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猫の食欲不振 食道チューブ

猫では食欲不振が長引いてしまうと、肝臓に脂肪が集まり、肝臓の機能が障害され、肝不全に進行することがあります。
原因は様々ですが、胃炎などの軽度な疾患でも起こることがあります。

軽度な場合は口から注射器を使って流動食を給餌しますが、度重なると嫌がる事も多く、よだれが止まらなくなってしまったり、なかなか上手く給餌ができなくなってきます。

鼻から入れる給餌用のカテーテルは麻酔を必要としない処置で、鼻の穴から細いチューブを食道内に入れ、首の後ろで給餌のキャップを固定します。
細いので、流動食がつまり安いなどのデメリットがありますが、麻酔に耐えられない子や一時的な看護の時では、選択することが多い処置です。

食道チューブは鼻腔に入れるカテーテルの5-6倍の太さのカテーテルを首の皮膚から、食道にかけて挿入します。
施術の時間は5〜10分で、麻酔時間もとても短く済みます。

後ろから給餌するので、猫が嫌がる事は少ないです。
また太いチューブなので、詰まりにくく、ご自宅での給餌も比較的簡単です。
長引く看護の時はこの方法を選択することも多いです。

 


FEEDING TUBE

手術後に食べてくれるかどうかを考え、必要であれば、あらかじめFEEDING TUBEを入れる必要がある。

TUBEの適応基準

  • 食道の狭窄
  • ガン
  • 敗血症
  • 腹膜炎
  • 膿胸
  • 低タンパク血症

他の方法

ミルタザピンで食欲増進

末梢静脈、中心静脈栄養は合併症を伴うことが多い

強制給餌は猫では考えることがある。

給餌するときの栄養量

  • 最低栄養必要量で良い
  • 強制給餌は、猫で栄養を供給するのは非常に難しい。
  • 猫では食欲不振が1−2日続いてくると、代謝性の疾患が問題になってくる。
  • 栄養給餌を考えるときは、猫の年齢とか疾患によって栄養量を増やさない。
  • 以前は疾患(敗血症など)により、1.5-2.0倍をかけていたが、最近は、過剰に栄養を供給しない。
  • 飢餓状態から、急に栄養を給餌してしまうと、電解質バランスの異常や、胃腸疾患のトラブルが出てくる

静脈栄養

  • ほとんどやらない
    • 合併症を伴う
    • 高価

☺︎胃腸系が正常なら、胃腸粘膜を維持するためにも、胃腸を使ってあげる。予後にも影響する。

静脈栄養を行なっても、予後には結びつかない。

腸も使ってあげると、予後が良かった。同時に静脈栄養も行なっていくのは、ポジティブファクターになる。


<予後に悪い因子>

慢性の腎臓病(犬)

猫の慢性膵炎

腸を使って栄養管理を決めるときに考慮すべき事項

栄養の評価

  • 胃腸系がきちんと機能しているか
    • 胃腸が機能しないのは、獣医学領域では少ない。
    • 比較的簡単に行える。
  • どのくらいの期間行なっていかないといけないのか
  • 麻酔は安全に行えるのか
  • 嘔吐をしていないか。
    • 頻繁に嘔吐している症例には、腸に入れるものはできるが、胃は使えない。
    • 犬猫が吐いている原因に対するアプローチが必要。
    • 外科的アプローチも。
  • オーナーが同意するか。
    • 外科手技は簡単だが、オーナーが、チューブを入れることに対して、抵抗を示すことがある。(人ではチューブフィーディングは末期であるため)
    • 他の手術中に入れる場合も、オーナーに電話して同意をとる。
    • ほとんどのオーナーは同意してくれる

