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「食べることは、生きること」
全臼歯抜歯という決断と、そこから見つかったもう一つの物語
こんにちは。
今回は、ある一匹の猫ちゃんと、そのご家族の物語をご紹介します。
「抜歯手術」と聞くと、少し怖いイメージを持たれる方もいるかもしれません。
しかし、その大きな決断がどのようにその子の未来を変えたのか、少し長くなりますが、ぜひ読んでいただければと思います。
来院されたのは、3歳の男の子でした。
1年ほど前から歯茎の赤みが気になり、ごはんを食べるときもどこか痛そうにしている、とのことでご相談をいただきました。
診断:難治性の歯肉口内炎
猫ちゃんの口内炎は、人間が想像する何倍もの痛みを伴います。
自分の歯に対して過剰な免疫反応が起きてしまい、口の中が常に火傷をしているような激痛に襲われる病気です。
治療の選択肢は大きく分けて二つありました。
ご家族と何度も話し合い、私たちは「全臼歯抜歯(全ての奥歯を抜く手術)」を行うことになりました。
一見健康に見える歯を抜くことは、飼い主様にとって決して簡単な決断ではありません。
「かわいそうではないか」「ご飯は食べられるようになるのか」
たくさんの葛藤があったと思います。
それでも、「この痛みから解放してあげたい」「これからの長い猫生を、美味しくご飯が食べられるようにしてあげたい」という強い愛情で、手術へと踏み切られました。


手術は無事に成功し、翌日には退院することができました。
痛みから解放され、順調に回復していく姿に私たちも安堵していました。
しかし、この物語には続きがあります。
術後の経過観察のため、抜歯した傷口のチェックに来ていただいた時のことです。
手術前には聴こえなかった「心臓の雑音」が、わずかに聴取されました。
「念のため、詳しく検査をしましょう」
すぐに心臓の超音波検査を行ったところ、隠れていた「拘束型心筋症」という病気が見つかったのです。
心臓病が見つかったことはショックな出来事かもしれません。
ただ、お口の治療という大きな壁を、ご家族と本人が一緒に乗り越えてくれたからこそ、巡ってきたタイミングだったのかもしれません。
ご家族の「元気になってほしい」という真っ直ぐな想いが、結果として、お口だけでなく体全体の健康を守るきっかけを作ってくれたのだと思います。
早期発見できたことは、本当に不幸中の幸いでした。
現在は、お口の痛みもなくなり、心臓のお薬を飲みながら、元気に過ごしています。
定期検診でも心臓の状態は安定しており、ご家族の愛情に見守られながら穏やかな日々を送っています。
「食べることは、生きること」
その当たり前の幸せを守るための決断が、結果としてこの子の体全体を守ることにつながりました。
病気と向き合うのは怖いことです。
でも、その一歩を踏み出した先には、痛みから解放された穏やかな時間が待っています。
小さな体で手術を乗り越えたこの子と、その背中を押してくれたご家族に、心からの拍手を送りたいと思います。
“To Eat is to Live”: A Story of Bravery and Early Detection
This is a story about a 3-year-old boy cat suffering from severe stomatitis and the loving decision his family made. To free him from chronic oral pain, his owners decided to proceed with a full mouth extraction. It was a difficult choice, but one made out of deep love for his future quality of life.
The surgery was successful, relieving him of his pain. However, the story didn’t end there. During his post-operative checkups—visits that only happened because his family was so dedicated to his recovery—we detected a faint heart murmur that had previously been silent. Further testing revealed Restrictive Cardiomyopathy (RCM).
Because his family chose to face his oral health issues head-on, we were able to catch this hidden heart condition before any serious symptoms appeared. He is now pain-free and managing his heart health with medication. This early detection was a fortunate gift, brought about by his family’s courage and care.
「能吃就是福」:關於勇氣與早期發現的故事
這是一隻受嚴重口炎折磨的3歲小公貓,與深愛他的家人的故事。為了讓他從長期的口腔疼痛中解脫,主人即使心疼,仍勇敢地決定為他進行「全臼齒拔牙」手術。
手術非常成功,他終於不再疼痛。然而,故事並未就此結束。正是因為主人在術後積極配合回診,我們在檢查傷口復原情況時,意外發現了原本聽不到的心臟雜音。經進一步檢查,確診為「限制型心肌病(RCM)」。
如果不是主人當初決心治療他的口腔問題,如果沒有術後細心的回診,這個隱藏的心臟病可能會被忽視,直到症狀惡化。現在,他不僅擺脫了口腔疼痛,心臟狀況也因為早期發現而透過藥物控制得很好。這份幸運,是主人的愛與勇氣為他帶來的最好的禮物。