診察時間
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トセラニブは、一部のがん、特に肥満細胞腫や肛門嚢アポクリン腺癌、そして放射線治療後に再発した鼻腔内腫瘍に対して効果が認められています。特に、リンパ節に転移した肛門嚢アポクリン腺癌においては、ステロイドと一緒に使用することでリンパ節が小さくなる可能性があることが報告されています。
トセラニブは、食後に与えることが推奨されています。特に犬に対しては、気持ち悪さを感じる場合があるため、45分前にマロピタント(商品名セレニア)という薬を与えることが考えられます。また、犬猫ともにトセラニブは胃に直接刺激を与える可能性があるため、それに注意が必要です。
猫の注射部位肉腫や脾臓の血管肉腫に対しては、トセラニブの効果は認められていません。
トセラニブを使用するかどうかを決定する際には、まず、ペットがどのような病気を抱えているのかを理解することが大切です。次に、その病気がトセラニブの適応となるか、または効果が期待できるかを確認します。その上で、ペットの一般的な健康状態や既存の疾患、そしてトセラニブの副作用とを考慮して、最適な治療法を選ぶことが重要です。
トセラニブは肛門嚢腺癌、転移性骨肉腫、甲状腺癌、頭頚部癌、鼻腔腺癌、心基底部腫瘍、骨肉腫、副腎褐色細胞腫、インスリノーマなどの上皮系悪性腫瘍に対して使用することがあります。
しかし、腫瘍は時間とともにトセラニブに耐性を持つようになるため、時間の経過とともに殺細胞性抗がん剤への変更が必要になります。また、肉腫や炎症性乳がんにはあまり効果がないことが知られています。
トセラニブを長期的に使用すると、特に消化器系の副作用が出ることがあります。これらの副作用は蓄積性で、特に消化管出血が起こることがあります。
そのため、消化器系の副作用が出たらすぐに休薬が必要です。また、好中球数が1500を切るまでは特に対策を取る必要はありませんが、ALTの上昇についてはあまり気にしなくても大丈夫です。その他にも、高血圧、たんぱく尿、血栓などの副作用があることを知っておくことが重要です。
猫では、トセラニブは肥満細胞腫(MCT)の治療に用いられ、70%の奏功率が報告されています。この奏功率はKIT変異の有無とは相関していません。
しかし、トセラニブの使用には注意が必要で、副作用として骨髄抑制(好中球/血小板減少、貧血)、消化器毒性(食欲不振、嘔吐、下痢)、腎毒性、肝毒性(肝酵素の上昇)、低アルブミン血症(蛋白尿)、高血圧などがあります。
KITは細胞の成長、分裂、移動などに関与するタンパク質で、特にがん細胞の増殖に重要な役割を果たします。KITに異常(変異)が生じると、それが原因でがんが発生することがあります。
一部の抗がん剤は、このKITの活動を抑制することでがん細胞の増殖を抑える効果を持ちます。
ALTは肝臓で主に産生される酵素で、肝臓の状態を示す指標として使用されます。肝臓に問題があると、このALTの値が血液中で上昇します。
しかし、トセラニブを使用する際は、ALTの上昇はあまり気にしなくても大丈夫とされています。それはALTの上昇がトセラニブの副作
用として頻繁に見られるため、それ自体が直ちに問題を示すわけではないからです。