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今日お話ししたいこと
本日は、若い猫の患者さんに対する「予防的な避妊手術」の症例についてお話しします。健康な体にメスを入れることに、抵抗を感じる飼い主様は少なくありません。しかし、獣医療において若齢時の避妊手術を推奨するのには、明確な医学的根拠があります。今回は、実際の術前検査から、動物の負担を最小限にするための「卵巣のみの摘出術」、麻酔の拮抗薬を用いた「日帰り手術」の利点について、外科医の視点から論理的にお伝えします。
安全な全身麻酔と手術を実施するためには、徹底した術前評価が不可欠です。本症例の術前検査結果は以下の通りです。
これらの客観的データに基づき、本患者さんは全身麻酔および外科手術に対する十分な耐容能があると判断し、手術適応といたしました。
「病気ではないのだから、自然のまま様子を見たい」というお声をいただくことがあります。しかし、避妊手術を行わずに放置した場合、将来的に以下の残酷なリスクと直面する可能性が極めて高くなります。
これらは「自然な老衰」ではありません。避妊手術は、これらの防げるはずの苦痛から動物を守るための、最も確実で論理的な予防措置です。
本症例では、子宮は摘出せず、「卵巣のみを摘出する術式(卵巣摘出術)」を選択し、血管の処理には「シーリングデバイス」を使用しました。



動物に恐怖や痛みを感じさせないことが、外科医としての最低限の責務です。
当院の外科手術における術後管理プロトコルとして、以下の体制を敷いています。
本症例における日帰り対応:
上記の体制を完備した上で、今回の避妊手術においては「日帰り」での対応としました。手術終了後、使用した鎮静剤に対する拮抗薬(アンチセダン)を投与することで、患者さんを速やかに麻酔から覚醒させます。夕方まで院内で安全にお預かりし、覚醒状態が十分に良好であることを確認できたため、入院による多大なストレスを避けるべく、その日のうちにご自宅へお帰りいただきました。これが、動物にとって最も負担の少ない選択です。
いかに負担の少ない術式を用いても、外科介入である以上リスクはゼロではありません。
本症例においても、術後は食欲が少し低下するなどの一般的な反応が見られましたが、下痢や嘔吐といった消化器症状はありませんでした。ご自宅での経過は極めて良好であり、術後規定の期間で無事に抜糸を完了しています。
当院では、自身の技量と設備の限界を正確に把握し、患者さんの「命」を最優先に考えた紹介ポリシーを定めています。今回の軟部外科領域に関する当院の適応基準は以下の通りです。
避妊手術は「一般的な手術」と軽視されがちですが、私たちは決してルーチンワークとして扱いません。一つひとつの命に対し、麻酔のリスクを計算し、臓器を牽引する痛みを最小化し、将来の排尿トラブルをも見据えた術式を選択しています。そして、拮抗薬を用いて速やかにご家族の元へお返しするための最善の技術を駆使してメスを握っています。
大切なご家族を私たちに託していただき、誠にありがとうございました。退院後も、何かご不安な変化があればすぐにご連絡ください。
This case report details a prophylactic spay procedure (ovariectomy) performed on a young cat. To minimize surgical stress and postoperative pain, we elected to remove only the ovaries while leaving the uterus intact. This approach significantly reduces visceral pain from traction and logically prevents structural complications such as urethral displacement, which can lead to urinary incontinence. Additionally, a specialized vessel-sealing device was utilized to eliminate the need for suture materials inside the body, completely averting the risk of suture reaction granulomas.
Our anesthesia protocol included an antagonist (Atipamezole) to reverse sedation swiftly and safely, allowing the patient to return home on the same day. While we aim for early discharge to reduce the psychological stress of hospitalization, our clinic maintains rigorous postoperative management through a high-definition remote pet camera system. If any signs of distress or pain are detected overnight, the chief veterinarian will personally intervene and provide necessary analgesia, regardless of the hour. We are committed to an evidence-based, pain-free approach to ensure the highest standard of surgical care and patient welfare.
本病例报告详细介绍了一只年轻猫咪的预防性绝育手术(仅卵巢摘除术)。为了最大程度地减少手术压力和术后疼痛,我们选择仅摘除卵巢而保留子宫。这种方法不仅显著减轻了牵拉内脏带来的剧痛,还从解剖学角度有效避免了尿道移位等可能导致尿失禁的并发症。此外,我们使用了专业的血管闭合设备,避免在体内留下任何缝合线,从而彻底消除了缝合线反应性肉芽肿的风险。
我们的麻醉方案采用了拮抗剂,使患宠能够迅速、安全地苏醒,并于手术当天顺利出院。虽然我们倡导早期出院以减少宠物住院的心理压力,但我们依然通过高清远程宠物摄像头系统保持严格的术后监控。如果夜间发现任何疼痛或异常迹象,院长将亲自赶赴医院提供必要的镇痛治疗。我们始终坚持以循证医学和无痛治疗为导向,致力于提供最高标准的临床外科护理与动物福利保障。