047-700-5118
logo logo

診察時間
午前9:00-12:00
午後15:00-18:00
手術時間12:00-15:00
水曜・日曜午後休診

banner
NEWS&BLOG
⚠️目が溶けちゃう…!? 放置NGな「融解性角膜潰瘍」をサクッと解説🐶💊

角膜が溶ける!?「融解性角膜潰瘍」とは

犬の眼科診療において、緊急性が高く注意が必要な病気のひとつに「融解性角膜潰瘍(ゆうかいせいかくまくかいよう)」があります。
これは、角膜の実質が進行性にゲル状・液状に変化し、文字通り「溶けて」しまう恐ろしい病態です。

💡 なぜ溶けてしまうの?


通常、角膜は「壊す酵素(プロテアーゼ)」と「守る物質(インヒビター)」のバランスが保たれています。
しかし、細菌感染や激しい炎症によってこのバランスが崩れると、酵素が暴走し、角膜のコラーゲンを破壊し始めます。
特に緑膿菌などの細菌や真菌感染、また短頭種(パグやシーズーなど)は進行が早く、あっという間に穴が開く(穿孔)リスクがあります。

今回、原因や背景が異なる3つのケースを通して、その治療と全身疾患との関わりについて解説します。

Case: 全身疾患(糖尿病)が背景にあったケース

  • 犬種・年齢:ヨークシャー・テリア(12歳・避妊雌)
  • 背景:4年前から糖尿病を治療中。左眼は重度のドライアイ。

右眼のまぶたの腫れと白濁で来院されました。検査の結果、角膜全体がむくみ、中心部が融解している状態でした。細胞診では細菌(大腸菌)の関与が確認されました。
糖尿病があると末梢神経障害により「角膜の知覚(痛みを感じる力)」や「涙の量」が低下し、感染症にかかりやすくなります。

【治療と経過】
抗生剤の点眼と内服に加え、角膜が溶けるのを防ぐために「血清点眼(抗コラゲナーゼ作用)」を集中的に行いました。
感染はコントロールできましたが、角膜のダメージは深く残り、眼球摘出も検討されるほどでしたが、ご家族の希望で内科治療を継続し、眼球を温存しています。

Case: 眼内疾患(水晶体脱臼)が引き金になったケース

  • 犬種・年齢:パピヨン(15歳・高齢・避妊雌)
  • 背景:白内障があり、水晶体が前方にズレて(脱臼)角膜を裏側から圧迫していた。

急激に目が白くなり、痛み(しょぼつき)が出た症例です。水晶体が角膜の内皮細胞を物理的に圧迫し、さらにブドウ膜炎を併発したことで角膜が融解しました。
また、以前から使用していた抗炎症点眼薬(ステロイドやNSAIDs)が、角膜の治癒を遅らせ、融解を助長してしまった可能性も考えられます。

【治療と経過】
来院翌日には角膜に穴が開き(穿孔)、水晶体が飛び出してしまいました。
激しい痛みによる生活の質(QOL)の低下や、視覚回復が見込めないことから、最終的に眼球摘出術を選択しました。
水晶体脱臼やブドウ膜炎の治療では、抗炎症薬の使用は慎重に行う必要があり、こまめなチェックが重要です。

Case: 短頭種特有のリスクにより穿孔したケース

  • 犬種・年齢:シー・ズー(3歳・去勢雄)
  • 背景:目が大きく飛び出している、まばたきが不完全などの短頭種特有の特徴。

他院で治療していましたが改善せず、角膜に穴が開いてしまいました。
短頭種は、目が乾きやすく、角膜の知覚も鈍いため、傷の治りが遅くなりがちです。そこに感染が加わると急速に融解が進みます。

【治療と経過】
まだ若く、視覚温存の希望があったため、緊急手術(角結膜スライド術および眼内洗浄)を実施しました。
術後は感染対策を徹底し、移植した組織が無事に定着。炎症は残りましたが、視覚と眼球を守ることができました。
短頭種は術後も色素沈着やドライアイが起きやすいため、長期的なケアが必要です。


まとめ:眼だけでなく「全身」を診る重要性

融解性角膜潰瘍は、単なる「目の傷」ではありません。
今回のケースのように、背景には以下のような疾患が隠れていることが多くあります。

  • 全身性疾患:糖尿病、クッシング症候群、甲状腺機能低下症など(免疫低下や神経障害を引き起こす)
  • 他の眼疾患:ドライアイ(乾性角結膜炎)、水晶体脱臼、ブドウ膜炎など

👨‍⚕️ 専門医からのアドバイス

なかなか治らない角膜潰瘍を見たときは、眼の検査だけでなく、全身のスクリーニング検査(血液検査や血圧測定など)を行うことが非常に重要です。
特に高齢の動物では、高血圧や隠れた腫瘍(リンパ腫など)が関与している場合もあります。
「たかが目の傷」と侮らず、全身の状態を把握しながら迅速に治療を開始することが、視覚と眼球を守る鍵となります。

English Summary

Melting Corneal Ulcers in Dogs: 3 Case Reports
Melting corneal ulcers are severe conditions characterized by the progressive dissolution of the corneal stroma due to an imbalance between proteases and inhibitors, often triggered by infection.

We reviewed three cases with different underlying causes:
1. Systemic Disease: A diabetic Yorkie with dry eye, where neuropathy and immunodeficiency exacerbated the ulcer.
2. Ocular Disease: An elderly Papillon with lens luxation, where mechanical irritation and uveitis led to rapid melting and perforation, requiring enucleation.
3. Anatomy: A brachycephalic Shih Tzu, prone to corneal exposure, which developed a perforated ulcer treated successfully with surgery.

Key Takeaway: Persistent corneal ulcers often indicate underlying systemic (e.g., diabetes) or ocular issues. Comprehensive screening and early intervention are crucial for saving the eye.

中文摘要

犬融解性角膜溃疡:3例病例报告
融解性角膜溃疡是一种严重的眼科疾病,其特征是由于蛋白酶与抑制剂失衡(常由感染引发),导致角膜基质进行性溶解。

本文总结了三个具有不同潜在病因的病例:
1. 全身性疾病: 一只患有糖尿病和干眼症的约克夏梗,因神经病变和免疫力低下导致溃疡恶化。
2. 眼内疾病: 一只患有晶状体脱位的老年帕比容犬,因机械性刺激和葡萄膜炎导致角膜迅速融解穿孔,最终不得不摘除眼球。
3. 解剖学特征: 一只短头种西施犬,因眼球突出易受损,导致溃疡穿孔,通过手术成功保留了眼球。

结论: 难治性角膜溃疡常提示潜在的全身性(如糖尿病)或眼部疾病。进行全面的全身筛查并尽早干预对于挽救视力至关重要。