診察時間
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手術時間12:00-15:00
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GDV(胃拡張・胃捻転症候群)は、犬の重篤な疾患で、胃が異常に拡張し、捻転する特徴があります。一般的な症状は腹が膨れることや吐くことはない悪心や多量のよだれがよく見られます。病態生理は完全に解明されていませんが、胃の拡張と捻転が関与しています。GDVのリスク因子には、年齢(中高齢の犬が多い)、体格(大型から超大型犬)、既往歴(胃腸の障害や脾臓の関連)、遺伝、食事(ドライフードや給与方法)、ストレスや環境要因があります。他にも気圧や血清ガストリン濃度、食道の運動性なども関連性が指摘されています。
GDV(胃拡張・胃捻転症候群)の診断には、症状、身体検査、X線検査が重要です。犬が落ち着きがなく不安そうで鳴いたり、腹部が膨れている様子が見られる場合があります。身体検査では、拡張した胃や臓器を感じたり、胃を叩くと高い音が聞こえることが多いです。X線検査では、胃の拡張と変位が確認できます。血液検査は合併症や状態の評価に役立ちます。乳酸値の異常は胃の壊死の程度や生存率と関連があります。獣医師はこれらの情報を総合的に判断し、迅速な治療を行います。GDVは緊急を要する病態であり、早期の発見と適切な対応が重要です。
GDV(胃捻転)の緊急処置として、輸液療法や胃の減圧・洗浄が行われます。内科的治療では抗菌薬の使用やステロイドの慎重な検討が行われます。外科手術では、胃の膨れや変位の矯正、壊れた組織の取り除き、胃の固定が行われます。手術は早めに行われることが一般的で、胃捻転の矯正や胃壁の修復が行われます。胃固定術も行われ、再発のリスクを減らします。最適な胃固定術の方法はまだ確定していませんが、ベルトループ胃固定術や切開胃固定術がよく使用されます。
胃切除手術後の管理には以下のポイントがあります。
●食事管理:
胃切除手術を受けた場合、手術後48時間後には流動食を始めることがあります。
胃切除をしなかった場合は、24時間後から食事ができることが一般的です。
通常は1〜3日で自分で食事が摂れるようになるはずです。
食欲不振が長引く場合は、食道チューブの設置も検討されます。
●合併症:
・不整脈: 手術後72時間以内に不整脈が起こる可能性があるため、心電図のモニタリングが必要です。
・凝固障害: 凝固障害が発生する場合があり、必要に応じて新鮮凍結血漿の使用が検討されます。
・急性腎不全: 全身の循環や組織への血液供給が低下することで急性腎不全が起こる場合があり、尿量や腎機能を監視します。
●内科管理:
・鎮痛剤: 術後の鎮痛治療には消化管への影響を避けるため、非ステロイド性抗炎症薬の使用は避け、オピオイド系の鎮痛薬が一般的です。
・抗菌薬: 術後の抗菌治療には広域スペクトラムの抗菌薬が使用され、壊死の有無によって使用期間や種類が異なります。
以上が、胃切除手術後の管理の要点です。これらの対策を適切に行うことで、手術後の合併症や悪影響を最小限に抑え、早期の回復を促すことができます。