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猫のリンパ腫🐈

猫のリンパ腫とは

猫のリンパ腫は、リンパ系組織に悪性の腫瘍が発生する病気です。猫は人間と同じくリンパ系組織を持っており、リンパ球と呼ばれる免疫細胞が存在します。このリンパ球が発生した腫瘍が、猫のリンパ腫の原因となります。

リンパ腫の発生要因

猫のリンパ腫には、さまざまな要因が影響します。例えば、家族に喫煙者がいると、リンパ腫の発生率が2.4倍になることがあるとされています。また、FeLV感染の有無によっても発症年齢が異なり、FeLV陽性の場合は若齢猫(平均3歳)に多く、FeLV陰性の場合は老齢猫(平均13歳)に多く発症するとされています。

リンパ腫の分類と進行度

リンパ腫は、腫瘍細胞の大きさや免疫学的な分類、解剖学的分類によって分類されます。臨床ステージによっても、病状の進行度合いが異なり、発生部位やサブステージなども影響します。これらの要因に加えて、治療に対する反応やFeLV感染の有無も予後に影響します。

消化器型リンパ腫の特徴

消化器型リンパ腫は、高齢でFeLV陰性の猫に多く見られ、小腸が最も多い発生部位となります。慢性的な嘔吐、下痢、体重減少、食欲低下、腹腔内腫瘤などが臨床症状として現れます。他にも、リンパ腫によっては鼻や口腔、肝臓、脾臓、脳などの発生部位が異なる場合があります。

消化器型リンパ腫の治療方法

消化器型リンパ腫の治療には、手術と抗がん治療を組み合わせたものがありますが、消化管穿孔が懸念される場合や腸閉塞の状態にある場合は抗がん治療のみを行うこともあります。手術ができない場合には、麻酔のリスクや費用、家族の希望などを考慮して、最適な治療法を選択する必要があります。また、消化管に腫瘤が形成されていない場合には、抗がん治療だけでも治療成績が良好であることが知られています。

消化器型リンパ腫の治療成績

消化器型リンパ腫の治療成績は、分類や治療法によって異なります。大細胞性消化器型リンパ腫では、COPを主体としたプロトコールの治療が一般的で、完全寛解率が30-64%、完全寛解期間の中央値が4-8.2ヶ月と報告されています。一方、小細胞性消化器型リンパ腫では、クロラムブシルとプレドニゾンの経口投与が有効で、完全寛解率が69%、完全寛解期間の中央値が22.8ヶ月と報告されています。

縦隔型リンパ腫の特徴

縦隔型リンパ腫は、胸腺や縦隔部、胸骨リンパ節に発生するリンパ腫の総称で、若齢猫に多く発生し、シャム猫や東洋系の猫に多くみられます。約80%がFeLV陽性で、多くがT細胞由来のリンパ腫です。臨床症状としては、呼吸困難、開口呼吸、呼吸促迫、咳、体重減少、元気や食欲の消失、嘔吐などが見られ、胸水貯留が検査所見としてみられることがあります。猫で胸水が貯留する原因の17%がリンパ腫と関連していると報告されています。犬と異なり、高カルシウム血症は稀であることが知られています。

縦隔型リンパ腫の治療方法と成績

縦隔型リンパ腫の治療には抗がん治療が用いられ、完全寛解率が約50%、完全寛解期間が約2-6ヶ月と報告されています。治療成績は良好なものではありませんが、治療法の選択や早期発見によって、症状緩和や寿命延長が期待できます。

猫のリンパ腫の治療と検査

猫のリンパ腫には、種類や臨床症状、治療法によって治療成績が異なります。治療前には、猫の状態や病歴、診断の確定などを十分に評価し、最適な治療法を選択することが重要です。また、治療後には、定期的な検査やフォローアップによって、病状の経過を確認することが必要です。

鼻腔内リンパ腫

鼻腔内リンパ腫は、高齢猫に多く発生し、抗がん治療や放射線治療で治療します。

腎臓型リンパ腫

猫の腎臓型リンパ腫は、猫のリンパ腫の5〜20%程度発生します。症状は、腎不全の症状で、両側性に腫大した腎臓が触知されます。治療法は抗がん剤などがあり、完全寛解率は20〜60%です。

大顆粒リンパ球性リンパ腫

大顆粒リンパ球性リンパ腫は、腹腔内に腫瘍が生じます。細胞質にアズール顆粒を有するリンパ球系腫瘍の総称で、腫瘍細胞の形態は分化の程度に応じて様々です。細胞障害性T細胞あるいはNK細胞由来で、抗がん剤などで治療されます。

リンパ腫発生部位の変化

近年は、FeLV感染猫の減少によりリンパ腫の発生部位が変化しており、縦隔型が減少し、消化器型や鼻腔内リンパ腫が増加しています。しかし、リンパ腫症例は増加傾向にあり、エコーや内視鏡、CTの普及によって診断率が向上しています。

早期発見と治療の重要性

ただし、犬に比べて抗がん治療への反応は良くない傾向があるため、早期の発見と治療が大切です。