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犬の前立腺膿瘍は、前立腺の内部に膿がたまってしまう病気です。見た目はわかりにくいのですが、犬の体調を急激に悪化させ、最悪の場合は命にかかわることもあります。
今回は、この前立腺膿瘍の原因や治療法の一つである大網移植についてわかりやすく解説します。
前立腺膿瘍:細菌が前立腺内で増殖し、膿がたまってしまう状態。
主に未去勢の雄犬で多くみられます。
前立腺には「前立腺関門」と呼ばれる壁のような仕組みがあり、抗菌薬が届きにくいことが治療を難しくしています。
前立腺膿瘍は突然起こるわけではなく、未去勢犬が加齢とともに経験する「前立腺肥大」が背景にある場合が多いです。
前立腺が肥大したままだと、細菌感染の温床となりやすく、膿瘍へと進行してしまうリスクが高まります。
日頃から排尿や排便の状態に注意し、前立腺の健康チェックを行うことが膿瘍予防の第一歩です。
大網とは、胃の下に垂れ下がっている脂肪の膜状組織のことです。血管が豊富で、免疫機能を担う細胞も含まれており、体内で炎症を抑える働きがあるとされています。
なぜ大網を移植するのか?
手術の概要
1. 膿瘍を洗浄・排膿 → 前立腺内の膿を取り除き、きれいに洗浄
2. 大網の一部を前立腺に移植(固定) → 血流や免疫を補うように配置
1. 診断
超音波検査や血液検査で膿瘍を確認。原因菌を調べるために細菌培養検査を行うこともあります。
2. 手術 + 抗菌薬治療
外科的に膿を排出し、大網移植(大網化)を行います。前立腺まで届きやすい抗菌薬を、数週間以上かけて投与することが多いです。
3. 術後管理
長期的な観察や抗菌薬の継続投与が必要になる場合があります。再発防止のため、去勢手術を検討することも。超音波検査で定期的に状態をチェックします。
上記のような症状があるときは、速やかに獣医師の診察を受けましょう。
早期発見・治療が、愛犬の負担を大きく減らします。
参考文献
Carciofi, A. C. et al. (2019). Omentalization of prostatic abscesses in dogs: A retrospective study of 20 cases. Veterinary Surgery, 48(7), 1225-1232.
Leibman, M., & Halling, K. B. (2023). Multidrug-resistant bacterial infections in small animal practice. Journal of Small Animal Practice, 64(7), 433-440.
「2020年版 犬の治療ガイド」生殖器・乳腺疾患の章 ほか
🌷前立腺膿疱の治療