診察時間
午前9:00-12:00
午後15:00-19:00
手術時間12:00-15:00
水曜・土日午後休診
今日お話ししたいこと
本日は、若齢の小型犬(ペキニーズとチワワのミックス犬、オス)における去勢手術の症例について解説します。外科手術は、単に生殖能力を絶つことだけが目的ではありません。事前の綿密な検査と適切な麻酔・鎮痛管理、そして生涯を通じた予防医療の計画を立てる重要な機会です。本稿では、当院の外科的アプローチと周術期管理の論理について、事実に基づきお伝えします。
外科手術を安全に行うためには、ベースとなる健康状態の維持が不可欠です。この患者さんでは、幼少期より以下の予防医療を徹底して実施しています。
手術当日の事前検査では、麻酔リスクを評価するための客観的なスクリーニングを行いました。
オスの犬において、適切な時期に去勢手術を行わず放置した場合、加齢に伴い以下のような具体的かつ残酷な疾患リスクを背負うことになります。
本症例では、これらの将来リスクを排除するため去勢手術(精巣摘出)を実施しました。当院では、手術による身体的負担と痛みを最小限にするため、以下のプロトコルを採用しています。



当院では、犬の去勢手術は原則として日帰りで実施します。また、開腹を伴うより大きな外科手術の場合でも、術後の入院は原則1〜3日とし、静脈点滴が必要な期間のみに留めています。これは、見知らぬ環境での入院が動物に与える精神的ストレスを重く見ており、可能な限り早期に家庭内でのリハビリへ移行すべきという論理に基づきます。
また、夜間の病院は「スタッフ不在(無人)」となります。この事実を隠すつもりはありません。しかし、入院室にはペットカメラを設置し、遠隔監視を徹底しています。もし動物が疼痛で眠れていない、あるいは異常な挙動を示していると判断した場合は、院長自らが深夜であっても病院へ赴き、追加の鎮痛剤投与や処置を行う体制をとっています。痛みを絶対に見過ごさないことが、当院の術後管理の絶対的な基準です。
どのような手術においても、術部感染や癒合不全といった合併症のリスクはゼロではありません。本症例においては、術後7日目の診察にて、術部に少量の膿が認められました。これに対し、直ちに抗生剤(アモキクリア)を1日2回、3日分処方し、感染の鎮静化を図りました。
その結果、術後10日目の再診時には膿は完全に消失し、術後14日目には無事に抜糸を完了しています。その後の経過でも心雑音等の異常はなく、良好な治癒を確認しました。合併症は起こり得るものとして想定し、誤魔化さずに早期発見・早期介入することが重要です。
院長からのメッセージ
手術とは、動物の体にメスを入れるという極めて侵襲的な行為を、医学的根拠をもって正当化するプロセスです。だからこそ、我々は「なぜその手技を選ぶのか」「痛みをどう制御するのか」に徹底的にこだわります。手術を終えて終わりではなく、その後に起こり得る合併症のリスクまで含めてご家族と共有し、誠実に対処していくことが我々獣医師の責務であると考えています。
This case report details the castration surgery and perioperative pain management of a young small-breed dog. Our clinic prioritizes patient safety and comfort, utilizing a vessel sealing system to minimize bleeding and eliminate the need for foreign suture materials in the body. We emphasize the importance of comprehensive preoperative exams and tailored anesthesia protocols, including the administration of buprenorphine and propofol. Postoperatively, we advocate for early discharge to reduce patient stress, supported by remote 24-hour monitoring via pet cameras and immediate intervention for any signs of pain. We also highlighted the significance of continuous preventive care, including vaccinations and comprehensive parasite control (advocating for tick prevention against SFTS using medications like Simparica). By maintaining strict surgical standards and a clear referral policy for highly complex cases, we ensure the highest level of care and integrity for our patients.
本病例报告详细记录了一只小型犬的去势手术及围手术期的疼痛管理。我们诊所将患者的安全和舒适放在首位,采用血管闭合系统以最大程度地减少出血,并避免在体内遗留异物缝合线。我们强调全面的术前检查和量身定制的麻醉方案(包括使用丙泊酚和丁丙诺啡)的重要性。在术后管理方面,为了减轻动物的精神压力,我们提倡尽早出院,并通过宠物摄像头进行24小时远程监控,确保在发现任何疼痛迹象时能够立即干预。此外,我们还强调了包括疫苗接种和全面寄生虫预防(提倡使用如Simparica等药物预防蜱虫以防范SFTS)在内的持续性预防医疗的重要性。通过保持严格的外科标准以及针对高难度病例的明确转诊政策,我们致力于为患者提供最高水平的医疗服务和诚信保障。