047-700-5118
logo logo

診察時間
午前9:00-12:00
午後15:00-18:00
手術時間12:00-15:00
水曜・日曜午後休診

banner
NEWS&BLOG
抗がん剤治療について💉

抗がん剤治療について

抗がん剤は、人の治療と比べて、動物に対する治療では、入院せずに生活の質を重視する計画が立てられます。白血病やリンパ腫など、全身性の腫瘍や悪性度が高い腫瘍に対して効果があります。

腫瘍の種類によっては、抗がん剤が効きやすいものと効きにくいものがあります。抗がん剤治療を行う場合、無治療と比べて平均的な生存期間に3倍ほどの差が出ることがあります。少しでも長く生きることを目的として治療が行われます。

外科療法で腫瘍を小さくしてから抗がん剤を行うこともあります。
・外科で取りきれなかった腫瘍
・全身性にできる腫瘍(リンパ腫•肥満細胞腫など)
・手術だけでは転移が出てしまう場合

がんの治療法

がんの治療法は、大きく分けて以下の3つがあります。

  • ①化学療法:血管から全身に抗がん剤を投与し、全身のがん細胞の増殖を抑制します。
  • ②外科療法:がんの病巣を物理的に取り除きます。全身麻酔が必要です。
  • ③放射線療法:正常な細胞を温存しながら、がん細胞を殺傷します。こちらも全身麻酔が必要です。

副作用

がん細胞は常に分裂を行っており、この分裂している細胞にダメージを与えるのが抗がん剤です。そのため、正常な細胞でも分裂している細胞にはダメージが及ぶ可能性があります。以下は主な副作用です。

  • 骨髄:新しい赤血球・白血球・血小板の生成が抑制されます。
  • 腸の粘膜細胞:胃腸の粘膜が剥がれ、吐き気や食欲不振が生じることがあります。
  • 毛根の細胞:脱毛が起きる可能性がありますが、動物の場合、人間ほど目立つことはありません。

動物の抗がん剤は、延命よりも生活の質を重視し、副作用が少ないものを選びます。そのため、重度の副作用が出ることは稀です。80%の動物に副作用が出ず、20%で軽度の副作用が見られることが多いです。

抗がん剤投薬後2~3日で吐き気、食欲不振、下痢
抗がん剤投薬後7~10日で白血球(好中球の減少)
→ご自宅で体温測定をすることで、平熱を把握し1℃上昇したら病院で白血球数を測定することで早期発見できます。

ご自宅で出来るケア

副作用の予防として、吐き気を止めるセレニアや、下痢を止めるディアバスターの処方があります。抗がん剤投与後、4〜5日目くらいから、骨髄抑制による血液中の好中球が減少し、細菌感染しやすくなります。

敗血症になると急な発熱や体調不良を引き起こす可能性があるため、ご自宅での体温測定や呼吸数測定が有効です。発熱食欲不振が見られたら、すぐに受診することをお勧めします。

重い病気はガン性悪液質でどんどん痩せていってしまうので、高エネルギーの食事を与えましょう。
→ガン細胞は脂肪を使うのが苦手なので、高脂肪で栄養価の高いものにしましょう。
・ロイヤルカナン 消化器サポート(高栄養)
・Hills  i/d
・市販 仔猫用の缶詰 など
⚠️炭水化物はNG
⚠️腸炎•膵炎などの他の疾患がある場合はそれに準じた食事療法にしましょう。
足りない分は強制給餌で補ってあげましょう。

 

抗がん剤について

抗がん剤には、いくつかの種類があり、病院での注射薬や経口薬があります。1週間毎に投与するスケジュールが組まれ、耐性がつかないように薬を組み合わせます。

ビンクリスチン

投与方法:投与前に血液検査を行い、肝臓や腎臓、骨髄機能に異常がないか確認します。静脈留置を取り、点滴をしながら抗がん剤を投与します。

副作用:吐き気や下痢などの消化器障害、ふらつきなどの神経症状が現れることがあります。投薬中は随時薬剤の漏れがないかをチェックし、動物が協力的でない場合は血管外に漏れることがあります。

ドキソルビシン

ドキソルビシンの投与方法と注意点

投与方法

  1. 血液検査: 投与前に以下を確認します。
    • 肝臓・腎臓機能
    • 骨髄機能(特に好中球と血小板数)
  2. 点滴の準備: 必要に応じて静脈点滴または皮下補液を行います。
  3. 投与方法:
    • 30分以上かけて静脈内点滴を実施。
    • 生理食塩水や希釈液で濃度を調整。

副作用

  • 骨髄抑制: 好中球数の減少が投与7~10日目に起こる可能性。
  • 胃腸障害: 投与後3~5日に血便が見られる場合あり。
  • 血管外漏出: 血管外に漏れると周囲組織の壊死リスク。
  • 心毒性: 長期使用で心機能に影響の可能性。

投与スケジュール

  1. 初回投与後のモニタリング: 毎週血液検査を実施。
  2. 再投与の条件: 好中球数が3000/µL以上、または血小板数が75000/µL以上
  3. プロトコール例:
    • Week 1: ドキソルビシン 30 mg/m² を点滴。
    • Week 2~3: 骨髄機能を再評価し必要時再投与。

保存方法

  • 保存期間: 希釈後、室温で7日間、冷所(5℃)で30日間保存可能。
  • 注意事項: 使用直前まで適切に保管。

シクロフォスファミド

投与方法:投与前に血液検査を行い、肝臓や腎臓、骨髄機能に異常がないか確認します。必要に応じて静脈点滴か皮下捕液を行い、シクロフォスファミド(エンドキサン)を皮下注射します。

副作用:まれに出血性膀胱炎を引き起こし、血尿をすることがあります。この抗がん剤を投与した際には、おしっこを我慢させない工夫が必要です。