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猫の心筋症 🩺肥大型心筋症🫀

猫の心筋症について知る🐱

心筋症は、猫における心臓の筋肉が正常に動かなくなる疾患を指します🐾この疾患は「心機能障害を伴う心筋疾患」とも定義され、猫に限らず多くの動物に見られる病気です。

心筋症には、拡張型心筋症(DCM: Dilated Cardiomyopathy)、肥大型心筋症(HCM: Hypertrophic Cardiomyopathy)、拘束型心筋症(RCM: Restrictive Cardiomyopathy)、不整脈源性右室心筋症(ARVC: Arrhythmogenic Right Ventricular Cardiomyopathy)といったさまざまなタイプが存在します🔍

特に、肥大型心筋症(HCM)は猫の心筋症の中でもっとも一般的なタイプであり、メインクーンやラグドールといった特定の猫種においては、HCMの原因となる遺伝子変異が確認されています。猫に心雑音がある場合、心筋症のリスクが考えられますが、心雑音がないからといって、必ずしも心筋症がないとは限りません🚫👂猫の心筋症は、心雑音がない場合でも存在する可能性がありますので、定期的な健康チェックや診断が大切です🏥

 

心筋症とは?

猫の心筋(心臓の筋肉)が正常でなくなる病気です。特発性と二次性の2つに分類され、多くは特発性です。

どんな症状が見られる?

急な呼吸の荒さや息切れ、体温の低下、食欲がなくなる、嘔吐、四肢の麻痺、突然の死などが考えられます。

心筋症と似た症状の病気

高血圧、甲状腺の異常、大動脈の狭窄、末端肥大症などが似た症状を示すことがあります。

診断

病院での心エコー検査などにより、心筋の状態や厚さを評価して診断されます。

治療

症状の程度に応じて、薬物治療が考えられます。しかし、症状がない場合は治療の必要はありません。

分類

– 特発性心筋症

– 二次性心筋症

頻度

– 肥大型心筋症: 特発性心筋症の2/3

– 拡張型心筋症: 猫の心筋症の10%

鑑別診断

– 全身性高血圧症

– 甲状腺機能亢進症: 肝酵素の上昇を伴うことが多い

– 大動脈狭窄症

– 末端肥大症: 高血糖を伴い、高血糖があれば成長ホルモンの測定を行う

症状

– 急性の呼吸促迫、低体温、食欲廃絶、嘔吐

– 動脈血栓塞栓症による四肢麻痺、突然死

– 肺水腫、呼吸困難

心エコー検査

– 左室壁、左室内径、左室流出路障害、左室収縮機能、左房内血栓の評価

– 6mm以上の拡張末期の左室壁の厚さをもつものは、肥厚があれば確定

– MR SAMの有無は確定診断にはならない

診断基準

– 左室自由壁厚(LVPWD)と心室自由壁厚(IVSD)が5mm未満: 正常

– 5.5-6.0mmの厚み、拡張なし: 擬陽性

– 6.0mm以上、左室拡張なし、全身性高血圧症・甲状腺機能亢進症・末端肥大症なし: HCMと診断

治療

1. うっ血の解除: フロセミド1.1-2.2mg/kg Sid-eod

2. 頻拍(不整脈)のコントロール: ジルチアゼム

3. β遮断薬:

– プロプラノロール 5.0-10mg/head bid-tid

– アテノロール 6.25-1.25mg/head Sid-bid

– カルベジロール 0.1-1.0mg/kg Sid-bid

4. カルシウムチャネル遮断薬: ジルチアゼム 0.5-2.5mg/kg tid

5. 左室流出路障害の軽減:

– エナラプリル0.25-0.5mg/kg Sid

– ベナゼプリル 0.25-0.5mg/kg Sid

– ピモベンダン 0.25mg/kg bid

6. 大動脈血栓血栓症治療:

– アスピリン

– ジピリダモール 12.5mg/head Sid

– 低分子ヘパリン 25-100 IU/kg Sid-bid

– オザグレル 5-10mg/kg bid

– クロピドグレル 18.5mg/head Sid

抗凝固薬(アスピリン、クロピドグレル)

アスピリン

効能: 血栓形成の予防

用量: 5〜10 mg/kg 1週間に1〜2回経口投与

副作用: 消化管出血、胃潰瘍、嘔吐、下痢、肝毒性

副作用の重症度: 高い

クロピドグレル

効能: 血栓形成の予防

用量: 18.75 mg/cat 1日1回経口投与

副作用: 出血傾向、消化器症状(嘔吐、下痢)、皮膚反応

副作用の重症度: 高い

β遮断薬(アテノロール、プロプラノロール)

アテノロール

効能: 心拍数の低下、心筋酸素消費の減少

用量: 1.25〜2.5 mg/kg 1日2回経口投与

副作用: 徐脈、血圧低下、疲労感、嘔吐、下痢、低血糖

副作用の重症度: 中程度から高い

プロプラノロール

効能: 心拍数の低下、心筋酸素消費の減少

用量: 0.2〜1.0 mg/kg 1日3回経口投与

副作用: 徐脈、低血圧、呼吸困難(まれに)、消化器症状、低血糖

副作用の重症度: 高い

カルシウム拮抗薬(ジルチアゼム)

効能: 心筋の弛緩、心臓の充満改善

用量: 1.75〜2.5 mg/kg 1日3回経口投与

副作用: 徐脈、低血圧、疲労感、消化器症状、肝機能障害(まれに)

副作用の重症度: 中程度から高い

ACE阻害薬(エナラプリル)

効能: 血圧の低下、心臓の負担軽減

用量: 0.25〜0.5 mg/kg 1日1〜2回経口投与

副作用: 低血圧、腎機能障害、高カリウム血症、咳、消化器症状

副作用の重症度: 中程度

ピモベンダン

効能: 心筋収縮力の増強、心臓のポンプ機能改善

用量: 0.25〜0.3 mg/kg 1日2回経口投与

副作用: 食欲不振、嘔吐、下痢、徐脈、頻脈、血圧低下(まれに)

副作用の重症度: 低いから中程度