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骨の腫瘍

骨腫瘍の分類

骨腫瘍は大きく二つのタイプ、原発性と転移性に分類されます。原発性骨腫瘍は骨自体が癌の発生源となるもので、転移性骨腫瘍は他の体の部位から骨に癌が広がるタイプです。

骨腫瘍の診断と鑑別診断

初期の鎮痛剤投与で一時的に改善されるものの、症状が再発することが一般的です。そのため、鎮痛剤での改善が5日以上続かない場合、レントゲンや血液検査を含む複数の診断テストを推奨しています。

診断時には、原発性腫瘍としての骨肉腫(85%)、組織球肉腫、軟骨肉腫(>5-10%)、線維肉腫、血管肉腫(〈5%)などがあり、治療法は断脚が一般的ですが、予後は異なります。転移性腫瘍には形質細胞腫やリンパ腫があり、化学療法が主な治療法です。非腫瘍性疾患として細菌性または真菌性の骨髄炎が挙げられます。

骨肉腫の一般情報

この腫瘍は大型犬に多く見られ、特に四肢の骨格に75%、体軸骨格に25%の確率で発生します。骨肉腫は前肢に頻繁に見られ、後肢の発生率の約2倍です。

主な発生部位には、前肢の橈骨遠位端と上腕骨近位端(肘から離れた部分)、後肢の大腿骨遠位端と脛骨近位端(膝に近い部分)です。

病変部の軟部組織も腫れます。

骨肉腫の転移と診断

骨肉腫は非常に高い転移率を持ち、診断時には90%以上の症例で肺への転移が見られます。しかし、リンパ節への転移率は5%未満と低く、全身的な傷病で麻酔がかけられない時は、外来で領域リンパ節の細胞診を行い、骨肉腫、転移性骨腫瘍、骨肉腫の大まかな鑑別を行います。

リスク要因と予後

骨折歴や金属インプラントがある動物では骨肉腫が発生しやすいとされています。また、過去に腫瘍の治療で放射線を照射した部位も、晩発障害の腫瘍が発生するリスクがあります(〈10%,2~5年後)。予後因子としては、発生部位、年齢、悪性度、および物理的要因が挙げられます。特に断脚後のアルカリフォスファターゼ(ALP)の上昇は予後を悪化させる可能性があります。

治療と影響

骨肉腫の治療には通常、断脚が行われ、これにより痛みからの一時的な解放が得られます。生存期間を延ばすためには、外科手術に加えて化学療法が必要です。

組織球肉腫の概要

組織球肉腫は犬の筋肉から発生し隣接する骨に広がります。リンパ節への転移が一般的で、外来での細胞診により診断されることが多いです。

転移性腫瘍の治療

多発性骨髄腫やリンパ腫などの転移性腫瘍は抗がん剤で治療され、全身の病変を画像検査や、血液検査(グロブリンマーカー)で精査します。

猫の骨腫瘍

猫の四肢の骨腫瘍は稀で、主に骨肉腫が見られ、断脚後の生存期間は24~44ヶ月です。

骨肉腫のX線所見の概要

骨肉腫の特徴的なX線所見には、以下のようなパターンが含まれます:

    • 骨融解と骨形成の混在:これは最も一般的なパターンで、骨肉腫では骨融解(骨が溶ける現象)と骨形成(骨が形成される現象)が混在します。
    • 原発巣のカテゴリーTの判別:皮質骨を越えているかどうかが重要な区別点です。
    • 地図状・虫食い状の骨融解:広範囲にわたる単一の骨融解や、小さな孔が多数存在する浸透状の骨融解が見られます。この部分を生検で採取します。溶骨反応が大きい場合は、ジャムシディ骨生検針では病的骨折を起こす可能性があるため、それよりも細いTru-cut針や23G針で採取します。
    • 骨膜反応:サンバースト陰影やコッドマン三角など、活発な骨の反応が特徴です。
    • 非常に活動性の高い病変:急速に進行する骨肉腫では、異常な速さで骨が変化します。
    • 組織学的特徴:骨芽細胞の異常な増殖と骨基質の不均一な増生が見られます。

ジャムシディ骨生検

  • ジャムシディ骨生検針で、回転しながら病変部位に刺入。
  • 一定の深さまで達したらスタイレットを抜いて、2cmほど進める。
  • 生検針を回転して深部の骨組織を離断。X線で確認することも可能。

Jamsidiの注意点

  • 骨髄まで入れていく。針が反対の皮質骨に到達するまでアプローチする。
  • 血液希釈に注意。合併症の可能性(感染、血腫、腫瘍の播種など)。
  • 禁忌:出血傾向。アーチファクトを受けやすい。
  • 生検する場所は1箇所に限定する。パンチアウト、Tru-cutも同じ考え。
  • 皮質骨に到達したら内筒を外して、外套だけ進める。