腹水貯留の原因精査と外科手術について
腹水の貯留が認められたため、緊急開腹手術を実施いたしました。開腹による詳細な確認の結果、脾臓・卵巣の腫瘍化に加え、腹膜全体への微小な病変の広がり(播種)が確認されました。本記事では、手術で確認された各臓器の状態と処置についてご報告いたします。
脾臓の確認と摘出
開腹後、まずは脾臓の状態を確認いたしました。
- 脾臓尾部の病変:
臓器の端にあたる「尾部」に、数カ所の小さな腫瘤(しこり)を確認いたしました。
- 摘出処置:
脾臓からの出血リスクや腫瘍の悪性度を考慮し、血管シーリングシステムを用いて安全かつ迅速に脾臓の全摘出を行いました。

卵巣腫瘍と子宮の摘出
続いて、生殖器系(卵巣・子宮)の確認を行いました。左右ともに顕著な病変が認められました。
- 両側卵巣の状態:
左右両方の卵巣に、多数の嚢胞(液体の貯留した袋状の病変)と、茶褐色の小さな腫瘤が確認されました。
- 右側卵巣の肥大:
特に右側の卵巣には、大きな腫瘍の形成が見られました。
- 摘出処置:
血管処理を行い、卵巣および子宮をまとめて摘出いたしました。

腹膜播種(ふくまくはしゅ)の確認
今回の腹水貯留の主たる要因と考えられる、腹腔内全体への病変の広がりが確認されました。
- 大網の硬結:
胃に付着している膜である「大網」の全域が硬くなっており(硬結)、茶褐色の腫瘍が広がっている状態でした。
- 腹膜播種:
お腹の内側を覆う「腹膜」にも、微小な腫瘍が多数散らばっている様子が確認されました。これは病変が腹腔内に播種(転移)していることを示唆します。
- 処置:
大網については、血管と膵臓を温存しながらシーリングシステムにて切除を行いました。また、腹膜に見られた微小腫瘍についても確認を行っています。

術後の経過と管理について
手術は予定通り、脾臓・卵巣・子宮・大網の摘出を完了いたしました。
術後については、消化器症状や全身状態の変化に細心の注意を払う必要があります。
- 合併症への警戒:
手術操作や病状の影響による術後イレウス(腸閉塞)や膵炎の発症に注意が必要です。
- 今後の治療:
摘出した組織の病理検査結果を待ちつつ、慎重に術後の全身管理を継続してまいります。