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【症例報告】手術しただけじゃ治らない?愛犬のパテラ手術前に絶対に知っておくべきリアル

手術しただけじゃ治らない?愛犬のパテラ手術前に絶対に知っておくべきリアル

愛犬がパテラ(膝蓋骨脱臼)と診断され、いざ手術を控えているとなると、本当に不安になりますよね。そのお気持ち、とてもよく分かります。


しかし、手術はあくまで「骨の構造を整えるスタートライン」に過ぎません。このブログでは、実際の症例の経過をもとに、これからパテラの手術(大腿骨滑車溝形成術)に臨む飼い主さんが知っておくべき「現実」と「術後ケアの重要性」について、包み隠さずお話しします。

実際の症例経過:診断から術後まで

  • 初診時の状態:診察の結果、右脚が進行度グレード3、左脚がグレード2のパテラと診断されました。レントゲン検査でも右脚の関節の滑りが確認されたため、右脚の手術が提案されました。ただし、この時は一時的なお腹の不調(下痢)があったため、まずはお薬(ディアバスター)で体調を万全に整えることを優先しました。
  • 手術当日:お腹の調子もすっかり治り、元気・食欲ともに良好な状態で来院しました。絶水絶食の状態で術前の血液検査や胸部レントゲンを実施し、脱水もなく健康状態に問題がないことを確認した上で、右脚の「大腿骨滑車溝形成術」を無事に完了しました。
  • 術後の経過:術後の診察では体温や体重も安定しており、膝の経過も良好(パテラOK)と確認されました。術後数日経った頃には、寝起きや朝に30秒ほど少し足をかばう様子(びっこ)が見られましたが、傷口に膿などはなく綺麗な状態でした。抗生物質(トミロン)や痛み止め(プレビコックス)を服用し、ご自宅での消毒(スクラブ)を行いながらお家での安静とケアを頑張ってくれています。

パテラ手術(大腿骨滑車溝形成術)とは?

パテラは、膝のお皿(膝蓋骨)が本来あるべき溝から外れてしまう病気です。

今回実施した「大腿骨滑車溝形成術」は、このお皿が正しく収まるように、大腿骨(太ももの骨)の先端にある溝を深く削って整える手術です。ここで最も大切なのは、脚をピンと伸ばした(伸展した)時にお皿が内側に落ちてしまわないよう、元ある溝を上の方(近位)まで長く延長して作成することです。これにより、お皿がより外れにくい構造に工夫しています。

さらに今回は、これまでの脱臼の影響で伸びきってしまっていた外側の筋肉を縫って縮め(縫縮)、内側と外側の筋肉のバランスをしっかりと整えました。これらによって関節の不安定さを根本から取り除き、痛みや歩行障害の改善を目指します。

手術に潜む「現実的なリスク」

獣医師は最善を尽くしますが、医療である以上、以下のような合併症のリスクがゼロではないことを理解しておく必要があります。

  • 感染症(骨髄炎)のリスク:動物の口の中には無数の細菌がいます。術後に患部を舐めてしまうと、傷口から細菌が深部に侵入し、骨や人工物に付着して重篤な感染症(骨髄炎)を引き起こす危険性があります。最悪の場合、インプラントの全抜去が必要になります。
  • インプラントのトラブル:骨を固定している金属ピンが皮膚を刺激して飛び出したり、稀に破損・移動(マイグレーション)したりすることがあります。
  • 半月板の晩期損傷:手術時点で異常がなくても、術後の生活の中で新たに半月板が損傷し、再手術が必要になるケースが5〜15%程度あります。

飼い主さんの「覚悟」が試される術後ケア

手術が成功しても、ご自宅でのケアが不十分だと機能は回復しません。ここからが飼い主さんの本当の頑張りどころです。以下のルールは「絶対に」守らなければなりません。

  • エリザベスカラーの24時間着用(絶対厳守):「見ている間だけなら」と外した一瞬の隙に舐めてしまい、感染を起こすケースが多発しています。傷口や深部の人工物を守るため、抜糸後、獣医師の許可が出るまでは24時間絶対に外さないでください。
  • 毎日のリハビリテーション:患肢を使わない期間が長くなると急速に筋肉が萎縮してしまいます。特に「術後2週間あたり」は、切開した筋肉同士がくっついて硬くなる「拘縮(こうしゅく)」が起きやすい非常に重要な時期です。このタイミングでしっかりと関節の可動域を広げるリハビリを行うことが、その後のスムーズな歩行を左右します。獣医師の指導に基づき、ご自宅での屈伸運動やマッサージ、ゆっくりとした歩行訓練などを必ず毎日行ってください。
  • 徹底した運動制限:骨の癒合を守るため、激しい運動、ジャンプ、階段、滑る床での生活は厳禁です。
  • 毎日の消毒:感染予防のため、退院後はご自宅にて毎日、処方された消毒液や軟膏を使用し、指示された通りに傷口の消毒を行ってください。

パテラの手術は、愛犬の未来の歩行を守るための大きな決断です。痛みを我慢している愛犬を救うためにも、正しい知識を持ち、術後の長いリハビリ期間を一緒に乗り越える覚悟を持って臨んでくださいね。


English Summary: The Reality of Patellar Luxation Surgery

Patellar luxation surgery (femoral trochlear sulcus deepening) is just the beginning of your dog’s recovery journey. To ensure the kneecap doesn’t slip medially when the leg is fully extended, we meticulously deepen and proximally extend the bone groove. We also tighten the overstretched lateral muscles to restore a healthy muscular balance. However, while the surgery effectively corrects the joint structure, the real challenge lies in the strict post-operative care at home.

Absolute requirements for recovery include:

  • Wearing an Elizabethan collar 24/7 to prevent licking and infection.
  • Strict exercise restriction, meaning no jumping, stairs, or slippery floors.
  • Daily wound disinfection at home.
  • Consistent daily rehabilitation: To prevent rapid muscle atrophy. Around 2 weeks post-surgery, the incised muscles are especially prone to adhering and contracting. Intensive range-of-motion exercises during this period are critical for restoring smooth walking.

Your dedication and strict management are the absolute keys to your dog walking comfortably again.


中国语摘要 (Chinese Summary): 髌骨脱位手术的真相

髌骨脱位手术(股骨滑车沟加深术) 仅仅是狗狗康复之旅的开始。为了防止腿部完全伸展时膝盖骨向内侧滑脱,我们在手术中不仅加深了骨槽,还将其向近端(上方)进行了延长。同时,我们缝合并收紧了过度拉伸的外侧肌肉,以恢复关节的肌肉平衡。然而,虽然手术成功纠正了结构,真正的挑战在于家中严格的术后护理。

为了确保功能的恢复,以下事项绝对必须遵守:

  • 24小时全天候佩戴伊丽莎白圈,严防舔舐和感染。
  • 严格限制运动,严禁跳跃、爬楼梯或在湿滑地板上行走。
  • 每日在家中进行伤口消毒
  • 坚持每日康复训练:以防止肌肉迅速萎缩。特别是在术后2周左右,切开的肌肉极易发生粘连和挛缩,此时进行扩大关节活动度的康复训练对于恢复平稳行走至关重要。

您的决心和严格照料,是狗狗重新恢复健康行走的最关键因素。