診察時間
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午後15:00-18:00
手術時間12:00-15:00
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猫の巨大結腸症(Megacolon)は、結腸(大腸の一部)の運動機能が低下し、排泄されるはずの便が長期間溜まることで結腸が異常に拡張・肥大化する病気です。正常な猫でも、結腸の直径(幅)は脊椎の1.5倍程度までが基準内といわれています。
これを超えて拡張している場合、巨大結腸症の疑いが強いと考えられます。
この病気が進行すると、硬く乾燥した便塊(べんかい)ができてしまい、 慢性的な便秘や排便困難が生じます。
まずは浣腸や腸洗浄で溜まっている便塊を取り除きます。
宿便が臍部(おへそ)より後方にまとまっている場合は、状態を見ながら浣腸の頻度を減らすことも考えられますが、元々巨大結腸を起こしやすい子では便がすぐに溜まりやすいので、急激な頻度の減少は推奨されません。
浣腸だけでは排出困難な硬い便塊については、麻酔下で指や器具を用いて直腸から便を直接取り除く「摘便」を行います。
内科的治療では十分に改善が見込めないほど便秘が慢性化し、結腸が著しく拡張している場合には、腸壁が破裂するリスクを防ぐために、結腸亜全摘という外科手術を検討します。
腸壁が破れれば、腸内の細菌が腹腔内に漏れ出して腹膜炎を引き起こす可能性が高く、非常に危険です。
結腸亜全摘とは、結腸の大部分を切除する手術であり、可能な限り回盲弁(かいもうべん)を温存します。
回盲弁は、小腸側への細菌の逆流を防ぎ、感染を抑える重要な役割があります。
これを残すことで術後の合併症リスクを軽減することが期待できます。
猫の巨大結腸症は、長期間にわたる便秘により結腸が拡張し、硬い便塊が溜まって排出困難になる病気です。
まずは浣腸、摘便、下剤・食事療法などの内科的アプローチで便秘を改善し、再発を防ぐために適切なケアを続けることが大切です。
しかし、内科的治療だけでは十分な効果が期待できない場合や、腸壁が破れるほどに結腸が極端に拡張している場合には、結腸亜全摘手術が検討されます。
手術後は回盲弁の温存、大網の移植、腹壁への固定などの工夫により、合併症のリスクを最小限に抑えつつ回復を促します。
退院後は定期的な通院と、食事や投薬、水分管理をしっかり行うことで、再発防止と体調管理につなげましょう。