診察時間
午前9:00-12:00
午後15:00-18:00
手術時間12:00-15:00
水曜・日曜午後休診
こんにちは。今回は、他院様にて膝蓋骨脱臼(パテラ)の手術を受けた後に発生したトラブルと、そのリカバリー手術、そしてそこから考える「術式の選択」についてお話ししたいと思います。
手術後の合併症や、再手術についてご不安な方の参考になれば幸いです。
今回の症例紹介
「手術をした場所から、何かお肉のようなものが飛び出している」
そんなご相談を受けて診察を始めました。
診察してみると、確かに右足のすねの骨(脛骨)にある手術痕付近に、1〜2cmほどのしこり(腫瘍状の隆起)が確認できました。皮膚の一部には穴(瘻管)が開き、炎症を起こしている状態でした。
「手術後にできたしこり」と聞くと、悪い腫瘍(ガン)ではないかと心配される飼い主様も多いですが、病理組織検査の結果、今回の正体は「炎症性肉芽組織」であることが分かりました。
悪いものではないとはいえ、このままにしておくと炎症が続き、ワンちゃん自身も気にして患部を舐め壊してしまいます。そこで、根本的な原因を取り除くための外科処置を行いました。
手術は無事に成功しました。
術後は足の腫れも引き、歩き方にも問題はありません。これでもう、痛い思いや違和感を感じることなく過ごせるようになります。
ここからは、少し専門的な「手術の方法」についてのお話です。
パテラ(膝蓋骨脱臼)の手術にはいくつかの方法があります。その中でも、今回のワンちゃんが以前受けていた「脛骨粗面転移術(TTT)」は、非常に一般的で効果の高い術式です。
これは、変形してしまった骨の位置をずらしてピンで固定し、筋肉のラインを真っ直ぐに整える方法です。多くの場合は問題なく経過し、元気に歩けるようになります。
しかし、今回のように「体内に残ったピン(異物)」が刺激となり、数年後にしこりを作ったり、トラブルの原因になったりすることが稀にあるのも事実です。
こうした症例に直面するたび、私は外科医として強く思うことがあります。
「可能な限り、大腿骨滑車溝形成だけで治してあげたい」
大腿骨滑車溝形成(だいたいこつかっしゃこうけいせい)とは、お皿(パテラ)が収まる溝を深く掘り直してあげる手術です。
もちろん、骨の変形が重度な場合はピンを使った骨の移動が必要不可欠です。しかし、グレードや症状によっては、金属を体内に残さず、この「溝を作る処置」だけで対応できるケースもあります。
「体内に異物を残さないこと」は、将来的なトラブルのリスクを最小限に抑えることにつながります。
当院では、ワンちゃんの足の状態をしっかりと見極め、現在の症状を治すことはもちろん、「将来のリスクまで考えた術式」を第一に提案していきたいと考えています。
他院で手術を受けた後のトラブルや、セカンドオピニオンも随時受け付けております。
「術後の傷がなかなか治らない」「足にしこりができた」など、気になる症状があればお一人で悩まず、お気軽にご相談ください。
今回のワンちゃんも、これからは違和感なく、思いっきり走り回れることを願っています!