チューブタイプ

  • 咽頭~胃にかけてのチューブ

今はほとんど使われていない

  • 胃、腸のチューブ

設置する場合は、犬猫の状態は悪い状態が多い

胃、空腸に関するチューブは大きいので、猫だと、問題になることも

犬20kg以上の場合には有用かもしれない。


  • 鼻カテ

麻酔を許容しない場合には、有用。

設置後にすぐ抜去することができる

アルゴリズムに沿ってチューブを選択

⭐️表挿入

鼻カテ

咽頭部を通す時は首を下に向けて呼気で通過させる。p

心基底部を越えて、下部食道括約筋付近だと逆流が少ない

横付けが投与が行い安い

先をライターで焼く

最低8frを選択

局麻酔で

5Fr猫

大きい犬は8Fr

径が狭いので、詰まりやすい。水溶性のものしかあげられない。

チューブが出てきてしまう。

あまりないが、気管の方にチューブが入ってしまう。

長めのチューブを使うときは胃の中の内容物を出す必要があるとき。

呼吸困難でパンティングしてしまい、胃の中にガスがたまってしまうときなど。

腸まで行かせることも

チューブが十二指腸に先端がきている

これはあまり良くない。

チューブの径が大きく先端が重いので、これで吐いてしまう。

胃から幽門を通過できず、十二指腸に設置できない。

またずれやすいため、何度も確認が必要。

鼻から入れて、食道で止まっても、胃まで入れても、合併症の違いは変わらず。

気管に入っていないか確認

空気を入れてあげて、胃の聴診をして、空気の音を聞くことも。

無菌の生食を入れて、咳をしないか確認

胃に入った場合は、内容物を吸ってpH見ることも。

ETCO2測り、気管に入っているか確認することも。

気管に入ることはまれ。普通に食道に入る。

8-9肋間を目指して設置。

胃に入れたいときはその長さも設置

鼻には、内側から下側に向けて入れると上手くいく。

横から出して固定するが、ヒゲに注意。目の間を通して設置することがある。

縫合は猫には不快。瞬間接着剤の方が良い。

咽頭チューブは設置していない。

食道チューブに変わられている。

フィンガートリップでつけても、一つ一つ結んでも、強度に違いはない。

フィンガートリップでつけても、しっかりつけられる。


【胃チューブ】

動物は非常に良く許容する。

チューブの径も大きいので、詰まらず、色んな食事が取れる。投薬も可能。

食道チューブとの違いは胃の中のガスも抜ける。

麻酔から回復した直後から、給餌が開始できる。

12-24時間は待ってから給餌している。

12-18時間後からぬるま湯、24-36時間以内に給餌スケジュールを開始

初日は必要カロリーの1/2-1/3

瘻孔が、しっかり閉じるのを待つため。

肋骨弓近くでチューブを固定すると呼吸の荒い動物では傷口が広がる。

胃チューブ、腸チューブはすぐに抜けると腹膜炎になるリスクがある。

腸に入れたものは3日経てば、腹膜炎のリスクは少ない

3日以内に抜けると、手術の準備を。

1週間経てば、ほとんど心配ない。

3−7日で抜けたら、しっかりエコーでモニタリングして、腹水がたまってこないか見る。

しっかり食べれるようになっても、7−10日は抜かない。

他疾患のオペの抜糸まではチューブを設置していく

巨大食道症や、食道狭窄の場合には、Gチューブを入れておく

いくつかの方法でGチューブを設置

内視鏡で設置する方法

猫や小型犬では問題ない。

大型犬35kg以上だと、内視鏡で入れるのは懸念がある。

胃の中に液体物が入っている場合は重くなっている

癒着があっても、大きい犬のサイズなので、離れてしまう。

外科

正中ではなく、肋骨アプローチをして、設置している。

内視鏡を使ってアシスタントがやると。

お腹を開けた場合には、チューブを設置している。

18-24Fr

バルーンカテーテルを好んで使っている

マッシュルームのカテーテルを使うときは、かなりの力がいる。

1−2週間くらいで、バルーンが破裂してしまう。

しっかりフィンガートリップすれば、バルーンが破裂しない。

短期間なら、バルーンの方が良いかも。

胃体の左側に設置

巾着縫合の真ん中に穴を開けてチューブを設置する。

巾着縫合締めることにより、体壁に設置

バルーンを膨らませてから巾着縫合

体壁からチューブが入っていて

胃壁と体壁をつけるのに4つの方向から締める。

PDSの吸収糸でもOK

終わった後、チューブが見えないように体壁と胃がくっついていく

チューブを抜いた後胃壁と体壁が癒着するが、非常に弱い固定

左側なので、GDV-VDの固定効果はない

外科手術12時間以上あけてから給餌を開始

a/dは浸透圧高いので、今はa/dではない、浸透圧の低いものを使っている。

浸透圧が高い、膵炎のリスクなど


【症例】

消化管マス切除と同時に胃チューブ設置

開腹しても、敢えて食道チューブにすることもある。

胃のリンパ腫のなど、びまん性に病変が広がる場合は胃に切開するのは懸念がある。

消化管腺癌切除+Gチューブ

慢性的に鼻炎がある場合は、鼻カテよりも、Gチューブ、食道チューブの方が良い。

長期間食べていない症例には、1/4量からスタートする。許容すれば、毎日少しずつ増やしていく。食事:水=1:1で

詰まったときは暖かい水、またはコカコーラの泡で溶かす。(コカコーラは酸が強い。ペプシやジンジャーエールでない方が良い。)


【食道チューブ】

一番オススメ

径の大きいものも入れられる。

猫が引っこ抜いても、合併症が少ない

チューブの先は切らない。丸いままの方がチューブを進めやすい。

(穴は2倍くらい大きく)

食道は気管の左側にある。

※頸静脈を避けようとして腹側に向かうと頸動脈にいってしまう

頸静脈を狙う

肩甲骨と下顎骨の間の食道を狙う。 

チューブがきちんと入っているか、行き過ぎていないかをレントゲンでチェック

心基部から腹部の間にチューブが到達するように

チューブを抜いた後、皮膚も食道も縫わなくてOK

縦切開で2cm未満の長さなら、食道狭窄を起こさない。

ゴムの劣化や、感染症がなければ、4-5カ月は食道チューブの設置が可能。

(コロラド大 最大9カ月)

PEGチューブは4-5日で抜けると問題。

食道チューブの方が合併症が少ない。

咽頭チューブは今はやらない。


【経腸チューブ】