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気管切開🌸呼吸困難の腫瘍の治療🌸

永久気管切開の概要

永久気管切開は、咽頭腫瘍や頭頚部腫瘍など根治が難しい上気道閉塞疾患に対する最終手段です。上部気道閉塞が続くことで、吸気時に、胸部の肺に負荷がかかり、二次的な漏斗胸(ろうときょう)や、胸水、食道裂孔ヘルニア、巨大食道症、気管虚脱、を発症します。この手術は、呼吸の質を改善し、気胸や胸水のリスクを減少させることを目的とした緩和的な措置です。早期の相談が重要であり、進行した症状では手遅れになることがあります。
吸気時のみに漏斗胸を呈する場合には、奇形ではなく、上部に原因疾患が隠れていることがあります。

手術の目的と適応

永久気管切開は、慢性的な呼吸困難や食事中の窒息リスクを軽減するために行われます。特に扁平上皮癌などの場合、治療は緩和目的であり、生存期間の延長を目的とはしませんが、リンパ腫のように抗がん剤治療が効果的な症例では生存期間の延長も可能です。

手術の種類

永久気管切開術と一時的気管切開術の2種類があります。一時的気管切開術は、短期的な気道確保を目的とし、問題が解消され次第元の状態に戻すことが可能です。永久気管切開術は、回復が見込めない重度の症状に対して行われ、手術後は永続的な気管開口部が必要となります。

術後の管理と予後

永久気管切開後は長期の在宅管理が可能となりますが、犬の場合は生活の質が改善されることが多いです。猫では生存期間や生活の質が向上しづらい場合があります。術後の適切な管理は非常に重要であり、気管切開により生じる生理的な問題にも特に注意が必要です。

症状と初期の対応

持続する努力呼吸は気胸や心臓への圧力を増大させ、呼吸困難をさらに悪化させる可能性があります。いびき、声の変化、吸気時の異常な努力が必要な状態などは、早期の医療介入が必要です。

麻酔導入時の対応

通常、口から気道チューブを挿入して人工呼吸を管理しますが、気道チューブが入らない場合は頸部の気管切開部分からチューブを挿入します。

手術中のリスク

    • 呼吸停止のリスク: 気管切開は生命を支える重要な手術であり、呼吸停止のリスクが伴います。
    • 神経損傷の可能性: 気管の隣に位置する反回神経や迷走神経を傷つけることがあり、これにより眼の動きの異常、嚥下障害、さらなる呼吸困難が引き起こされることがあります。
    • 気道閉塞のリスク: 手術後、粘液や膿により気道が閉塞することがあります。これを防ぐためには、傷が癒合する14日~1カ月間まで、1日2回以上の気管の開口部を生理食塩水で濡らした綿棒で優しく拭い、抗生物質の軟膏を塗布します。

術後の管理

気道の湿度と温度を適切に保ち、湿度50~70%、気温25°Cでの環境を保つことが推奨されます。ネブライザー療法を実施し、気管開口部の衛生管理に努めます。長く呼吸器症状を呈していた症例では、多剤耐性菌を有していることがあり、適切な抗生剤の選択が必要です。

晩期合併症

気管開口部の狭窄や皮膚のしわによる閉塞が問題となることがあります。特に猫では多量の粘液による閉塞や食欲不全が発生しやすいです。閉塞物が悪性腫瘍の場合は、食道チューブを通じて給餌や投薬が行われます。

声の変化について

気管を切開した動物は、声がかすれることがあります。これは永続的な変更であり、所有者はこの変化に注意して適切に対応する必要があります。