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【症例報告】「足を残さない」という選択 — 開放骨折とFIV、そして猫のQOLを守るために

ある日、一匹の猫が当院に運ばれてきました。
外での過酷な生活を物語るように、その体は傷つき、特に左後ろ足の状態は深刻でした。

診断は、下腿骨(脛骨・腓骨)の開放骨折
折れた骨が皮膚を突き破り、外界にさらされている状態です。

さらに、術前検査ではFIV(猫免疫不全ウイルス)の陽性反応も確認されました。

本日は、この猫ちゃんとご家族が選んだ「断脚」という治療の決断と、その後の歩みについてお話しします。

開放骨折とFIVという壁

通常、骨折の治療は「骨をつなぎ、元通り歩けるようにすること」を目指します。しかし、今回のケースは非常に複雑でした。

  • 感染のリスク
    開放骨折は、骨が外気に触れているため、細菌感染のリスクが極めて高くなります。骨髄炎を起こせば、命に関わる敗血症につながる恐れもあります。
  • FIV陽性の影響
    免疫機能に影響を与えるFIVを持っているため、術後の感染コントロールや骨の癒合(くっつき)が、健康な猫よりも難しくなる可能性がありました。
  • 治療の長期化と負担
    足を温存するためには、特殊な整形外科手術に加え、長期間の入院と頻繁な洗浄処置が必要です。それは、保護されたばかりの猫にとって、精神的にも肉体的にも大きなストレスとなります。

「治す」ことの定義

私たちはご家族と膝を突き合わせ、何度も話し合いました。
高度医療センターでの整形外科手術という選択肢もありましたが、移動の負担や、治療が長期化することによる猫自身の苦痛、そしてご家族の経済的・精神的な負担も無視できません。

「足を残すこと」にこだわって、痛みの続く時間を長引かせるのが正解なのか?
それとも、足を失ってでも、痛みから早く解放してあげるべきなのか?

ご家族が出した結論は、
「断脚」でした。


それは決して治療の放棄ではなく、「この子が一日でも早く、痛みなくご飯を食べ、安心して眠れる日常を取り戻すため」の、愛情ある苦渋の決断でした。

3本足での新たな猫生(にゃんせい)

手術は無事に成功し、彼は左足を失いました。
しかし、動物たちの適応能力には驚かされます。術後の彼は、まるで重い足枷が取れたかのように、残された3本の足で器用にバランスを取り、力強く歩き始めました。

その後も、FIVに関連する口内炎や腎臓の数値の変化など、いくつかの健康課題とは向き合い続けました。
それでも、ご家族は自宅での点滴や投薬を欠かさず、最期の時まで彼を支え続けました。足を失ったハンデを感じさせないほど、彼は愛され、守られていたのです。

獣医師としての想い

獣医療において、「断脚」は敗北ではありません。
時にそれは、動物のQOL(生活の質)を劇的に改善し、命を守るための積極的な治療手段となります。

今回のご家族のように、動物の将来を見据え、難しい決断を下された飼い主様の勇気に、私たちは心からの敬意を表します。

もし、同様の怪我や病気で悩まれている飼い主様がいらっしゃれば、一人で抱え込まずにご相談ください。
「その子にとっての一番の幸せ」を、一緒に考えていきましょう。

Summary

The Choice to Amputate: Protecting Quality of Life for a Rescued Cat with FIV and an Open Fracture

A cat was brought to us in critical condition with a severe open fracture of the tibia and fibula. Tests also revealed he was FIV positive.
Given the high risk of infection due to the open fracture and his compromised immune system, attempting to save the leg would have required multiple surgeries and prolonged hospitalization, causing immense suffering.
Prioritizing his relief from pain and a return to a peaceful life, the family made the difficult decision to amputate. This is a story of a cat who lived strongly on three legs, supported by a loving family.


摘要 (中文)

截肢的選擇:為了守護FIV陽性與開放性骨折救援貓的生活品質

一隻貓咪被送到醫院時情況危急,左後腿患有嚴重的脛骨與腓骨開放性骨折,且確診為FIV(貓愛滋)陽性。
考慮到開放性骨折的高感染風險以及FIV導致的免疫力低下,若堅持保留腿部,需要進行多次手術並長期住院,這將對他造成巨大的痛苦。
為了讓他盡快脫離劇痛,重獲平靜的生活,家屬做出了艱難的「截肢」決定。這是一個關於貓咪用三條腿堅強生存,以及家人深情守護的故事。

#猫の骨折 #断脚手術 #FIV陽性 #開放骨折 #動物病院