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「たかが5mm」が命取り?2日で急成長したお口のしこり【外科症例】

こんにちは。松戸・新松戸の「さだひろ動物病院」です。

今回は、「口唇(くちびる)にできたしこり」の外科手術を行ったチワワちゃんのケースをご紹介します。

「小さなデキモノだから様子を見ようかな?」と思われがちですが、獣医学的な視点で見ると、実は早期の対応がとても重要になるケースがあります。
なぜ早めの手術が必要だったのか、当院がどのようなこだわりを持って手術をしたのかを解説します。

🐶 今回のわんちゃん

  • 犬種:チワワ(ブラックタン)
  • 性別:男の子(2.14kg)
  • 症状:右のくちびるに5mmのしこり。
    「ここ2日くらいで急に大きくなった気がする」とのことでした。

なぜ「様子見」は怖いの?

今回、私がすぐに切除をご提案した理由は、飼い主様の「2日で大きくなった」というお話と、できている場所が「口唇(粘膜と皮膚の境目)」だったからです。
ここは、以下のような“顔つきの悪い”腫瘍ができやすい要注意エリアなんです。

  • 悪性黒色腫(メラノーマ)
    進行がとても早く、小さいうちからリンパ節や肺へ転移してしまう怖い病気です。
  • 肥満細胞腫
    「偉大なる詐称者」とも呼ばれ、見た目だけでは正体がわかりません。急に腫れたり引いたりするのが特徴で、今回の「急に大きくなった」という点とも重なります。
  • 扁平上皮癌(へんぺいじょうひがん)
    周りの組織を壊しながら広がります。放っておくと顎の骨まで溶かしてしまうことがあります。

「たかが5mm」でも、これらが隠れている可能性があるため、検査と治療を兼ねた切除を行いました。

手術のポイント:マージンと深さ

手術の最大のテーマは、「悪いものを絶対に残さないこと」です。

  • 水平方向:5mmのマージン
    腫瘍ギリギリで切ると、目に見えない細胞が残って再発するリスクがあります。今回は5mmのしこりに対し、さらに周りの正常な皮膚を5mm含めて広めに切除しました。
  • 垂直方向:粘膜下織(ねんまくかそき)まで
    広さだけでなく「深さ」も重要です。表面だけ削るのではなく、解剖学的な層を意識して、奥にある「粘膜下織」という層まで一塊としてしっかり切除しました。

お顔だからこそ。「糸」へのこだわり

お口周りはご飯を食べたり吠えたりとよく動く場所。しかも唾液にさらされるため、傷が開いたり感染したりしやすいデリケートな部分です。
そこで当院では、「PDS 4-0」という特別な糸を使用しました。

  • 汚れがつきにくい:ツルッとした単糸(モノフィラメント)なので、バイ菌がつきにくいです。
  • しっかり支える:傷がくっつくまで、長期間しっかり強度を保ってくれる吸収糸です。
  • 極細の「4-0」サイズ:チワワちゃんのような小さなお顔にダメージを与えないよう、あえて細い糸を選びました。

院長より

小さいうちに見つけて、適切な「マージン(余白)」を持って手術できれば、再発率を下げ、お顔の変形も最小限に抑えられます。
お口周りのしこりで不安なことがあれば、いつでもご相談くださいね。


🇬🇧 English Summary

Title: Surgical Case: Lip Tumor in a Chihuahua – Understanding Malignancy Risks & Surgical Margins

In this post, we discuss a surgical case involving a lip tumor in a Chihuahua (Male, 2.14kg). The owner noticed a rapid growth of a 5mm mass on the lip within just two days.

Why Early Surgery?
Lip tumors can be malignant (e.g., Melanoma, Mast Cell Tumor, Squamous Cell Carcinoma) even if they look benign. Rapid growth is a warning sign.

Our Surgical Strategy:

  • Wide Margins: We secured a 5mm safety margin around the tumor to prevent recurrence.
  • Deep Resection: The excision included the submucosal tissue layer.
  • Suturing: We used PDS 4-0, a fine monofilament absorbable suture, to minimize tissue trauma and infection risk.

Early detection allows for curative surgery with better cosmetic outcomes.

🇨🇳 中文摘要

标题:【外科病例】吉娃娃唇部肿瘤——恶性肿瘤的风险与切除范围(Margin)的重要性

本次介绍一例吉娃娃(雄性,2.14kg)唇部肿瘤的手术病例。主诉是发现嘴唇上有5mm肿块,并在两天内迅速变大。

为何不能继续观察?
唇部肿瘤可能是恶性黑色素瘤、肥大细胞瘤或鳞状细胞癌。即使外观像良性,也需要警惕。

本院的手术策略:

  • 确保切除范围(Margin):为了防止复发,我们在肿瘤周围保留了5mm的正常皮肤组织进行扩大切除。
  • 深度控制:切除范围深达粘膜下层组织。
  • 缝合技术:选用 PDS 4-0 单丝可吸收缝合线,降低感染风险并减少组织损伤。

早期发现不仅能提高治愈率,还能最大程度保持面部美观。