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猫で使えない薬💊

はじめに

猫に対する薬物の効果と安全性についての情報は、犬に比べて不足しています。猫と犬では薬の効果や副作用が異なることがあり、猫にとって適切な薬剤の選択には注意が必要です。

薬物の投与経路

経口投与:
薬剤が食道で停滞しやすいことがあり、特にドキシサイクリンやミノサイクリンのような薬剤では、食道の炎症や狭窄を引き起こす可能性があります。
薬剤を投与する際に、フードやトリーツと一緒に与えたり、水を飲ませたりして嚥下を促進することが必要です。
猫は非常に選り好みがあるため、剤形や味にも注意が必要です。

注射による投与:
注射を行う際には、混合ワクチンの接種部位に肉芽が発生することがあるため、特に肩甲骨の間は避け、注射部位を正確に記録しておくべきです。
皮下に腫れや痛みが生じた場合、速やかに対処する必要があります。

その他の経路による投与:
薬剤によっては、粘膜からの吸収率が高い場合があります。
猫の口腔内に薬物を投与すると、生物学的利用度が高くなることが報告されています。(ブプレノルフィン)
皮膚が薄いため、皮膚を介した吸収も高い場合があります。
これらの特性を理解し、適切な薬物投与経路を選択することが猫の治療において重要です。

薬物の吸収と分布

小腸の容積は犬に比べて小さいため、薬物があまり滞留しません。
満腹時に薬物を投与すると、吸収が促進されることがあります。(クロラムフェにコール)
いくつかの薬物には、猫と犬で吸収率に差があります。例えば、プレドニゾロンの吸収率は犬に比べて低いことが報告されています。(シプロフロキサシンも)
猫は犬よりも循環血液量が少ないため、同じ吸収率の薬物を投与した場合、猫の血中濃度が高くなりやすく、臓器に高濃度の薬物が到達しやすくなります。これは特に脳や心臓など血流の多い臓器で副作用のリスクを高める可能性があることを示唆しています。
猫に薬物を投与する際には、これらの特性を考慮し、投与のタイミングや量を慎重に調整する必要があります。

猫に対して禁忌となる薬剤

1. アポモルヒネ ☠️(禁忌)

•副反応: 中枢神経抑制

•対処法: 猫には使用不可。他の催吐薬を選択する必要があります。

2. アセトアミノフェン ☠️(禁忌)

•副反応: メトヘモグロビン血症

•対処法: 猫には使用不可。代替として、アスピリン(投与間隔を延長して使用)やメロキシカムが推奨されます。

3. シスプラチン ☠️(禁忌)

•副反応: 急性で致死的な肺水腫

•対処法: 猫には使用不可。カルボプラチンなど、より安全な代替薬を使用します。

4. スコポラミン ☠️(禁忌)

•副反応: 行動変化

•対処法: 他の抗コリン薬を選択する必要があります。

5. フルオロウラシル ☠️(禁忌)

•副反応: 神経障害

•対処法: 猫には使用不可。抗癌治療には他の薬剤を検討します。

6. ホスホマイシン ☠️(禁忌)

•副反応: 腎不全

•対処法: 他の有効な抗菌薬を使用します。

7. プロピルチオウラシル ☠️(禁忌)

•副反応: 元気・食欲消失

•対処法: チアマゾールを使用します。

その他の使用に注意が必要な薬剤

1. アスピリン

•副反応: 過呼吸、過敏反応、高体温

•対処法: 投与間隔を延長する、または減量。高用量(0.03mg/kg)は禁忌です。

2. アザチオプリン

•副反応: 骨髄抑制

•対処法: 投与間隔を延長し、減量。またはクロラムブシルへの変更。

3. グリセオフルビン

•副反応: 白血球減少、血小板減少、不可逆性運動失調

•対処法: 猫免疫不全ウイルス(FIV)の感染リスクが高まるため、投与前に感染の有無を確認します。

4. クロラムフェニコール

•副反応: 貧血

•対処法: 減量するか、他の抗菌薬を検討します。

5. ケトコナゾール

•副反応: 肝障害

•対処法: イトラコナゾールなど、より安全な抗真菌薬を使用します。

6. ジアゼパム

•副反応: 肝障害

•対処法: 他の鎮静薬や抗不安薬を使用します。

7. テトラサイクリン系抗菌薬

•副反応: 肝リピドーシス、肝酵素上昇、食欲不振、流涎

•対処法: 他の抗菌薬を使用するか、肝酵素のモニタリングを行いながら慎重に使用します。

8. ドキソルビシン

•副反応: 腎不全

•対処法: 減量が推奨されます。

9. フルオロキノロン系抗菌薬

•副反応: 高用量で網膜障害

•対処法: 減量して使用します。

10. フロセミド

•副反応: 脱水、低カリウム血症

•対処法: 減量して使用します。

11. ベンゾカイン

•副反応: メトヘモグロビン血症、喉頭浮腫

•対処法: リグノカインを使用します。

12. メゲストロール酢酸塩

•副反応: 乳腺過形成、嚢胞性子宮内膜炎、糖尿病

•対処法: 可能な限り他の薬剤を使用します。

13. メトロニダゾール

•副反応: 見当識失調、発作、失明

•対処法: 減量して使用します。

14. モルヒネ

•副反応: 興奮リスクの上昇

•対処法: 減量します。