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【症例報告】繰り返す耳血腫(じけっしゅ)への決断〜「切除」という選択肢〜

先日、お耳のトラブルで悩むあるネコちゃんの手術を行いました。
何度も繰り返す腫れに、飼い主様と一緒に悩み、そしてある「大きな決断」をした症例です。

形よりも、これからの穏やかな生活を。


「何度も痛い思いをするより、形が変わってもストレスなく過ごせるように」
その選択は、深い愛情によるものでした。

繰り返す「耳血腫(じけっしゅ)」の悩み

今回診断されたのは「耳血腫」という病気です。
耳介(耳たぶ)の皮膚と軟骨の間に血液が溜まり、風船のようにパンパンに腫れ上がってしまいます。

  • 症状:耳が熱を持って腫れる、痒がる
  • 原因:耳を振ったり掻いたりする刺激で、内部の血管が切れてしまう

このネコちゃんは以前にも同様の症状が出ており、一度治療をしたものの、再び腫れてきてしまったとのことで来院されました。

「形を残す」か「再発を防ぐ」か

耳血腫の治療には、大きく分けて二つの考え方があります。

● 保存療法(パンチ・縫合術)

耳に穴を開けて血を抜き、縫い合わせる方法です。耳の形をきれいに残しやすいメリットがありますが、治療期間が長く、通院処置の頻度も高くなります。また、再発のリスクもゼロではありません。

● 外科的切除

腫れてしまった部分(病変部)を含めて、耳の一部を切除する方法です。
耳の形は変わってしまいますが、再発のリスクを最小限に抑え、通院期間を短くすることができます。

飼い主様が選んだ「最短の解決」

度重なる再発に、飼い主様はとても悩まれていました。
「また病院へ連れて行き、痛い処置を繰り返すのはかわいそうだ」という思いから、今回は耳介切除を選択されました。

また、術前の検査で肝臓の数値(GPT)が高めであることが分かったため、麻酔のリスクも考慮し、できるだけ一度の手術で確実に治してあげたいという判断もありました。

術後のエリザベスカラーとの戦い

手術は無事に終わりましたが、お家に帰ってからが本当の頑張りどころでした。
傷口を守るためにエリザベスカラーを着けたのですが、慣れないカラーを嫌がって暴れてしまい、傷口から少し出血してしまったのです。

しかし、飼い主様は諦めませんでした。

  • 術部を引っ掻かないよう、カラーは絶対に外さない。
  • カラーが当たって痛くないように内側に布を当てて保護するなど、工夫をして乗り切ってくださいました。

最後に

「耳を切除する」と聞くと驚かれるかもしれません。
しかし、長引く通院ストレスや再発の不安から解放され、一日も早く大好きな飼い主様と平穏な日常を送れるようになるなら、それも一つの正解だと私たちは考えます。

抜糸まであと少し。
形は少し変わりましたが、それは病気に打ち勝った勲章です。
これからも、その子その子に合わせた「最善の治療」を一緒に考えていきましょう。