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「見つけてくれてありがとう」――ガラスケースの中にいたその子が、あなたを「家族」に選んだ本当の意味。

新しい子犬や子猫を迎えるとき、私たちは誰もがキラキラした未来を想像します。
ドッグランで走る姿、一緒に眠る夜、健康に年を重ねていく日々。

けれど、生き物との生活は、時に私たちの予想を裏切ることがあります。

「どうしてうちの子だけ?」「何か間違っていたのかな?」


迎えてすぐに体調を崩してしまう子、生まれつき体が弱かった子……。
そんな時、行き場のない不安や怒りを感じるのは、決して悪いことではありません。
それだけ真剣に、その子の幸せを願っていた証拠だからです。

1. 「完璧な命」はこの世に一つもありません

どれだけ信頼できる場所から迎えても、生き物の体には「絶対」がありません。それは人間と同じです。
一見トラブルに見えるその病気や不調は、誰のせいでもなく、もしかすると「その子が生まれ持った個性の一つ」なのかもしれません。

  • 病気があっても、お薬が必要でも、その子は今、あなたの目の前で一生懸命に生きています。
  • 「健康であること」だけが、愛される条件ではないはずです。

2. 治療と生活、どちらも壊れないように

通院の手間、毎日の投薬、そして決して安くはない治療費。
これらが積み重なり、飼い主さん自身の生活や家計が圧迫されると、ふと心が折れそうになる瞬間が来ます。

「私の生活は、この子のためにあるの?」
「いつまでこれが続くんだろう」

そう感じるのは、あなたが冷たいからではありません。それだけ必死に、今の生活を守ろうとしているからです。

私たち獣医師が一番恐れているのは、病気が治らないことではありません。
無理を重ねた結果、飼い主さんが追い詰められ、最愛だったはずの存在を「この子さえいなければ」と重荷に感じてしまうことです。
それだけは、絶対に避けなければなりません。

きれいごとではない「対話」をしましょう

だからこそ、私たちと「建前(タテマエ)」のない会話をしませんか?

  • 「治療してあげたいけれど、生活費を削るのは限界がある」
  • 「仕事が忙しくて、これ以上の通院は正直きつい」

それは決して恥ずかしいことではありません。
あなたの生活が守られて初めて、ワンちゃんの幸せな居場所も守られるからです。

険しい道のりかもしれませんが、私たちはプロとして、あなたの生活(予算や時間)の中でできる「最善の選択肢」を一緒に探します。

3. その小さな命にとって、あなたは最初で最後の「温もり」です

動物たちの視点から少しお話しさせてください。
小さな子犬や子猫であっても、彼らは人間よりもずっと駆け足で生きており、常に「死」とお隣合わせの儚い存在です。

もし、あなたがその子を選ばなかったら、どうなっていたでしょうか。
ペットショップやブリーダーのガラスケースの中で、あるいはもっと無機質な場所で、「誰の特別(オンリーワン)」にもなれないまま、ひっそりと命を終えていたかもしれません。

けれど、その子はあなたに見つけてもらいました。
名前をもらい、抱っこされ、自分だけを見てくれる「家族」の温もりを知ることができました。

  • たとえ体が弱くても、一緒にいられる時間が想像より短かったとしても。
  • 「その他大勢の一匹」ではなく、あなたの「家族」になれた。

その子にとっては、それこそが何よりも代えがたい幸福なのです。
あなたを見上げるその瞳は、いつだってこう言っています。

「見つけてくれてありがとう。
愛してくれてありがとう」

4. その子の「犬生」を丸ごと尊重する

治療が必要でも、それは「失敗」ではありません。
あなたがその子を選び、その子があなたの元へ来た。その事実に変わりはありません。

「長生きすること」だけが正解ではなく、
「今日一日、この子が安心して眠れること」
……そんな瞬間の積み重ねこそが、その子の幸せな「犬生」です。


獣医師からのメッセージ

私たち獣医師は、病気を治すプロですが、その子の人生(犬生)を輝かせることができるのは、飼い主であるあなただけです。

もし、不安で押しつぶされそうになったら、診察室でそのままの気持ちを話してください。
私たちは病気だけでなく、その子の人生を一緒に背負うパートナーでありたいと思っています。

どんなにデコボコな道でも、あなたが笑っていれば、ワンちゃんにとってはそこが一番の幸せな場所なのです。