に重要なことは、骨折治療の基本原則の理解と、症例に最も適したインプラントの選択です。プレート固定の基本原則に従って、適切な手技で治療を受ける必要があります。